この1問が合ってれば…

文字数 454文字

「惜しかったねぇ。。。」

 弥生さんの数学の答案用紙を見て、如月さんは残念がりました。

「この1問が合ってれば、満点だったのに…」

 如月さんは、不思議そうに尋ねます。

「─ 他の難しい問題が解って…何でこんな簡単なの、間違ったの?」

 聞かれた弥生さんは、当然の様に呟きました。

「配点が、1番低かったから。」

「…はい?」

 意味を取りかねる如月さんに、弥生さんが答えます。

「1問だけ間違えて、出来るだけ高い点を取るには…それを間違えるしかなかった」

「─ もしかして…わざと間違えたの?」

 頷く弥生さんに、如月さんは確認しました。

「…何で?」

「─ 美しくないから。」

「…は?」

「満点取るのって、美しくないでしょ?」

「─ だから…ワザと間違えたって事?」

「そう。」

「…」

 呆気に取られる如月さんに、弥生さんが呟きます。

「他に満点の人がいて、学年1位の座を奪われたらどうしようとか思ってたけど、私の点数が最高点だったんで、ホッとしたよ。。。」
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