第28話 突風‼️
文字数 785文字
信じられぬことが起こった。
いきなり横合いから凄まじい突風が吹いたのだ!
風に押されてスラーブがさらに曲がり、玉井の背中を通り抜けてゆく。
玉井のバットは空振りをきった。
送りバントのサインがでていたので神楽坂は本塁に突入せざるを得ない。
そこへ待ち構えていたのはスラーブを捕球した月岡のミットだ。
神楽坂に覚えたてのスイムを使う余裕はなかった。
体ごと覆い被さるような体勢で上から押さえつけられた。
「アウツ!」
桜台の希望とチャンスは文字どおり潰されたのである。
その後、玉井はピッチャーゴロに倒れ、せっかくのチャンスを桜台は活かすことがで
きず8回裏の守りに入った。
滝沢は凪浜の先頭8番、つづく9番を内野ゴロに打ち取ったが、1番鳥沢、2番平岩、
3番花添と三者連続でフォアボールをだし、打順を4番の風巻頼我にまわしてしまった。
マウンドに内外野のナインが集まる。
塁が埋まってしまっているので頼我の敬遠はあり得ない。
となれば、とる方策はたったひとつ。
「ハンマーボールでゆく!」
口の動きを読まれないように口元をグラブで隠しながら滝沢がいった。
ハンマーボールとは特殊な体の使い方をしたパワーストレートだ。
踏み出すストライド幅が広くリリースと同時に軸足を強く蹴る。
体全体を投石器に見立てた投法で当然、体の負担が大きい。
土煙を巻きあげるかのような軸足の蹴りが重要だが、それには踏み出した足の踏ん
張りがなによりも重要になってくる。故障をかかえた滝沢の右足がそれに耐えられる
かが問題だ。
「やるしかない」
滝沢は断言した。武藤は彼をマウンドに送り出す際、「すべてまかせた」と告げて
ある。ここまできたら、滝沢のやりたいようにやらせるしかないのだ。
滝沢の決意を聞いて桜台ナインがそれぞれの守備位置につく。
この試合、最大の山場がやってきた。
第29話につづく
いきなり横合いから凄まじい突風が吹いたのだ!
風に押されてスラーブがさらに曲がり、玉井の背中を通り抜けてゆく。
玉井のバットは空振りをきった。
送りバントのサインがでていたので神楽坂は本塁に突入せざるを得ない。
そこへ待ち構えていたのはスラーブを捕球した月岡のミットだ。
神楽坂に覚えたてのスイムを使う余裕はなかった。
体ごと覆い被さるような体勢で上から押さえつけられた。
「アウツ!」
桜台の希望とチャンスは文字どおり潰されたのである。
その後、玉井はピッチャーゴロに倒れ、せっかくのチャンスを桜台は活かすことがで
きず8回裏の守りに入った。
滝沢は凪浜の先頭8番、つづく9番を内野ゴロに打ち取ったが、1番鳥沢、2番平岩、
3番花添と三者連続でフォアボールをだし、打順を4番の風巻頼我にまわしてしまった。
マウンドに内外野のナインが集まる。
塁が埋まってしまっているので頼我の敬遠はあり得ない。
となれば、とる方策はたったひとつ。
「ハンマーボールでゆく!」
口の動きを読まれないように口元をグラブで隠しながら滝沢がいった。
ハンマーボールとは特殊な体の使い方をしたパワーストレートだ。
踏み出すストライド幅が広くリリースと同時に軸足を強く蹴る。
体全体を投石器に見立てた投法で当然、体の負担が大きい。
土煙を巻きあげるかのような軸足の蹴りが重要だが、それには踏み出した足の踏ん
張りがなによりも重要になってくる。故障をかかえた滝沢の右足がそれに耐えられる
かが問題だ。
「やるしかない」
滝沢は断言した。武藤は彼をマウンドに送り出す際、「すべてまかせた」と告げて
ある。ここまできたら、滝沢のやりたいようにやらせるしかないのだ。
滝沢の決意を聞いて桜台ナインがそれぞれの守備位置につく。
この試合、最大の山場がやってきた。
第29話につづく