第2話 食生活の迷走、のち改善(たまに失敗)

文字数 947文字

結婚後、夫の食生活(と、おなら)の改善に取り組み始めた。
とは言え、私は料理の苦手なただのアラサーである。
栄養バランスばっちりの「理想の食卓」なんてものとは程遠く、惣菜や時短メニューなんかも駆使しつつ、クックパッドを先生とする日々を過ごす。

結婚してすぐの頃、夫はなかなかの大食漢で、放っておくといくらでも食べた。
ごはんは丼、おかずは大盛が常で、私が2食分の感覚で調理したものであっても、一度できれいに平らげる。
どうやら、これは夫の実家での食生活がベースになっているようだった。
義実家で出てきた食事の量が、明らかに家族の人数に見合っていなかったのだ。
夫の身長が伸び始めた十代後半くらいに成長期に見合った食事量になり、そこから徐々に増え、そのまま維持されていたらしい。

だが、彼はもう四十路を目の前にしたいい大人である。
代謝も活動量も、随分と変化しているはずだ。
アラフォーで、肉体労働に従事しているのでもない成人男性が、育ち盛りの青少年と同じような食事をしているのはあまり健康的とは言えない。
その証拠に、二十代の頃と比べてかなり体も大きくなっている。
十年振りに会った人に驚かれるくらいには。

しかも、消化器系に不安を覚えているにもかかわらず、常に大量に食べてはそれらを酷使しているのである。
それは体からもクレームが来るであろう。
お腹を壊しやすかったり、はたまた妙に居座られたりするのも、そういうことなのかと考える。
おならについては、ちょっと攻撃性が高すぎる気もするが。

というわけで、まずは食事量を年齢に見合ったものに近づけることから始めた。
丼に山盛りご飯を盛りつけようとするのを止め、お揃いの茶碗がいいと主張する。
主食の量から調整するためだ。
(実は私が個人的にお揃いを使いたかったためでもある)
おかずについては、「たくさんあっても一度に食べきる必要はない」と繰り返し話し、取り分けるようになった。
幸い、量を決めるとそこで食べるのを止めてくれる人だったので、食事量は次第に減っていき、一年後には外食でも大盛を食べることがなくなっていた。
体が受け付けなくなってきたのか、食べすぎると体に不調を感じることも出てきたらしい。
それでも、大好きな麺類に関しては相変わらずの大盛で、翌日に後悔することを繰り返している。
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