(一)

文字数 210文字

 六年、いや七年か。久しぶりに、別れた彼と再会した。
 それは三子多摩川(みつこたまがわ)のショッピングセンター内にある、エクセルバックスコーヒーの店内だった。
 私はこの店で働いていた。そして注文の品をトレーに乗せて席まで持って行った。
 その席に居たのが彼だった。注文に来たのはかわいらしい女性だったが、その夫が彼だったのだ。
 女性のそばにはベビーカーが置かれ、赤ん坊が眠っていた。
 彼は私に気づかなかったが、私にはすぐにわかった。

(続く)
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