第25話 ママチャリ300kmの旅 後説明

文字数 1,045文字

 ここでは、補足でも書いていこうかな。 


 私は無事に、東京の家から愛知の実家までの300kmを走破した。
 実際のところ、紆余曲折した道のりだったため、もっと走っているのは確実だ。
 体感ではあるが、おそらく330kmくらい。道を何度も変更したうえ、とくに旧道の遠回りと積雪からの退却で結構な距離を増やしている。


 帰った実家では、何も知らせずに自転車で帰ったので両親に驚かれた。
 ただ、お前はアホかと笑ってくれたのが、妙に嬉しかった。

 かかった時間は、
 
 2泊4日の74時間。

 なんだろう。ちょっと数字がおかしいね。

 体重は、4日間で3kgも痩せていた。

 道中では結構な量を食べていたはずなのに、実家の体重計に乗ってみればそれに驚き、改めて大変な旅だったんだなとしみじみと思った。たしかに、飲食が多かったにもかかわらずトイレに行く回数は少なかったし、ネットカフェで休むたびに太ももは細くなっていた。吸収したカロリーが全然追いついていなかった感じだった。

 だからもし、皆様のなかで短期間に痩せたい方がおられたら、ぜひとも東京―愛知をご走破ください。ただし責任は負いませんし、あの夜の山道を走ることになっても知りません。

 
 じつは、当初は往復するつもりだったけれども、もうあの道のりは走りたくないよね笑
 
 だから帰りは新幹線に乗って帰った。
 三時間も、二万円もかからない……笑。


 それと、東京に帰ってから一か月くらい経ったころに警察から電話が来た。
 轢き逃げした人をずっと探しているが見つからない、とのこと。
 まあ、それは仕方ない。車のナンバーをちゃんと覚えなかった私も悪いのだから。それに警察は私の件よりもやらねばならないことがたくさんある。いつまでも私にかまってもらうわけにはいかない。私のほうから捜査を断ると申し訳なさそうに謝罪された。
 そのあと、「愛知には辿り着けたのですか?」と聞かれた。
 
 あっ、やっぱり気になるよね!?
 
 警察官も人間なのだ。気になるものは気になってしまうのだ。
 そのあとは少しだけ旅の話に花を咲かせた。 


 最後に。
 この旅で学んだことをひとつだけにまとめるなら、やっぱりこれだ。


 ――『急がば回れ』
 

 長期間の物事を行うときは進めることが大事になってくる。
 
 迷ったときは、進めるほうへ。

 だって、人生も長いし。



 
 私は新幹線で東京へと戻る。

 途中、車窓をのぞけば私の走ってきた道が見える。

 そこには、私の面影が自転車を、力強く一生懸命に漕いでいた。



 
 本当におわり



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