ここは地獄か?

文字数 871文字

拘束帯で縛っていく、4,5人の看護師の目がまるでいたずら炙るようにキラキラ輝いているように見える。心理的虐待を感じる。何年か後にハレがある精神病棟以外では、患者に手袋で拘束する時でさえ、看護師は「ごめんなさい、こんなこと本当はしたくないのだけど、医療のためだから少しだけ我慢してくださいね。」と必ず患者たちに断わっているのを目にした。だいぶ違うものだ。

ハレに対して看護師たちは無言でズカズカと部屋に入ってきて、縛りあげたのだ。

この何も食べず、点滴で栄養をとり、管で排泄する。お風呂にも入れない。
何週間経ったのかも分からない。寝て、目覚めたとき、白い無機質な天井を見て、今いる自分の立場を再認識する。
「これは夢ではなかったのか!いつまで続く悪夢なのか!」

まるで地獄のよう。涙が出るけれど、時には助けてと叫ぶけれど、あまりに長く拘束されているため、ハレの部屋には看護師があまり立ち寄らなくなっていった。廊下のざわめきや足音などが耳に入るが大の字にきつく縛られているので何も見えない。
また、ハレは夜は誰か男で意地悪な看護師に乱暴されるのではないか?とさらに恐怖でおののいた。

その当時ハレはどちらかといえば痩せている体型だった。ところが拘束帯の悲劇でハレはさらにさらに痩せてしまった。

もともと乾燥肌のハレは唇がガサガサして割れていた。泣き叫ぶから尚更である。また、極真空手の男性看護師には暴力に近い見えない暴力を受けたのと、以前口の中に献血台を思い切り入れられて唇が切れていたので、顔の周りはガサガサだった。

地獄のような毎日

考えてみてほしい。ひとつの部屋に隔離されている。そしてベッドにくくりつけられている。体は女性なのに恥ずべきすけすけの服。管がたくさん通っている。誰ひとり話し相手もいなく放置されている状態である。

これはまさしく拷問状態だった。本当の拷問は電気けいれん療法らしい、ともいう。

ハレは体重が心労で10キロ減った。毎日鳥肌が立ち恐怖の勢いは凄まじく侵食していったのである。
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登場人物紹介

ハレは30代の生まれた時から洗礼を授けられたクリスチャン。5歳年下の夫も結婚後しばらく経ってから受洗。ハレは子供が生まれたら司祭になったらいいな、と夢見ている。ところが実際にはそんな簡単に恵まれるわけでもなく教会コミュニティで奮闘するハレの姿を追っていく。

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