第14話 巨大生物兵器との戦い
文字数 3,873文字
「フッフッフ……貴様らの相手をするのはこいつじゃ。わしはこんなところで死ぬわけには行かん」
老人がリモコンを手に持ちボタンを押すと、天井から穴が開き、巨大なゴリラのような生物が落ちてきた。
体高4メートルを超える巨体で、両手首には機械の腕輪が、背中には伸縮可能な砲台が設置されている。
マティアスとハンニバルがその圧倒的な巨体を持つゴリラを見て絶句して気を取られている隙に、老人はエレベーターに乗り込んで逃げてしまった。
「あっ……! あのジジイ、どさくさに紛れて逃げやがったな!」
「ハンニバル、来るぞ!」
巨大ゴリラは立ち上がって咆哮を上げた。その咆哮だけでこの部屋全体が揺れ、2人は思わず耳を塞ぐ。
2人が怯んでいる隙に巨大ゴリラはこちらに向かって前進しながら連続パンチを繰り出してきた。
その攻撃に周りの培養カプセルや機械も巻き込まれ、次々と破壊されていく。
2人は左右に避け、双方から銃撃と砲撃を放とうとしたが、その瞬間、巨大ゴリラは両手の拳を地面を叩きつけた。
その衝撃で地面は大きく揺れ、2人は体勢を崩してしまう。
2人が体勢を崩している間に、巨大ゴリラは少し立ち上がり腕を上に挙げ、全身を横に回転させながら2人を殴り飛ばした。
2人は大きく吹っ飛ばされたが、攻撃を受ける瞬間にガードしていたのですぐに体勢を立て直す。
2人は今度こそ巨大ゴリラにダメージを与えようと、マティアスは銃撃を、ハンニバルは砲撃を放つ。
巨大ゴリラは一瞬怯んだが、あまりダメージを受けていない。それでも巨大ゴリラを倒すには、少しずつダメージを与え続けるしか方法は無い。
2人は攻撃のチャンスが続く限り、ひたすら銃撃と砲撃を連射し続ける。
しばらく攻撃を続けていると、巨大ゴリラは怒りの咆哮を上げながら高くジャンプした。
巨大ゴリラは両手首の機械の腕輪から大きな雷球を作り出し、それを空中からハンニバル目掛けて発射する。
ハンニバルは横に前転回避してなんとか直撃を免れ、雷球が直撃した床は大きく凹んでいた。
「ふう、危ねぇ……。こんな化け物がこの世に存在していたとは予想外だぜ」
「ハンニバル、敵の攻撃後は大きな隙が出来る。その隙を狙って少しずつダメージを与えるんだ。ヒット&アウェイで行くぞ」
「あぁ、分かったぜ!」
巨大ゴリラは地面に着地すると、少しの間硬直した。その僅かな攻撃チャンスも2人は見逃さず、攻撃を続ける。
巨大ゴリラは2人の攻撃を受けつつも、再びハンニバルがいる方向に振り向いた。
ハンニバルばかりが狙われるのは、マティアスよりも攻撃力が高いからだろう。
ハンニバルは耐久力でもマティアスより優れているので、2人にとっても好都合だった。
マティアスは引き続き攻撃に専念し、機関銃を撃ち続ける。
巨大ゴリラはハンニバルに向かって4足歩行で突進し、ある程度接近したところでジャンプしてハンニバル目掛けてパンチを繰り出した。
ハンニバルは巨大ゴリラの足元を前転回避で潜って背後に回る。
巨大ゴリラのパンチが壁に勢いよく命中し、その衝撃で大きな穴が開き、部屋全体が揺れていた。
「背中がお留守だぜ!」
ハンニバルは巨大ゴリラの背後から砲撃を放とうとしたその時、巨大ゴリラはバックステップをしてハンニバルを後ろに大きく蹴り上げた。
蹴り飛ばされたハンニバルは着地すると同時に急いで体勢を立て直す。
「ちっ! やるじゃねぇか! だが、俺もアメリカ軍の最高傑作の人間兵器と呼ばれた男だ。獣ごときに負けるわけにはいかねぇぜ!」
ハンニバルは巨大な生物兵器を目の前にしても、余裕で楽しそうな表情をしている。
巨大ゴリラはそのまま高くジャンプし、空中でハンニバルがいる向きに方向転換した。
両手首の機械の腕輪から電流を発生させて自身の身体を電流でまとい、そして縦に高速回転しながらハンニバル目掛けて激突してきた。
ハンニバルは回避して間一髪で直撃を免れたが、電流をまとってのその攻撃は範囲が広く、激突時の衝撃で彼は吹っ飛ばされてしまう。
「ハンニバル、大丈夫か!?」
「ちょっと体が痺れちまったが、これくらい何ともないぜ!」
ハンニバルは起き上がると、敵の次の攻撃の瞬間を待ちながら様子をうかがっていた。
巨大ゴリラは今度はマティアスがいる方向に振り向き、両手を地面につけると、巨大ゴリラの背中に設置されている砲台の砲口が光り始める。
砲口から電流が流れたかと思ったその時、巨大ゴリラの砲台から極太の雷レーザーが発射された。
幸い予備動作が長かった為、マティアスは容易に避けることが出来た。
巨大ゴリラの放つ雷レーザーは少しずつ向きを変えながら、周りの壁や障害物を破壊していく。
雷レーザーは少しずつ薙ぎ払いながらハンニバルがいる位置に近づいてきた。
ハンニバルはその場から離れようとするが、先ほどの電流攻撃の痺れが残っていたせいで、足を上手く動かすことが出来ない。
「くそっ! こんな時に痺れやがって! 何やってんだ、俺!」
ハンニバルは頑張って足を動かすが、この歩行速度では雷レーザーを避けることは不可能だろう。
雷レーザーがハンニバルに近づいてきたその時、巨大ゴリラの目の前に閃光が走った。
マティアスが巨大ゴリラの顔面に向けてスタングレネードを投げたのだ。
雷レーザーの発射が止まり、巨大ゴリラは眩しさのあまり悲鳴をあげ、目を塞いでいた。
「今だ! 集中攻撃を仕掛けるぞ!」
「やるじゃねぇか、マティアス! 俺もたった今、痺れが取れたところだから攻めに入るぜ!」
マティアスは引き続き銃撃を放つ。体の痺れが取れたハンニバルは勢いよくジャンプし、巨大ゴリラの背中に飛び乗った。巨大ゴリラはハンニバルを振り落とそうと必死に暴れる。
ハンニバルは巨大ゴリラに振り落とされること無く背中にしがみつき、そこに設置されている砲台を殴り始めた。
「ゴリラの癖に良いモン持ってんじゃねーか。破壊し甲斐があるぜ!」
ハンニバルは何度も砲台を殴り続け、巨大ゴリラの武器を破壊することに成功した。
巨大ゴリラは背中の上にいるハンニバルを両手で捕まえようとするが、ハンニバルは今度は巨大ゴリラの手が届かない位置から後頭部を何度も殴る。
「やっぱり俺は遠くから攻撃するよりも、こっちの方が性に合うぜ!」
2人の怒涛の攻撃により、巨大ゴリラへのダメージはかなり蓄積されていた。
そして、巨大ゴリラはあまりのダメージについに転倒した。
横向きに倒れながらもがき続けているが、動作は遅く、これ以上抵抗する力は残っていないと思われる。
敵が弱った状態なら近づいても大丈夫だと判断したマティアスは巨大ゴリラに近づき、ナイフを取り出して胸をメッタ刺しにする。
胸は機械化していないのか、刺すたびに血が噴き出していた。
一方ハンニバルは巨大ゴリラの顔に近づき、何度も顔面を殴り続けた。ハンニバルの怒涛の殴りで巨大ゴリラの顔面は徐々に変形していく。
そしてついに、巨大ゴリラは完全に動きを止めて息絶えた。
地上に放たれていれば多数の犠牲者を出していたであろう巨大なモンスターを、大きな被害が出る前に倒すことが出来たのは大きかった。
「今回はマティアスにはかなり助けられたぜ! 俺1人だけだったらかなり苦戦していただろうな」
「お互いよく頑張ったな。後はこの地下室の物資を全て破壊して終わりだ」
2人は笑顔で拳をぶつけ合いながら勝利を祝う。
この部屋の研究所も巨大ゴリラとの戦闘によって無残に破壊されてしまっているので、敵はこれ以上生物兵器の開発を続けられないだろう。
科学者の老人に逃げられてしまったのは心残りだが、いずれどこかで再会する時が来たら、今度こそは始末してやろうと2人は思っていた。
2人は今まで通って来た部屋に戻り、1部屋ずつ物資を爆弾で爆破していく。
全ての物資を爆破した後、2人に料理を提供してくれたコックと再会した。
「2人とも、無事で本当に良かったです! まさか本当にあの化け物を倒したんですか!?」
体をロープで縛られたままのコックは、驚きと喜びに満ちた表情で2人を見つめていた。
「あぁ、なかなかの強敵だったが、2人で力を合わせてなんとか倒すことが出来た。科学者には逃げられてしまったがな。待っていろ。今、ロープを解いてやる」
マティアスはコックの体を縛っているロープを解く。
「やった! これでオイラは自由だ!」
コックはやっと解放された思いで飛び跳ねていた。ハンニバルもそんなコックに声を掛ける。
「じゃあ、コックも俺達の軍事基地へ帰ろうぜ。ここにある食材は残念だが爆破する。食材なら軍事基地にいくらでもあるから問題無いだろ」
「それはもったいないなぁ~。でも、オイラはそっちで料理人として輝けるなら問題無いですよ!」
残りの部屋の物資も全て爆破し、3人は最初に入って来た地上への階段を上った。
外に出ると敵は1人もいなかったので、そのまま自分たちの軍用車が止めてある場所へ向かうことが出来た。
ハンニバルは運転席、マティアスは助手席、そしてコックを後ろの後部座席に座らせた状態で車を発進させる。コックは初めて乗る軍用車に興味津々だ。
ハンニバルはさすがに戦闘続きで疲れているのか、いつものように猛スピードでは走らなかった。
「なんだ、ハンニバル。今日はやけに落ち着いた運転だな」
「こんな疲れた体で飛ばす気にはならねーよ……。基地に帰ったらゆっくり休もうぜ」
3人はゆっくり軍事基地へ帰って行った。
老人がリモコンを手に持ちボタンを押すと、天井から穴が開き、巨大なゴリラのような生物が落ちてきた。
体高4メートルを超える巨体で、両手首には機械の腕輪が、背中には伸縮可能な砲台が設置されている。
マティアスとハンニバルがその圧倒的な巨体を持つゴリラを見て絶句して気を取られている隙に、老人はエレベーターに乗り込んで逃げてしまった。
「あっ……! あのジジイ、どさくさに紛れて逃げやがったな!」
「ハンニバル、来るぞ!」
巨大ゴリラは立ち上がって咆哮を上げた。その咆哮だけでこの部屋全体が揺れ、2人は思わず耳を塞ぐ。
2人が怯んでいる隙に巨大ゴリラはこちらに向かって前進しながら連続パンチを繰り出してきた。
その攻撃に周りの培養カプセルや機械も巻き込まれ、次々と破壊されていく。
2人は左右に避け、双方から銃撃と砲撃を放とうとしたが、その瞬間、巨大ゴリラは両手の拳を地面を叩きつけた。
その衝撃で地面は大きく揺れ、2人は体勢を崩してしまう。
2人が体勢を崩している間に、巨大ゴリラは少し立ち上がり腕を上に挙げ、全身を横に回転させながら2人を殴り飛ばした。
2人は大きく吹っ飛ばされたが、攻撃を受ける瞬間にガードしていたのですぐに体勢を立て直す。
2人は今度こそ巨大ゴリラにダメージを与えようと、マティアスは銃撃を、ハンニバルは砲撃を放つ。
巨大ゴリラは一瞬怯んだが、あまりダメージを受けていない。それでも巨大ゴリラを倒すには、少しずつダメージを与え続けるしか方法は無い。
2人は攻撃のチャンスが続く限り、ひたすら銃撃と砲撃を連射し続ける。
しばらく攻撃を続けていると、巨大ゴリラは怒りの咆哮を上げながら高くジャンプした。
巨大ゴリラは両手首の機械の腕輪から大きな雷球を作り出し、それを空中からハンニバル目掛けて発射する。
ハンニバルは横に前転回避してなんとか直撃を免れ、雷球が直撃した床は大きく凹んでいた。
「ふう、危ねぇ……。こんな化け物がこの世に存在していたとは予想外だぜ」
「ハンニバル、敵の攻撃後は大きな隙が出来る。その隙を狙って少しずつダメージを与えるんだ。ヒット&アウェイで行くぞ」
「あぁ、分かったぜ!」
巨大ゴリラは地面に着地すると、少しの間硬直した。その僅かな攻撃チャンスも2人は見逃さず、攻撃を続ける。
巨大ゴリラは2人の攻撃を受けつつも、再びハンニバルがいる方向に振り向いた。
ハンニバルばかりが狙われるのは、マティアスよりも攻撃力が高いからだろう。
ハンニバルは耐久力でもマティアスより優れているので、2人にとっても好都合だった。
マティアスは引き続き攻撃に専念し、機関銃を撃ち続ける。
巨大ゴリラはハンニバルに向かって4足歩行で突進し、ある程度接近したところでジャンプしてハンニバル目掛けてパンチを繰り出した。
ハンニバルは巨大ゴリラの足元を前転回避で潜って背後に回る。
巨大ゴリラのパンチが壁に勢いよく命中し、その衝撃で大きな穴が開き、部屋全体が揺れていた。
「背中がお留守だぜ!」
ハンニバルは巨大ゴリラの背後から砲撃を放とうとしたその時、巨大ゴリラはバックステップをしてハンニバルを後ろに大きく蹴り上げた。
蹴り飛ばされたハンニバルは着地すると同時に急いで体勢を立て直す。
「ちっ! やるじゃねぇか! だが、俺もアメリカ軍の最高傑作の人間兵器と呼ばれた男だ。獣ごときに負けるわけにはいかねぇぜ!」
ハンニバルは巨大な生物兵器を目の前にしても、余裕で楽しそうな表情をしている。
巨大ゴリラはそのまま高くジャンプし、空中でハンニバルがいる向きに方向転換した。
両手首の機械の腕輪から電流を発生させて自身の身体を電流でまとい、そして縦に高速回転しながらハンニバル目掛けて激突してきた。
ハンニバルは回避して間一髪で直撃を免れたが、電流をまとってのその攻撃は範囲が広く、激突時の衝撃で彼は吹っ飛ばされてしまう。
「ハンニバル、大丈夫か!?」
「ちょっと体が痺れちまったが、これくらい何ともないぜ!」
ハンニバルは起き上がると、敵の次の攻撃の瞬間を待ちながら様子をうかがっていた。
巨大ゴリラは今度はマティアスがいる方向に振り向き、両手を地面につけると、巨大ゴリラの背中に設置されている砲台の砲口が光り始める。
砲口から電流が流れたかと思ったその時、巨大ゴリラの砲台から極太の雷レーザーが発射された。
幸い予備動作が長かった為、マティアスは容易に避けることが出来た。
巨大ゴリラの放つ雷レーザーは少しずつ向きを変えながら、周りの壁や障害物を破壊していく。
雷レーザーは少しずつ薙ぎ払いながらハンニバルがいる位置に近づいてきた。
ハンニバルはその場から離れようとするが、先ほどの電流攻撃の痺れが残っていたせいで、足を上手く動かすことが出来ない。
「くそっ! こんな時に痺れやがって! 何やってんだ、俺!」
ハンニバルは頑張って足を動かすが、この歩行速度では雷レーザーを避けることは不可能だろう。
雷レーザーがハンニバルに近づいてきたその時、巨大ゴリラの目の前に閃光が走った。
マティアスが巨大ゴリラの顔面に向けてスタングレネードを投げたのだ。
雷レーザーの発射が止まり、巨大ゴリラは眩しさのあまり悲鳴をあげ、目を塞いでいた。
「今だ! 集中攻撃を仕掛けるぞ!」
「やるじゃねぇか、マティアス! 俺もたった今、痺れが取れたところだから攻めに入るぜ!」
マティアスは引き続き銃撃を放つ。体の痺れが取れたハンニバルは勢いよくジャンプし、巨大ゴリラの背中に飛び乗った。巨大ゴリラはハンニバルを振り落とそうと必死に暴れる。
ハンニバルは巨大ゴリラに振り落とされること無く背中にしがみつき、そこに設置されている砲台を殴り始めた。
「ゴリラの癖に良いモン持ってんじゃねーか。破壊し甲斐があるぜ!」
ハンニバルは何度も砲台を殴り続け、巨大ゴリラの武器を破壊することに成功した。
巨大ゴリラは背中の上にいるハンニバルを両手で捕まえようとするが、ハンニバルは今度は巨大ゴリラの手が届かない位置から後頭部を何度も殴る。
「やっぱり俺は遠くから攻撃するよりも、こっちの方が性に合うぜ!」
2人の怒涛の攻撃により、巨大ゴリラへのダメージはかなり蓄積されていた。
そして、巨大ゴリラはあまりのダメージについに転倒した。
横向きに倒れながらもがき続けているが、動作は遅く、これ以上抵抗する力は残っていないと思われる。
敵が弱った状態なら近づいても大丈夫だと判断したマティアスは巨大ゴリラに近づき、ナイフを取り出して胸をメッタ刺しにする。
胸は機械化していないのか、刺すたびに血が噴き出していた。
一方ハンニバルは巨大ゴリラの顔に近づき、何度も顔面を殴り続けた。ハンニバルの怒涛の殴りで巨大ゴリラの顔面は徐々に変形していく。
そしてついに、巨大ゴリラは完全に動きを止めて息絶えた。
地上に放たれていれば多数の犠牲者を出していたであろう巨大なモンスターを、大きな被害が出る前に倒すことが出来たのは大きかった。
「今回はマティアスにはかなり助けられたぜ! 俺1人だけだったらかなり苦戦していただろうな」
「お互いよく頑張ったな。後はこの地下室の物資を全て破壊して終わりだ」
2人は笑顔で拳をぶつけ合いながら勝利を祝う。
この部屋の研究所も巨大ゴリラとの戦闘によって無残に破壊されてしまっているので、敵はこれ以上生物兵器の開発を続けられないだろう。
科学者の老人に逃げられてしまったのは心残りだが、いずれどこかで再会する時が来たら、今度こそは始末してやろうと2人は思っていた。
2人は今まで通って来た部屋に戻り、1部屋ずつ物資を爆弾で爆破していく。
全ての物資を爆破した後、2人に料理を提供してくれたコックと再会した。
「2人とも、無事で本当に良かったです! まさか本当にあの化け物を倒したんですか!?」
体をロープで縛られたままのコックは、驚きと喜びに満ちた表情で2人を見つめていた。
「あぁ、なかなかの強敵だったが、2人で力を合わせてなんとか倒すことが出来た。科学者には逃げられてしまったがな。待っていろ。今、ロープを解いてやる」
マティアスはコックの体を縛っているロープを解く。
「やった! これでオイラは自由だ!」
コックはやっと解放された思いで飛び跳ねていた。ハンニバルもそんなコックに声を掛ける。
「じゃあ、コックも俺達の軍事基地へ帰ろうぜ。ここにある食材は残念だが爆破する。食材なら軍事基地にいくらでもあるから問題無いだろ」
「それはもったいないなぁ~。でも、オイラはそっちで料理人として輝けるなら問題無いですよ!」
残りの部屋の物資も全て爆破し、3人は最初に入って来た地上への階段を上った。
外に出ると敵は1人もいなかったので、そのまま自分たちの軍用車が止めてある場所へ向かうことが出来た。
ハンニバルは運転席、マティアスは助手席、そしてコックを後ろの後部座席に座らせた状態で車を発進させる。コックは初めて乗る軍用車に興味津々だ。
ハンニバルはさすがに戦闘続きで疲れているのか、いつものように猛スピードでは走らなかった。
「なんだ、ハンニバル。今日はやけに落ち着いた運転だな」
「こんな疲れた体で飛ばす気にはならねーよ……。基地に帰ったらゆっくり休もうぜ」
3人はゆっくり軍事基地へ帰って行った。