第11話 御供え
文字数 469文字
祖父の四十九日の為に親に連れられ田舎に来た孫が、祖母に言われた。
「お爺ちゃんに大好きだったリンゴを供えてあげて」
孫は言われるまま仏壇にリンゴを供えたけど、すぐに困った顔で祖母の所に戻って来た。
「あのね、お爺ちゃん怒ってたよ」
「え? どういうことだい?」
祖母も両親も不審そうに孫に聞いた。
「お爺ちゃん、あっちの部屋でリンゴが食べられないって怒ってるよ」
「死んだ爺ちゃんの声が聞こえるのかい?」
孫は頷いた。
祖母はポロポロ涙を流した。
「死んでしまっては大好きなリンゴも食べられない、それであの人は怒ってるんだねえ」
だが孫は首を振って答えた。
「違うよおばあちゃん、お爺ちゃんはなんで入れ歯を一緒に焼いてくれなかったんだって怒ってるんだよ」
言われてみて気がついた。祖父の入れ歯は、病院から引き上げた荷物と一緒に解かれぬまま部屋の片隅に置かれていたのだった。
その後、荷物から入れ歯を取り出し、お寺に収めて拝んでもらってところ、孫は笑顔で伝えてくれた。
「お爺ちゃん喜んでるよ。またリンゴを供えておくれって」
「お爺ちゃんに大好きだったリンゴを供えてあげて」
孫は言われるまま仏壇にリンゴを供えたけど、すぐに困った顔で祖母の所に戻って来た。
「あのね、お爺ちゃん怒ってたよ」
「え? どういうことだい?」
祖母も両親も不審そうに孫に聞いた。
「お爺ちゃん、あっちの部屋でリンゴが食べられないって怒ってるよ」
「死んだ爺ちゃんの声が聞こえるのかい?」
孫は頷いた。
祖母はポロポロ涙を流した。
「死んでしまっては大好きなリンゴも食べられない、それであの人は怒ってるんだねえ」
だが孫は首を振って答えた。
「違うよおばあちゃん、お爺ちゃんはなんで入れ歯を一緒に焼いてくれなかったんだって怒ってるんだよ」
言われてみて気がついた。祖父の入れ歯は、病院から引き上げた荷物と一緒に解かれぬまま部屋の片隅に置かれていたのだった。
その後、荷物から入れ歯を取り出し、お寺に収めて拝んでもらってところ、孫は笑顔で伝えてくれた。
「お爺ちゃん喜んでるよ。またリンゴを供えておくれって」