地下牢
文字数 742文字
イゴーとトットは、王城へ向かった。彼らは、破壊された洞窟の入り口の瓦礫の中に、ゲノが残したメモを見つけた。
「王城地下」
とだけ書かれていた。意味するところはわからなかったが、手がかりも他にない。行くしかなかった。もともと王の近衛兵だった彼らだ。しかも、団長直属は戦闘よりも潜入捜査を主な任務としていた。城の中は自分の家の庭のようなものだった。隠し通路も熟知している。
「なんじゃ、こりゃ。」
二人は地下の祭壇に置かれた巨大な氷付けの塊に度肝を抜かれた。そして、さらに奥へ向かった。そこには地下牢がある。昔は反逆者などの取調べのために一時的に幽閉しておく場所だった。彼らは、そこからの明かりを見逃さなかった。ここにも、万一の反乱で王が幽閉された場合に備え、彼らしか知らない抜け穴があった。警備の兵にみつからなように進入した彼らは、牢の一室に閉じ困られた女性を見つけた。
「ユナ。」
イゴーが声をかけた。女性はゆっくりと顔を上げた。
「イゴー?」
ゲノとユナは捕まっていたのだ。
「カナタのことを知っていますか?」
ユナの必死の形相での問いにイゴーは
「無事でいます。」
とだけ答えた。
「よかった。」
ユナは安堵した。
「今、お助けします。」
彼女はイゴーの言葉に首を横に振った。そして
「私が逃げるとゲノが殺されます。彼は私を助けるためにサタドゥールの手伝いをさせられています。」
と告げた。
「巨大な氷付けの塊がありましたが、ご存知ですか?」
トットがユナにそっと尋ねる。
「北の山より掘り出した獣の躯だと聞いています。」
「サタドゥール様がお戻りになられたぞ。すぐ、出迎えの用意だ。」
番兵の声が聞こえた。イゴーとトットは床下の隠し通路へと消えた。
「王城地下」
とだけ書かれていた。意味するところはわからなかったが、手がかりも他にない。行くしかなかった。もともと王の近衛兵だった彼らだ。しかも、団長直属は戦闘よりも潜入捜査を主な任務としていた。城の中は自分の家の庭のようなものだった。隠し通路も熟知している。
「なんじゃ、こりゃ。」
二人は地下の祭壇に置かれた巨大な氷付けの塊に度肝を抜かれた。そして、さらに奥へ向かった。そこには地下牢がある。昔は反逆者などの取調べのために一時的に幽閉しておく場所だった。彼らは、そこからの明かりを見逃さなかった。ここにも、万一の反乱で王が幽閉された場合に備え、彼らしか知らない抜け穴があった。警備の兵にみつからなように進入した彼らは、牢の一室に閉じ困られた女性を見つけた。
「ユナ。」
イゴーが声をかけた。女性はゆっくりと顔を上げた。
「イゴー?」
ゲノとユナは捕まっていたのだ。
「カナタのことを知っていますか?」
ユナの必死の形相での問いにイゴーは
「無事でいます。」
とだけ答えた。
「よかった。」
ユナは安堵した。
「今、お助けします。」
彼女はイゴーの言葉に首を横に振った。そして
「私が逃げるとゲノが殺されます。彼は私を助けるためにサタドゥールの手伝いをさせられています。」
と告げた。
「巨大な氷付けの塊がありましたが、ご存知ですか?」
トットがユナにそっと尋ねる。
「北の山より掘り出した獣の躯だと聞いています。」
「サタドゥール様がお戻りになられたぞ。すぐ、出迎えの用意だ。」
番兵の声が聞こえた。イゴーとトットは床下の隠し通路へと消えた。