第49話 【完】言わなくても分かること

文字数 652文字

明美は正人の答えを聞いて、正人らしいと思っていた。
でも明美は正人らしさが何か分かっていなかった。
正人が明美に伝えようとしてくれていることが嬉しかったからそう感じただけだった。







「明美の答えは?」







明美は明美の両親のことではなく、自分に置き換えて考えていた。
それはある意味明美の願望であった。




「それでも一緒にいたかったから」




明美は、正人が優和や勇に対してどう思っていても、正人と一緒にいたいと思っていた。
どうしてこの感情に今まで気づかなかったんだろう。
これからは正人の難しい感情も含めて全て尊重したいと思った。
それが本当にできるかどうかは分からなかったが、少なくともそうでありたいとは思っていた。




こんなにお互い話したのはいつぶりだろうか。
最近の明美と正人はどうかしていた。
どんなにお互いのことを大事に思っていても、どうしてもうまくいかないことがある。




夫婦って難しい。
でも夫婦であることを続けたい。
明美は正人との関係でそう思ったのだった。





帰り道。
明美が道を歩いていると正人は道路側を歩こうとした。
明美はその心遣いが嬉しかった。




「嬉しかったんだよ」




明美は急に何のことを言われているか分からなかった。
確認しようと思った。
でもやめた。
明美が確認しなくても分かった。
正人の目は優しく明美のお腹に向けられていた。




【完】
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