(二)-16

文字数 337文字

 しかし、「武雄」という名前の持ち主はいた。私の記憶は正しかった。あの意地悪をしてきた有田武雄と、地元の川居総合高校に進学した三河内武雄の二人だった。そういえば、後者の三河内の方は、三月のときに開かれた同窓会で地元の建設業者に就職したと言っていたっけ。
 前者の「武雄」である有田は、確か高校卒業とともに引っ越ししてしまい、高校も引っ越し先の高校へ行ったハズだ。実際にそうなのかはわからないが。
 当時私はソフトボール部で、グラウンドで練習をしていた。有田は野球部だった。グラウンドは狭かったために、野球部とソフト部がいっぺんに練習すると、お互いのボールが相手の練習エリアに飛んでいってしまうことがよくあった。そのたびに私と有田はああだこうだと言い争いをしたものだった。

(続く)
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