1日目の邂逅2  新事実!?宇宙人は日本語を喋れる!

文字数 6,036文字

コンニ─┘ワ-↑
ソレハ ハク│─ ─│ │─ ┐┌↑↑
 こ、コンニチワ!?
 聞き間違いだろうか?片言の日本語を喋った気がする。
 たまたまかもしれないけど先程まで喋っていた謎の言語と発音が違う。でも先程までの謎の言語も混じってる気がした。
こ・・・こんにちはー!
 ゆずが通学路で近所の大人たちに挨拶するように片手を上げて少し明るく挨拶をする。
……こんにちは。
 もし化け物たちが言葉が分かるなら怒らせない方がいい。
 上手く話を合わせて見逃してもらおう……。
オー……。マダ ダメ ││ タイネー↓↓
オルタナボールクン、ホンヤク ユ─┌ ─│ デ。
 やはり日本語を話しているように感じる。ホンヤクという言葉が出た。翻訳かな?
 女の人(?)はボールと話し始めてしまった。なにかの調整をしているみたいだ。
 なんにせよ突然襲われるということがなくってよかった。
 ……ホッとしたのもつかの間、タコの化物が僕らをじーっと見ていることに気づく。こっちが突然襲ってきたりしないだろうか。
ニュポーー。ニュポーー。
 何か言おうとしているようだが全く分からない。
 そうこうしていると女の人(?)が再び僕らに話しかけてきた。
僕ちゃんたち、こんにちは!
これでどうかな?大分伝わるようになったと思うんだけド。
す、すごい……。
 驚いた。ほんの少し前まで片言だったのにもうほとんど悠長な日本語になっている。
 僕らはとうとう魔法の世界にでも足を踏み入れてしまったのだろうか。
はい!うまく聞こえてます!こんにちは!
 ゆずが改めて挨拶する。
それならよかっタ。
完璧な翻訳にはまだまだ時間がかかるけド、意思疎通はできそうね。
私はミーラ・シャーマリード・コットン・ゆるゆる。ミーラでいいわ。おねえさんと呼んでもいいわよ♡
 コットン?ゆるゆる!?僕は危うく笑ってしまいそうになった。正確にはちょーーーとだけ笑ったあといけない!と思って咳をして誤魔化した。
可愛い名前ですね!ミーラおねえさん!
名前に日本語が混じって……混じってますけど、日本人なんですか?
ニホンゴ?えーと、どれどれ、あア、君たちの言語ね。なるほド。
きっと私の名前の一部があなた達の言葉に翻訳されているんだわ。
「ミーラ」以外は本当はぜんぜん違う発音なんだけド、このオルタナボールくんが君たち知ってる言葉に直しちゃったみたイ。
調整もできるけど、私の名前の中には君たちでは発音できない言葉も混じってるかもしれないからこのままにしましょ♡
 うへえ。よくわからないけどすごい。あの手のひらサイズの球体が僕たちの会話を翻訳してくれてるんだ。
 このおねえさん。ミーラさんの想定してないような翻訳もしちゃうみたいだけど。
 こんなすごい家電が発売されたなんて聞いたことがない。僕らの世界にあるものには見えない。
オルタナボールくんの翻訳は結構強引なので気をつけてね。同じものではなく似たものをちょくちょく結びつけちゃう。動物とか食べ物とか実物並べると似てるけど違うものだったってこともあるノ。
どちらかの言葉に存在しない言葉であれば元の発音になりまーす。
この翻訳に頼っていることからわかると思うけど、私は地球人ではありまセん。
はーい!よくわかりました!
君たちのお名前は?♡
あっ僕は佐藤 勇太です。こっちは妹の佐藤 優澄(ゆずみ)。
はーい!ゆずみです!ゆずってよく呼ばれます!よろしくお願いします!
 ゆずはそういって礼儀正しくお辞儀をする。
 ミーラさんは一瞬ポカンとしたあと同じようにお辞儀を返してくれた。
この星では頭を下げるのが挨拶なのですね。似たような挨拶をする生命体を見たことがありまス。
私の挨拶は上手くできてましたか?
はい。お上手です!
ニュポーニュポー!!
 タコの化物がミーラさんを真似てお辞儀してみせる。
た、タコさん(?)もお上手です・・・。
ふふふっ。タコだってサ。この星にもタコがいるんだねえ。よかったナ、キララ。お友達になれるかもね。
僕たちの知ってるタコはこんな大きくないんですけどね……。
 会話が続いている。タコの化物……もうタコでいいか。向こうに通じるし。
 タコも暴れるようなことはないしミーラさんは丁寧だし友好的に話せている気がする。
 しかしこのままでは分からないことだらけだ。
 僕は思い切って核心を聞くことにした。
ミーラさんたちはその……どういった方なんですか?うちで何を?
ああー。私達ねー。私達はズバリ・・・!
 ゴクリ。
宇宙人です!よろしくねー!
 !!
 宇宙人だったのか。見た目の時点でもうただの人ではないと思ってたけど、まさか僕とゆずが宇宙人と出会う日が来るなんて……。
 何しに来たんだろう。まさか子供を連れ去さって実験をしてるとか?キャトルなんちゃらってやつだ。今友好的に話してるのは油断させるためとか!?
 僕は謎が解けてホッとする反面、少し焦った。
そ、それで宇宙人さんが僕んちになにの用ですか?
ぼ、ぼくやゆずでダークキャトルグレートミー、ミー……えええと実験するつもりですか!?
あーー。ここに来た理由ねー。
はい。
ここに来た理由は……。
ありません!
ええ…………。
だって私ら遭難者なんだもンー。
キララ、ああ、こっちのタコのこトね。キララと二人で銀河横断旅行ってやつをしてたんだけど、船が少隕石にぶつかっちゃってサ。
近くに避難できそうな星がないか調べたら未開の星だけど青い星があってサ。そこに不時着したってわけ!
その着地点がねー……ここ♡

そ、遭難……。未開の星……。
あー。気を悪くしないでね。私らにとっては「大宇宙二重銀河連盟」に加盟してない星は未開の星ってことになるからサ。
現在、この宇宙で確認されてる100兆を超える銀河とブラックホールの先にあるはぐれ銀河、この中で一定の文明力と条件を満たした星だけが加盟星になれるノ。
加盟星以外は未開の星で公式には条件を満たした知的生命体は住んでないってことになってるノ。
この星に適当な言葉があるかわからないけど無人島とか原住民の島って感じかなー。
 少し失礼なことを言われてる気がするけどスケールが大きすぎてよく分からない。悪意があるようには感じないけど……。
 地球が無人島に感じるくらい文明に差があるってことだろうか?
僕ら……原住民で原始人?
いやいや、ちゃんとお話できて礼儀正しくて助かってるよー。
不時着した星が知的生命体が生活してる星で本当によかったヨ。
大気も私に合ってる方だったし。
あくまでお偉いさんが勝手に決めた基準だから気にしないで欲しいナー。
はーい!よくわからないけど気にしませーん!
ゆずちゃん話の分かる子でおねーさん助かるワ♡
えーとじゃあ僕らを捕まえて食べたり実験したりなんてしないってことですよね?
あー。怖がらせちゃったかナ?
食べるどころかおねーさんたち困ってるから助けてほしいくらいなんだヨ。
この星のことは今オルタナボールくんにサーチしてもらってるけどこれはすごく時間がかかることだし、船は壊れてるし、色々とこの星の知的生命体に相談できたら助かるんだよ。
知的生命体がいて助かったってことはそういうこと♡
 また油断できないけど、僕たちの身の安全は保証されたかな?とりあえずよかった。
船壊れちゃったって大変ですよねっ。どこにあるんですか?
あーーーー。ちゃんと伝えないトねえ。
 ミーラさんが少し申し訳なさそうな顔をしてから指差すとその方向には大穴が空いていて大岩がめり込んできている。元ベランダは吹き飛んでいて原型もない。

 あああああああああああああああああああ!!

 そーーーいえば目が覚めたときにも大タコが現れたときにもあの大岩を見たんだった!タコの登場やらミーラさんの踊りやらで完全に忘れていた。
 ぼくんちのベランダが吹き飛んでるうう!!?
お母さんに怒られちゃう~。
やっぱまずかったカ。ごめんごめん。
あれ隕石に擬態した宇宙船なんだヨねー。
……あー君大丈夫?
 ど、どうしようか。お母さんが見たら卒倒するぞ。単身赴任中の親父も知ったらなんていうか……。
 というか隕石衝突したなんて大騒ぎになるんじゃ……。
もしかして外が大騒ぎなんじゃ!?
ああ。きっと大丈夫ヨ。外の人は中に入ってこれないから♡
ええええ!お母さんがまだ外だよ!
あー。家族の方ネ。ちょっとまってね。オルタナボールくん。
 例の球体が僕とゆずにそれぞれ近づいていったと思うとすぐ戻っていった。あれはオルタナボールというのか。
この星の知的生命体の交配方法はオルタナボールが既にサーチ済みだったノ。割りとポピュラーな方法だったので助かっタわ。
土から無限に生まれる知的生命体や分裂する知的生命体もいるからねえ。
君たちの血縁者を予想できたので入れるようにしたわよ♡
母さんが入れるようになったのはいいけどリビングが半壊したままでは困るよー!?
それにここに隕石が落ちてきたって騒ぎになったら人がいっぱい来ちゃって宇宙人いるってバレちゃうよ!
おーー人がいっぱい来たら実は困っちゃうわ。でも大丈夫よ♡
不時着した後すぐに「ハイド・O・保護空間」をこの建物の周りに張ったノ。オドゥオドゥというまだこの文明にはないだろう光学技術を使って、周りの外観を確認して全体像を予想して指定のポイント、今回で言うと壊れた箇所ネ、これを壊れる前に見えるようにしてあるノ。
簡単に言うと外から見たら何も起きてないのよ♡
オドゥオドゥ……聞いたことない言葉ですけどなんかすごいんですね。じゃあ大丈夫なのかな?
念押しにちょっと薬剤ばらまいたからねえ。半径2km内にいた人で不時着の時間にこの家を見た人はそのことを忘れてもらいまシた♡
さらにオルタナボールに半径25kmの機械類にハッキングを仕掛けてもらって30件ほどの画像、動画データも消去しまシた♡
更にオルタナボールはデータの通信記録を監視して追跡しましたヨ。100%消去した自信があります。
薬剤!?こわ!こわいよ!大丈夫なのそれ!?
というかめっちゃ写メ撮られてるじゃん。
ちゃんと事前にサーチしてこの星の知的生命体に適切な薬剤を選んだので大丈夫です。仮に失敗して未開の星とそこに住む生命体が壊れても宇宙に損失はありません♡
ニュポ!?
え・・・。
……え。未開の星って地球のこと……?
生命体が壊れるだけだって酷くない!?
あーーー。ちょっと待ってちょっと待っテ。翻訳が悪さしたようです。この星の生命体がどうなってもいいとは思ってませんよ。
この星の生命体に敬意も持ってます。
私が言いたかったのは万が一被害が出ても責任をもって治すつもりだっタということです。
……そ、そうなの?じゃあいいけど。
翻訳完璧じゃないので気分を害したらごめんなさイねー。
よかった。
うーん。他の人にバレてないことはわかったけど、この壊れた穴はどうしよう……。
そうねー。直してあげたいけどちょっとオルタナボールや宇宙船のパワーは修理に回せないわねー。
初めてきた星だから最低限のサーチをしておかないと危険だし、「ハイド・O・保護空間」って結構エネルギー使うのよ。
迷惑かけたのはこっちだからなんとかしたいんだけドねー。
ただね。ただネ。大穴開いてるけど寒くないデしょ?「ハイド・O・保護空間」が保護膜にもなってるのよ。
ニュポ!ニュポポ!
あー。あれ試してみよっか?
でも宇宙船壊れて動かせないからねえ。まあ修復予想立ててもらうだけでも役立つかな。
……ど・こ・か・な?っと
じゃーーん♡
 ミーラさんは勝手に一人で頷いてから唐突にタコの背中に手を突っ込んだ。
 ……ええっ!?
 タコは特に気にしてないようだ。そしてスポンと3体の人形を取り出した。
これこそ宇宙の叡智の結晶!大工さん!
まんまじゃないかぁ!
ふふふっ。まんまだっタ?
そう、名前の通りこの人形たちは家を立てたり修繕したりするすごい子たちなノ。
オルタナボールと連携してないから時間かかるけど未開の地でも修繕に必要なものを調べて工事もしてくれるわ♡
とりあえず1日放っておいて修繕に必要なデータを算出してもらいましょう。
一日か……。母さんになんて言うかな。
直すのはもうちょっとかかるけどね。穴にはまってる宇宙船どうにかしないといけなイし。
親御さんには私が上手く言うわよー。まかせてね♡
 ……不安だー。もし翻訳システムがまたおかしなことになったら戦争だよ~。
あの・・・!
ミーラおねえさんたちは宇宙船を直せたらいいんですか?色々困ってると言ってましたけど。
そうねえ。問題点は2つかナ。
1つは宇宙船が動かないこと。完全に死んでるわけじゃなくて使える機能、使えない機能半々ってところ。特に肝心の宙に浮く機能が使えないのよねー。あと燃料も少隕石の衝突で大半がなくなっちゃった。
なのでなんとかこれを直したいの。問題は山積みだから詳細は少しずつ相談させてね。
宇宙船が壊れてたら帰れないよなー。それは大変だよ。
もう1つは君たちに遭遇したことかナー。
いやねえ……実は未開の星の知的生命体に接触することも宇宙人だってバレることも知識与えることもぜーーーんぶ宇宙の法律で禁止されてるんだよねー。
していいことは文明の発達を見守ることくらい。
いやー参った!おねえさんとうとう犯罪者♡
おねーさん、犯罪者ー。
犯罪者ー♡
ええええ。なんかごく自然に接触してきませんでした!?
この星の、それも建物に不時着した時点である程度覚悟したからねー。
それに私の踊りに拍手してくれタでしょ?拍手よね?あれ?
オルタナボールに聞いたら感動したり尊敬したときにするアクションなんでしょウ!
私の踊りに感動してくれた子どもたちと話さないなんてもったいないじゃない!!
なので話しちゃった♡
はい!あれはとっても美しい踊りでした!!感動しました!
まあーーー!ゆずちゃんなんていい子なの!いい子過ぎ!!
 ミーラさんは随分と喜んでいるようでゆずに抱きついている。
 あの踊りにはそれだけ愛着があるのかな?
ぼ、ぼくも綺麗だと思いました……ゴニョゴニョ。
 人を褒めるのって恥ずかしい!
 でも聞こえていたのかミーラさんはゆずに抱きついたまま僕の頭をなでてきた。
 なでなでされるのなんていくつぶりだよ!……まあ悪くはないかな。うん。やっぱりいい人なのかもしれない。
ぷはっ。
まっ。要はバレなきゃいいのよ!どうせこんな宇宙のハズレの銀河のハズレの未開の星に他の宇宙人なんてこないわ!
おねえさんみたいな美人は時にズルいのヨ♡ズルしまショ♡
というわけで救援信号を送るって方法もあるんだけどそれは本当に最後の手段にするわ。
自分たちで宇宙船を直して君たちにあった思い出を持って帰るワよ!うん!
 つまり僕らに会ったことで他の宇宙人にバレずに帰らないと犯罪者になるから、自力で帰るってことだ。
 バイタリティあるなあ。僕だったら遭難してそんな前向きになれないぞ!?
というわけで……しばらく厄介になるわね?
 ええー……。
お、お母さんがいいといえばどうぞ?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

名前:佐藤 勇太
通称「ゆーた」。中学2年生。本編の主人公。
いわゆる中二病でなにごとも自分なりにカッコイイ呼び方で呼ぼうとする。考え方も中二病で偉大な正義や犠牲ある勝利に憧れているが、自分だけはズルをしても許されると考えている。
素直な気持ちを伝えることは恥ずかしくてできないが、家族のことは大好きである。

名前:佐藤 優澄(ゆずみ)
通称「ゆず」。小学5年生。
兄とは異なりしっかり者の女の子である。ゆーたが中二病ネーミングをすると「それは○○だよ、おにいちゃん!」と訂正してくれる。
まだ幼いため怖がりで人見知りな一面もある。

名前:ミーラ・シャーマリード・コットン・ゆるゆる
通称「ミーラ」。ふわふわ系宇宙人。羊のような角とふわふわな毛玉が特徴な宇宙人である。
ゆーたとゆずが出会った宇宙人の一人である。普段は優しく余裕を持ったおねーさんの立ち振舞をしているが、怒ると何をするかわからない。
宇宙宗教「リブレス」の信徒で神への祈りとして華麗な舞を舞うことができる。

名前:雲母(きらら)
通称「タコ」。タコ型宇宙人。まるで地球のタコのような見た目の宇宙人である。
ゆーたとゆずが出会った宇宙人の一人である。見た目に反して乙女でとっても優しい。
宇宙宗教「リブレス」の信徒でミーラの親友。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色