11:そして二人は通常業務に戻る

文字数 721文字

 ――明けて翌日になりました。
 テレビやネットでは昨夜起こった災害の話題で盛り上がったままですし、現場も事態を収拾させるべく忙しない状況のままでしたけれど。

 サーニャちゃんと沙雪さんはそんなことなど関係なく、事務所で事務作業に勤しんでいました。

 ただ、相変わらずサーニャちゃんの勤務態度は不真面目でした。
 ……今度は何があったのよ。
 明らかに業務に身が入っていないサーニャちゃんの様子を見かねてか、沙雪さんがそんな風に水を向けました。
 それを待ってましたと言わんばかりの勢いで、サーニャちゃんは語り始めます。
 昨日からさ、ガチャの新規が始まってさ、貯めてた石を放出してみたわけなんだけどね!?
 ……またゲームの話なの?

 なに、目当てのが出なかったとか、またそんな話?

 そうよ、出なかったけど! それも腹立たしいんだけど!!

 出なかったってSNSで嘆いてたら、無課金で引いちゃったとか言われたの!!

 ……あなたは人生楽しそうでいいわよねー。
 どういう意味だ!?
 好きに受け取りなさいな。

 ――ほら、憤慨してるのはわかったけど、仕事は仕事でちゃんとやってよね。

 昨日の蛮行で増えた始末書とか、今日が納期でしょう?

 ……ぐっ、わ、わかってるわよぉ。

 ちゃんとやります、やりますよぅ。

 言い負かされたサーニャちゃんは、ちくしょーと嘆きながら止まっていた手を動かし始めました。
 不満を吐き出す前よりも幾分か真面目に仕事をし始めたサーニャちゃんの様子を見て、沙雪さんもため息を吐いた後で止めていた作業を再開します。
 今日は残業がないといいわね。
 平和なのが一番よ。定時サイコー。
 そしてそんな会話を交わした後で、二人はどちらともなく小さく笑ったのでした。
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登場人物紹介

名前:サーニャちゃん

特記事項:感情家、口がちょっと悪い


思ったことをすぐ口に出し、考えたことはすぐ行動に移す。

猪突猛進を地で行くような生き方は周囲に迷惑をかけることも多いけれど、悪人ではないので嫌われることはそんなにない。

名前:沙雪さん

特記事項:サーニャちゃんの友人、怒ると怖い


サーニャちゃんと付き合いの長い友人。

サーニャちゃんの扱いは慣れたものだが、引き起こすトラブルに慣れたわけではない。

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