堤方権現台古墳
文字数 3,295文字
私達は先日、中生代ジュラ紀・白亜紀の「イザナギ プレート」が、南から北へと付加体を運搬し、日本列島の骨格を創成したと学びましたが、あれから一億年もの壮大な歳月を経て、ここ私達の郷土には、イザナギ神を継承する神々の記憶、私達の先祖の足跡が遺されています。この地域の自然には、地球環境の歴史を読み解く鍵も秘められています。日本の三教と呼ばれる仏教・神道・キリスト教が共生し、現世の繁栄と来世の救済、延いては一切衆生の幸福を祈る、聖の霊地…それが、池上本門寺を始めとする長栄山です。そして、私達が生きている時代、この現在という世界もまた、いつかは未来の人々に、過去の遺跡として発見されるのかも知れません。
「後世…例えば百年後に、この地を訪れる人々は、私達の遺骨が埋まっている地層を、如何なる歴史時代・地質時代として認識するのだろうか?『東京時代』?それとも…『日本人という民族、人類という動物種が棲息していた時代』かも知れないな」
近年は、御会式に次ぐ規模の「池上祭」という夏祭が毎年8月末に開催され、長栄山の南麓にある会館では、大森・池上の歴史地理に関する写真展などが行われています…が、この池上祭も(やっぱり)ウィルスで中止になってしまいました。池上会館の手前から呑川に架かっている橋は「妙見橋」と名付けられていますが、ここから「妙見坂」を登って長栄山本門寺に参ると、妙見堂があります。ここには、北極星や北斗七星の神であられる妙見菩薩(北辰権現)が祀られています。
「我が国の神道では
前章で学んだように、地球には数多くの小惑星が急接近しており、隕石として地表に落下衝突する事もあります。あっくん曰く、天体が歴史を左右した出来事は、ほかにも色々とあったそうです。例えば1908(明治四十一)年、東シベリアのバイカル湖上空で、小惑星または彗星に由来する隕石が空中爆発しましたが、その破壊力は広島原爆の約1000倍に達し、地球全体に衝撃波が及びました。しかし…この隕石の飛来が、もし数時間でも遅れていたら、ロシア帝国の首都
「…さて、噴水の池が見えて来たし、そろそろ本門寺公園の出口だね。そう言えば…この辺りの樹木って、秋になっても落葉しない事があるよね。どうしてなのかな?」
「池上本門寺の周辺には、常緑樹林が広い面積で遺されている。『大森』という地名の通り、かつてはこの森林が、大森・蒲田の一帯を覆っていたようだ。この噴水池も、当時は呑川に…いや、東京湾に繋がるほど広く深かったんだろうな」
思っていたよりも長話になってしまいましたが、こうして私達は、長栄山への参詣を無事に終える事ができました。この長栄山を含む荏原台地の中で、先程の堤方権現台古墳よりも更に深い地下には、更新世に箱根山や富士山が噴火した時の関東凝灰層が堆積しています。数十年前までは、池上本門寺や呑川で地層を観察できましたが、都市化により現在は難しくなっています。さて、私達の旅はまだ序曲に過ぎません。
本門寺から池上通りを北上した大森中央は、歴史的には「