第37話 side.湊

文字数 696文字

夢をみた。
小学生のころの記憶だ。
亜希が、お父さんが亡くなったショックで、髪が真っ白になったときのこと。
そんな亜希のことを、クラスの男子達はからかった。
そして、亜希の髪の毛を引っ張ったり切ったりした。
(いじめっこ)見ろよ。こいつの髪、白だぞ
ばばあじゃねーの?切ってみようぜ
痛いっ……やめて!!
そして奴らは、亜希の髪の毛をはさみで切りやがった。

きれいな髪だったのに。

俺が大好きな、いい香りのする髪だったのに。

だから許せなくて、その場に突っ込んだ。
何やってんだよ。お前ら
ちょっと頭をつかんで脅してやれば、

そいつらより背が高かった俺にびびって

奴らも逃げていった。

首筋までになった亜希の白い髪の毛を見ながら、思った。
こいつのことは、俺が一生守るって。




真っ白い意識の中をさまよっていたら、どこからか、声がした。
湊。………だよ
よく聞こえなくて、耳をすます。

亜希の声だ。何か、言っている。

もう一度、彼女は言ってくれた。

出逢ったときから、私はずっと、湊のことが好きだったよ
………………は?
一瞬、言葉の意味がよくわからなくて、

さまよう意識の中、頭をフル回転させる。

亜希が。俺のことを。


――好き。

亜希が俺のことを好き。
一言でまとめてしまったら、

胸の奥と脳みそが熱湯みたいに熱く

なった。

でもすぐ、亜希がまた言う。
……なんて。なんで聞いてないのに、大事なこと言っちゃうんだろうね
それ聞いて。

俺、思わず吹き出した。

心から笑ったその衝撃なのか、何なのか。

気づいたら、幽体離脱していた俺の精神が、俺の体にちゃんと戻っていて。
目の前には、泣いてる亜希がいて。
まずは、なんて言おう。俺は考えて、答えを出した。
ばぁか、聞こえてるよ
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登場人物紹介

桜庭 亜紀(さくらば あき)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。周りからはよくツンデレと言われますが、自分ではどこが?って感じです。幼なじみの湊には、よく分からない感情を抱いてます。初恋はまだです。そのほかは、読み進めて私のことを知ってくださいっ‼(喋るのが嫌いなだけ)

佐々木 湊(ささき みなと)です。私立ボルネーチ学園に通う高校二年生です。亜紀は絶対にツンデレですが、自分は多分違います。そもそも、ツンデレの意味が分かりません。それはおいておいて、幼なじみの亜紀は、何やらかすか分からないので目が離せません。読者の皆さんも、亜紀を温かい目で見守ってあげてください。

上条 萌(かみじょう もえ)でーす。亜紀ちゃんや湊くんと同じ学校に通ってる、高二の萌袖大好き女子でぇす。亜紀ちゃんも湊くんも、ツンデレ同士お似合いよねー。早く付き合っちゃえばいいのに、ツンデレも大変ねぇ。ちなみに私には彼氏いまーす。けど、彼氏よりは亜紀ちゃんの方が大切だな。そうそう、湊くんと亜紀ちゃん、友達が少ないんだけど、私はそんな数少ない友達の一人だから大事にしてね☆早く二人の恋が実ることを祈ってまーす。

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