多重債務彼女
文字数 2,000文字
「ずっと楓さんの事が好きでした!付き合って下さい!」
「うん!500万円くれたら付き合うね!」
***
俺はいま楓と付き合っている。
楓はかなり可愛くて天然で、俺にとってドストライクな女の子だ。
ただ問題なのは、彼女は多重債務者って事だ。
借金額は500万円。
楓はギャンブルにハマってしまい、気がついたら貯金が底をついて消費者金融をハシゴして500万円の借金を作ってしまったのだ。
さすがにスーパーのレジ打ちで働いている俺には500万円をあげる余裕もなく、楓には50万円で手を打ってもらった。
楓はこんな事を言った。
「じゃ、残りの450万円は智也くんが働いて半年以内にちょうだい!」
一瞬耳を疑ったが、楓の可愛さに負けて、ついOKを出してしまったのだ。
とはいえ、半年で450万円なんて競馬か宝くじで一発当てるくらいしか方法が見つからない。
だから俺は付き合ったその日から、少ない貯金を崩しながら馬券と宝くじを買い始めた。
***
付き合い始めて三ヶ月が経った。
競馬も宝くじも当たらなくて、貯金はもう20万円くらいしかない。
給料もほとんど競馬と宝くじに費やしてしまった。
これじゃ、半年で450万円なんて無理な話だよ…。
***
「智也くん、デートしよ!」
「うん。どこ行く?」
「パチンコ!智也くんのお金で!」
いや、楓は可愛くて天然で大好きなんだけど、楓の発言には毎回耳を疑ってしまう。
大体、パチンコに行くのはデートといえるのだろうか…。
「う、うん。分かったよ。…じゃあパチンコが終わったらご飯にでも行こっか」
「うん!パチンコ行ったあとご飯食べて、そしてまたパチンコ行こっ!」
「え?」
「パチンコ行こっ!」
俺、付き合う相手間違ったのかな?
***
「5万円負けちゃったね…。とりあえず、マクドにでも行こうか?」
「まだ打ちたい!あとお財布の中いくらあるのー?」
「五千円」
「パチンコ続けようよ!一発逆転あるよ!」
「いや…五千円じゃ勝てないよ…。マクド行こうよ」
「やだ!パチンコ!」
「……。じゃあ、マクド行ってからパチンコ行こっか…」
「やった!智也くん大好き!」
何だか泣きたくなってきた。
でも、本当に楓は可愛いし天然だからうまく断れないんだよなぁ…。
***
「やっぱり負けちゃったね。そろそろ帰ろっか」
「うん!今日のデートは失敗に終わっちゃったけど、今度は勝とうね!」
「失敗って…」
「今度はあたしがお金出すね!」
「え、楓ちゃんお金あるの…?」
「プ〇ミスから借りるから大丈夫だよ!レ〇クとア〇ムのカードは何か分からないけど止められちゃったの。でも、プロ〇スはまだ使えるからだいじょーぶい!」
「楓…」
***
俺は今日「大事な話がある」と楓を公園に呼び出した。
本当につらいけど、別れ話をするつもりだ。
どうしても、どうやっても、450万円は貯められない。
むしろお金は減っていく一方だ。
これじゃ、お互いに駄目になってしまう。
だから、別れるしかない。
「智也くーん、お待たせ!お話って何かな何かな!?」
「楓…」
「良い話?悪い話?」
「残念だけど、、悪い話だよ」
「…そうなんだ。何のお話?」
「単刀直入に言うね。もう別れよう」
「え?」
「楓のこと好きだけど、やっぱり450万円は無理だよ…。ごめんだけど、別れよう」
「……」
「ごめんな」
***
後から聞いた話だけど、楓は借金に手が回らなくなって、両親と相談して自己破産を決めたらしい。
楓はギャンブル依存症だから、今は回復に向けて施設に通っているみたいだ。
俺もまたレジ打ちの仕事をしながら、楓と出会う前の平凡な日常を過ごしている。
楓の事は忘れようとしているけど、あの可愛さと天然さ…そして、何よりもあの純粋さが愛おしくて、なかなか忘れられず未練が残っている。
でも、これで良かったんだ。
450万円なんて作れないし、彼女の為にも別れて正解だった。
そう自分に言い聞かせる。
何だか悲しいな。
自然と俺の目からは涙が溢れていた。
***
楓と別れてから二年経ったある日。
楓から一通のメールが送られてきた。
「智也くん、会える?」
***
待ち合わせは別れ話をした公園。
久しぶりに楓に会う。
正直、緊張している。
一体、何の話をするのだろうか。
「智也くん、お待たせ!」
「楓ちゃん…久しぶり。どうしたの?」
「もっかい付き合お!」
…え?
「でも、俺お金は…」
「んーん!お金いらない!智也くんともっかい付き合いたい!それだけ!」
少し楓の変化に戸惑ったが、何だか凄く嬉しい。
「んー、じゃ、付き合うか!…どっかデートにでも行く?」
「うん!」
「どこ行きたい?」
楓は満面の笑顔で言った。
「お花畑!」
〜おわり〜
「うん!500万円くれたら付き合うね!」
***
俺はいま楓と付き合っている。
楓はかなり可愛くて天然で、俺にとってドストライクな女の子だ。
ただ問題なのは、彼女は多重債務者って事だ。
借金額は500万円。
楓はギャンブルにハマってしまい、気がついたら貯金が底をついて消費者金融をハシゴして500万円の借金を作ってしまったのだ。
さすがにスーパーのレジ打ちで働いている俺には500万円をあげる余裕もなく、楓には50万円で手を打ってもらった。
楓はこんな事を言った。
「じゃ、残りの450万円は智也くんが働いて半年以内にちょうだい!」
一瞬耳を疑ったが、楓の可愛さに負けて、ついOKを出してしまったのだ。
とはいえ、半年で450万円なんて競馬か宝くじで一発当てるくらいしか方法が見つからない。
だから俺は付き合ったその日から、少ない貯金を崩しながら馬券と宝くじを買い始めた。
***
付き合い始めて三ヶ月が経った。
競馬も宝くじも当たらなくて、貯金はもう20万円くらいしかない。
給料もほとんど競馬と宝くじに費やしてしまった。
これじゃ、半年で450万円なんて無理な話だよ…。
***
「智也くん、デートしよ!」
「うん。どこ行く?」
「パチンコ!智也くんのお金で!」
いや、楓は可愛くて天然で大好きなんだけど、楓の発言には毎回耳を疑ってしまう。
大体、パチンコに行くのはデートといえるのだろうか…。
「う、うん。分かったよ。…じゃあパチンコが終わったらご飯にでも行こっか」
「うん!パチンコ行ったあとご飯食べて、そしてまたパチンコ行こっ!」
「え?」
「パチンコ行こっ!」
俺、付き合う相手間違ったのかな?
***
「5万円負けちゃったね…。とりあえず、マクドにでも行こうか?」
「まだ打ちたい!あとお財布の中いくらあるのー?」
「五千円」
「パチンコ続けようよ!一発逆転あるよ!」
「いや…五千円じゃ勝てないよ…。マクド行こうよ」
「やだ!パチンコ!」
「……。じゃあ、マクド行ってからパチンコ行こっか…」
「やった!智也くん大好き!」
何だか泣きたくなってきた。
でも、本当に楓は可愛いし天然だからうまく断れないんだよなぁ…。
***
「やっぱり負けちゃったね。そろそろ帰ろっか」
「うん!今日のデートは失敗に終わっちゃったけど、今度は勝とうね!」
「失敗って…」
「今度はあたしがお金出すね!」
「え、楓ちゃんお金あるの…?」
「プ〇ミスから借りるから大丈夫だよ!レ〇クとア〇ムのカードは何か分からないけど止められちゃったの。でも、プロ〇スはまだ使えるからだいじょーぶい!」
「楓…」
***
俺は今日「大事な話がある」と楓を公園に呼び出した。
本当につらいけど、別れ話をするつもりだ。
どうしても、どうやっても、450万円は貯められない。
むしろお金は減っていく一方だ。
これじゃ、お互いに駄目になってしまう。
だから、別れるしかない。
「智也くーん、お待たせ!お話って何かな何かな!?」
「楓…」
「良い話?悪い話?」
「残念だけど、、悪い話だよ」
「…そうなんだ。何のお話?」
「単刀直入に言うね。もう別れよう」
「え?」
「楓のこと好きだけど、やっぱり450万円は無理だよ…。ごめんだけど、別れよう」
「……」
「ごめんな」
***
後から聞いた話だけど、楓は借金に手が回らなくなって、両親と相談して自己破産を決めたらしい。
楓はギャンブル依存症だから、今は回復に向けて施設に通っているみたいだ。
俺もまたレジ打ちの仕事をしながら、楓と出会う前の平凡な日常を過ごしている。
楓の事は忘れようとしているけど、あの可愛さと天然さ…そして、何よりもあの純粋さが愛おしくて、なかなか忘れられず未練が残っている。
でも、これで良かったんだ。
450万円なんて作れないし、彼女の為にも別れて正解だった。
そう自分に言い聞かせる。
何だか悲しいな。
自然と俺の目からは涙が溢れていた。
***
楓と別れてから二年経ったある日。
楓から一通のメールが送られてきた。
「智也くん、会える?」
***
待ち合わせは別れ話をした公園。
久しぶりに楓に会う。
正直、緊張している。
一体、何の話をするのだろうか。
「智也くん、お待たせ!」
「楓ちゃん…久しぶり。どうしたの?」
「もっかい付き合お!」
…え?
「でも、俺お金は…」
「んーん!お金いらない!智也くんともっかい付き合いたい!それだけ!」
少し楓の変化に戸惑ったが、何だか凄く嬉しい。
「んー、じゃ、付き合うか!…どっかデートにでも行く?」
「うん!」
「どこ行きたい?」
楓は満面の笑顔で言った。
「お花畑!」
〜おわり〜