第2話 新たな日常

文字数 906文字

初日は、先生が事前に作ってきたゲームをしたり、英語の問題を解いたりした。特に英語を話す機会はなく、同じ言語を話す者同士で仲良く過ごしている。クラスの八割型が同じ言語を話すようで、入り込む隙はなさそうだった。

休憩時間には新しい生徒を気遣う様子もなく、みんなが小走りに外へ出て行く。わたしもわからないながらに朝来たエレベーターを降りて、外に出る。
パッケージの寿司を売っているワゴンは朝見たとおりにそこにいた。いくつか寿司が減ったようにも見える。

わたしは大きな通りを渡って、冷たい冬の風を感じた。道は大きく開けていて、風が思い切り通ってくる。

寒い割に陽が強くて、建物の陰になる場所は闇のように黒く見える。白黒の世界に迷い込んできたようだった。

大通りを渡って小道に入り、しばらく歩くとカフェがあった。カフェ以外は何もない通りだ。向かいには銀行のような大きな建物があるが、閉まっているのか静まり返っている。

カフェの前のベンチには二人の強面の中年の男性が座っている。営業妨害かと思うほどに入りづらい。外から見てもサンドイッチを売っているように見えるのだが、強面の男性が座っているため入ることは諦めた。

拳銃を国民が自由に入手できないことから、比較的安全なのではないかとは思っているが、正直オーストラリアの治安についてはよく知らない。あまり怖そうな男性がいる場所には近づかない方が無難だろう。

しばらく歩くと、いくつかカフェが連なる開けた場所へと出てきた。フードコートのような建物も少し先に見える。

わたしはしばらくカフェを眺めたが、大概が売っているものは同じであることを確認して、一つ大きな丸いサンドイッチを買った。

サンドイッチは四角いものだと思っていたから、丸いサンドイッチは初めてだ。近くのベンチに座ってサンドイッチを頬張る。

特に美味しくもなく、不味くもないパンの部分がやたらと多いサンドイッチ。それよりも分量がやたらと多いことが気になる。

半分ほど食べて、サンドイッチが入っていたラップにサンドイッチを包みなおしてカバンに入れて元来た道を戻る。他の生徒は何を食べに出ているのだろう。明日は寿司を試してみても良いのかもしれない。
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