第7話 (1)

文字数 5,590文字




 傭兵とは、本来報酬を得るために自由に所属先を変える戦士の総称のはずだった。
 太古の時代から、人々は争い、殺し合い、多くの命を失ってきた。国家、集団、個人、それはどんな形であれ、どんな理由であれ、いまも途切れることなく、どこかで諍いや戦さが起こっている。
 際限なく血が流され続けたあるとき、傭兵たちの間である組織が立ち上がった。個々に動いていた傭兵の契約状況をまとめ管理する組合は、命が軽んじられてきた戦地や国家において、命の尊厳を認めさせ、戦さで無辜の市民を戦場に駆り出すことなく戦士が戦場に赴くように働きかけていった。
 “傭兵”とは、現代では傭兵組合に所属している戦士のことだ。紛争地で調査をして戦地と非戦地を明確にさせ、非戦士が戦場に立たなくてもいいように調整を行ない、ときには戦さを回避へと仕向けられる政治力をも問われる専門職。
 女傭兵ミーサッハは、幼きころから戦士となるべく訓練を受け、少女の年齢には初陣を果たしていた。戦場では弓にて後方支援をしながら戦局全体を見極め、指揮官に意見を述べる参謀の役割も担う。戦さの前には、その紛争地がどのような状況であるのか調査することも多かった。戦士として訓練してきたことで、日常においても人の気配には敏感で、就寝しても異変が起こればすぐに身を起こすことができた。
 その日の早朝、ミーサッハは自身の感覚がいつもと異なることを自覚しながら目覚めた。現役であれば瞬時に身を起こしただろうが、いまのミーサッハは一人ではなく、腹の子を第一に考えて動かねばならなかった。
 ミーサッハはゆっくりと寝台から身を起こし、あてがわれていた従卒の青年が近くにいるか気配を探ると、この時間のこの場所にいるはずもない人物が隣室にいることを知った。
「ビルトラン」
 小さくはないミーサッハの呼び声に、隣室から黒髪の戦士が現れた。頰に古傷を持つ男はミーサッハをナカタカからフォルッツェリオに連れ戻した傭兵仲間だった。
「起きたか」
 素っ気ない男の声に、半身を起こしただけの体勢でミーサッハは硬い表情で問う。
「なにがあった」
 思考がうすぼんやりとしていて、目覚めが悪い。常にはないことだった。ビルトランは無表情にミーサッハを見返してくる。
「昨夜侵入者があった。理由はわからんが狙いはおまえのようだ。眠りの術で眠らされ、連れ去れられそうになっていた。身重とはいえ、勘が鈍ったか?」
 ミーサッハは口端を上げる。
「この館の警備が温かったのだと思うぞ。さすがのわたしも身隠しの術をかけた者の気配を読むことは難しい。それに、昨夜は旅の疲れが残っていた。誰かに強引にここに連れてこられたのでな。この体ではいつも通りとはいかない。もっと気遣われてもよいものと思うが」
 ビルトランは苦笑してみせた。
「ああ、確かに、常のままの警備だったのは悪かった。ご婦人がこの館に参ることは皆無だったからな。おまえも女の一人であったのを昨夜思い至った」
 嫌味の応酬はそこで幕引きとなった。
「それで、賊は捕らえたのか」
「いや、おまえの身が賊と我らの間にあり、安全を優先した。術者が賊の一人にいたからな」
 それだけで状況判断ができた。どんな術がかけられたのか、そのときにはわからなかったのだろう。
「よく気づけたな。わたしでもわからなかったものを」
 ビルトランは小さくうなずきながら返答した。
「都合のよいことに、他に客人が泊まっていた。あとから知ったのだが、その客人の一人が術者で、侵入者の気配を感じ取った」
 ミーサッハは感心した。それは並の術者ではないだろう。その客人とは何者か。
「あとで会わせる。まだ早い時間だが、どうする」
 ナカタカの乾季の時期には、フォルッツェリオも暖かい季節となる。まだ外は明るくなり始めたばかりのようで、空気も涼しいままだ。
「起きるとしよう。朝食は果実水に穀類と肉を。腹の子の分もあるから量は多めに。それから、従者を呼んでくれ」
 ビルトランは吹き出し笑う。
「栄養だけが大事か? たまには料理名を言え。まあ、承知した。うちの料理当番たちは腕のいい奴らだ。従者にはなにをさせる?」
「男は察しが悪くていかん。こういう状態の女は、まずご不浄が近い。水分を多めにとって、よく動き、出産の準備をしていくものだ。そしていまは少々腰が痛い。粗相をする前に早く従者を呼べ」
 ビルトランは溜め息を吐きつつ、呆れ顔で女であるはずの傭兵を見下ろした。
「恥じらいというものをおまえも持っていたなら、もっと女扱いをしていたのだがな」
 ビルトランはミーサッハ付きの従卒を呼び込み、手助けを命じた。
 ミーサッハが朝の身支度を終え、与えられた部屋の居間で朝食を済ませたころ、ビルトランが再び訪れてきた。
「おまえも男だらけの中ではなにかと不便だろうから、女手を入れようと思う。いまから会わせる者は、先ほど言った術者であり、子供を持つ女性でもある。おまえの身の回りの世話をお願いし、了承を得ている。女性らしい人だから、あまりいつもの調子を出すなよ」
 無骨なビルトランらしからぬ気遣いだ。ミーサッハは常とはどこか違うビルトランを面白く見返す。
「承知した。もう会えるか?」
「ああ、呼ぼう。ご子息の少年も一緒だろうから、そのつもりで」
 うなずくミーサッハを見届け、ビルトランは人をやり、三人の人物を呼び込んだ。そのうちの一人、二十代後半ほどの見た目の戦士の男はデュランと名乗り、人のよさそうな笑みで、自分の妻と息子を紹介した。ミーサッハは三人に対してにこりと笑みを浮かべ、初対面の挨拶をした。
 三人ともとても人柄がよさそうで、デュラン夫人は可憐で美しく淑やかな女性であり、子息は賢そうで両親は将来が楽しみだろう。
「デュランどの、ニースどの、お二人に危ういところを助けられたと聞きました。ありがとう。お腹の子の分も合わせ、心よりお礼申し上げる。先日こちらに着いたばかりで、まだ体調も整っておりません。失礼ながら、今日のところは、ニースどのとアランどの、お二人と過ごしたいのだが」
 いつもよりも女性らしい声音をわざわざ作り、やんわりと、しかしきっぱりと、ミーサッハは申し出た。ビルトランは承知の返事をした。
「デュランどのには、共に兵舎に同行していただくとしようか」
 ビルトランの言葉にデットは快く応じた。
 ビルトランとデュランは兵団のほうへ向かい、デュランの妻ニース、子息のアランが残った。ミーサッハは人払いをし、部屋の中には三人だけとなった。
 室内に残された者たちはしばらく言葉を発しなかった。
 やがてニースが部屋に術をかけた。他者に会話を聞かれぬためのものだ。それまでアラン少年の顔を見つめたままなにも語らずにいたミーサッハは顔をほころばせた。
「見違えたな、エル。しばらく見ぬ間に男前になったではないか」
 いままでとは大きく雰囲気の変わったエルに、ミーサッハは自然と笑いかけていた。エルはたまらぬ様子でミーサッハの腰掛けた長椅子へと近づき、足元の床に座り込んだ。姉は可愛い弟の頭を軽く撫でた。
 ミーサッハはニースに視線を移すと、紹介するようにエルを促した。
「デットどのの奥方ではなかろう? 何者だ」
 どう紹介すべきか悩むようにエルは口ごもったあと、ナカタカで協力してくれた術者だとだけ言うと、続きはニース自身が担った。
「許可をいただいて、“素”に戻ってもよろしいでしょうか?」
 少し低いが通りのよい声は、抑揚も声音もとても女性らしかった。素とはなんだろうと思いながらミーサッハは許可を出す。
「あー、助かった。これを続けるのはちょっとしんどいんでね」
 姿は女性、声と態度は青年。
 なるほど、これは酔狂な人間か。
 ミーサッハはイグニシアスが婦人の仮面を外すまでは男性だとは疑ってもいなかった。
「これは、驚いた。わたしよりもよほど女らしく、よくも化けたものだな」
 戦場に身を置いてきたミーサッハは言葉遣いも所作も男顔負けだが、女性を装うイグニシアスには負けると苦笑した。
 イグニシアスは婦人の衣装のまま行儀悪く足を組んだ。
「イグニシアスという。ナカタカ、“穴熊”主人の孫、といえば、あなたにはわかるかな」
 あの“穴熊”の孫かと、ミーサッハはイグニシアスが並の神経の持ち主ではないと納得した。
「最初から話をすると長くなるので、単刀直入に訊きたい」
 ミーサッハはうなずいた。
「あなたは、この少年が“闇の精霊王”の守護を受ける者だと知っていたか?」
 イグニシアスの質問は核心を突いた。
 ミーサッハはほほえんだ。
「知っている。フォルッツェリオの戦さが終わり、国を出てエルと共に暮らしていくことを決めたとき、シリューズがわたしに話してくれた。同時に、力になってやってくれと頼まれた。シリューズは独自の考えを持つ男でな。“黒き王が甦りしとき、その者を討ち滅ぼすべし”。そんな不可思議な“声”を聞いていても、それを無条件に実行するつもりなどなかった。未来など、誰が決めたものか、と。なにゆえ黒き王を成敗せねばならないのか、そう考えていた。それに、エルはどこにでもいるような、普通の、優しい子だ。わたしたちは、この子をできる限り守ろうと誓った」
 ミーサッハはエルの目を見ながら話した。エルはなにも言えぬ様子で唇を結び、瞳を潤ませている。
「これからのことを話したい。俺たちの目的はエルの意思に沿うものだ。エルの兄さんの仇を討つことが一番の目的だが、その前にあなたの行方がわからなくなった。おそらくこの国に連れ去られたのではないかと見当をつけて入国してみたら、偶然にもこの屋敷にいるときた」
 イグニシアスは淡々と質問し、ミーサッハは小さく苦い笑みを浮かべた。
「ビルトランとは長い付き合いでな、いまでは彼もこの国の兵団長など務めているが、昔は一介の強戦士だった。シリューズもわたしも、それぞれ彼に目をかけてもらっていた。彼はシリューズの死の噂が流れたあと、わたしをずっと捜していたらしく、ナカタカでのわずかな情報を得て自ら探しにやってきた。自分が保護するときかなくてな。騒ぎを大きくしたくなかったわたしが折れた形だ。実際連れ去られたようなものだ」
「エルは、レイグラントが放った刺客により、兄さんが殺されたのだと信じているようだけど、あなたは真実を知っているのかい?」
 ミーサッハは床に座るエルを見下ろすと、小さな息をついた。この話をするには、心構えが必要だった。
「シリューズが死んだ当時、この子は大変な衝撃を受けていた。当然のことだ。自分の唯一の、大切な人間が、目の前で無残に殺されたのだから。しばらくはひどいありさまだった。なにを訊いてもなにも応えず、なにも喋らなかった。正気づいたと思ったら、レイグラントの名を口にした。わたしもシリューズ襲撃の真相を探ろうと独自に調査をしていた。調査に使っていた者からわたしが報告を受けていたのをエルは聞いていたのだ。レイグラントがシリューズの台頭に怒りそれを理由に国を追放した、シリューズに生きていられては人心が二手に分かれまたも内乱が起きかねない、フォルッツェリオ国内の有力者たちの間で、そういう噂があることを。それをエルは信じた。わたしは、あえて正さなかった。エルは、なにかを、誰かを憎むことで、日々を過ごしていたようなものだ。せめて、生きる目標を与えてやりたいと思った」
「ということは、レイグラントの手の者じゃないってこと?」
「わたしが知るレイグラントであれば、シリューズを殺す理由がない。じつはな」
 中途半端に言葉を切ったミーサッハは人の悪い笑みを浮かべた。悪戯を告白するように。
「レイグラントは、わたしに気があったのは事実だが、わたしにその気がないと知るとあっさりと身をひいた。惚れた腫れたの範疇にはない。対して、シリューズのことは、いまでも、人間として惚れ込んでいる」
 イグニシアスは意表を突かれた顔をした。編み込んだ女性らしい頭にその表情が似合わず珍妙で、ミーサッハは自分の仕掛けに満足する。
「エルも俺たちも、まんまと騙されたってこと?」
 ミーサッハは苦笑してみせた。
「すまんな。シリューズがこの国を出たのは、レイグラントのためだ。いずれエルにも話をしようと思っていたのだが、こんなに早くエルが成長しようとは思ってもみなかったのでな。そなたたちには礼をどれだけ言っても足りぬくらいだ」
 エルは眉を寄せながら笑うという複雑な表情になった。自嘲であり、ミーサッハに気遣わせたことへの感謝でもある苦い笑みだ。
「それじゃ、エルの兄さん殺害の真犯人は、誰なんだ?」
「あのときの者たちに見覚えはない。シリューズは戦士相手ならば襲撃を事前に気配で察することができるし、守護を受けていた水精王からの忠告を受け取ることもできる。だが、あの者らは殺気を見せることなく、街中を通りゆく人々の中に溶け込み、人通りのある中突然シリューズの隙をついた。あの者らの装いはばらばらで、それぞれ持っていた武器も異なり、周囲の関係のない者も気にかけることなく動いていた」
 ミーサッハは目を閉じた。
「シリューズが傭兵でいたのは、人を守りたいと、願ったからだ。戦場では同じ戦士を相手に非情でいられるが、シリューズは周りの一般市民を巻き込むことはできなかった。あの者らは、それをよく知った上で、あえて周囲を巻き込んできた。わたしは少しシリューズからは離れていた。そして、エルのそばにいた。シリューズのもとには行けなかった。彼が絶命する、そのときも」

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

エル


(ネタバレ注意、第2話あたり。)


砂漠地の憩いの町ナカタカに暮らす少年。主人公の一人。

身重の姉(兄の嫁さん)と暮らしていたが、兄の敵討ちと兄の子の成長を見守ることの選択に思い悩む。

幼き頃より働いていたため礼儀作法が身についていて、誰に対しても丁寧に接するが、無礼な者に対しては冷ややかに対応できる。外見は縦に伸びていて大人びて見えるが、まだ十一歳。陰を負った美少年。構いたい周囲の大人たちだが、少年の心情を気遣い、そっと見守っている。自分が人目を引いているとは思ってもいない天然素直で馬鹿正直な子。

明るい金に近い薄茶の髪、薄く透き通った翠の瞳。

(アイコン画像はイメージ通りではないけど、これが近いかな。もうちょい美少年にしたい。)

デット


(ネタバレ注意)


エルを助けた青年。自称魔法士としているが、剣の腕も持っている。主人公の一人。

砂漠地の憩いの町ナカタカで観光がてら休暇をとっていたときにエルと出逢う。いろいろな表情を見せるし誰とでも親しくなれるが、人の心情を読むことにも長けているため無難な人付き合いにあえてしている。


(デットからの目線で書いていることが多いので、外見はまだ話の中で表記していないが)

無造作に伸びた赤銅色の髪に、薄い琥珀の瞳。体格のよい他の戦士たちよりもさらに長身で、ほどほどの筋力を持ち、しなやかな動きをする。そんな外見でも人に溶け込んで目立たぬようにすることもできる。外見は二十代後半ほど。(どのあたりの話で彼の外見について組み込もうか…)


(アイコン画像は、本当にイメージに合うものがなくて、強いてあげるならって程度です。髪色と瞳色は脳内補正してください。服装は地味です。本人は目立ちたくないので)

ミーサッハ


(ネタバレ注意。第2話から)


エルの兄シリューズの妻。傭兵にして風精を持つ弓使いのカドル。シリューズの子を身篭っており、いまは身を潜めて出産を待っている。年齢不詳な雰囲気の美女。実年齢は三十を超えている。

濃茶の長髪、深い蒼の瞳。女の身で傭兵であるのは並大抵のことではなく、厳しい修行と壮絶な過去を経てのものであり、まだ経験不足のエルでさえそれを察することができている。


(このアイコン画像はだいぶイメージに近い。色味はいつも通り脳内補正を)

“穴熊”の主人


(ネタバレ注意)


砂漠地の憩いの町ナカタカにある食事処の主人。もういい年齢であるが、かつて戦士であった体躯はいまだ維持し続けている。全盛期よりは筋量は落ちたが、そこらの並の戦士は片手でちょいくらいはできる。

いまは白髪だが、若い頃は黒髪に茶の瞳。昔から寡黙で当時は高嶺の花的に女たちから密かに思われていたが自身はモテていたとは気付いていないくらいに朴念仁、それが歳を経ても変わらないのでいまも若い女性からも熱視線を浴びているが、自身にはいまも無頓着なイケオジ。奥さんには先立たれている。

奥さんと一緒にこのナカタカで食事処を開店、初めは戦士の斡旋所なんかしていなかったが、彼を慕う戦士が増え、彼らに短期の寝床や居場所を提供していたら自然と人脈が増え続け、現在にいたる。町の元締め(たち)の知り合い、というよりは彼も町の秩序の一端にある。


(アイコン画像は、まあまあイメージに近いんでは。この話では名前は出ませんが、この人が主人公のスピンオフあり。奥さんとの馴れ初め話。この作者で珍しい恋愛モノ。どこかで書こうと思ってます。いまの主人公たちより設定が多い…)

イグニシアス


(ネタバレ注意。第4話から)


ナカタカ“穴熊”店主の実の孫。肩まで伸びた真っ直ぐな黒髪、薄く透き通った金の瞳。

20歳前の女性に見える、中身も名も雄々しいべらんめえ口調の美男子。22歳。

ナカタカで一番といわれるほどの実力の術者。術者=五精霊すべての守護を受けているということ。

生まれながら全盲。代わりに精霊の力を借りているので健常者と変わらないくらいに行動できている。

これから先ずっとエルやデットのそばにいてくれる頼もしい味方。準主役。


(ちょっといいアイコンがないので、女の子アイコンから無理やり持ってきてみた。まあ、いいでしょう。シリーズ内登場人物上の最高の美少女、の顔を持っている人。そしてあの中身。だからこそ魅力的な人物。当初より出番が増えた一人。)

シリューズ


(ネタバレ注意)


傭兵として活躍していた戦士。故人。孤児だったエルを引き取り育ててくれた人。

物語中、一番中身が男前で、一番いろんな人に慕われ、一番その死を惜しまれ、この話では登場しないのに一番存在感がある。それほどの人物だった。エルの大切な誇れる兄。

愛しき妻より歳下。ミーサッハは姉さん女房。正式に夫婦となるまで、シリューズは一途にミーサッハを想い続けた。


(容姿はこの話では出てこないのでシルエットのみ。たぶんアイコンに合うものはない、どうしよう。この人を主人公として一本の話が書けるくらい波乱万丈な人生を送った。)





ネタバレ追記


終盤10話にようやく容姿判明。

銀の短髪、青の瞳。レイグラントよりは少し低いが長身の部類。しなやかな筋力を持つ俊敏な傭兵だった。本当に体格だけならデットと似ている。男前っていうよりイケメーンなイイ男。もちろんモテモテだったけど少年時代から一途な人だったんで、たくさんの人を誠実な態度で袖にしてきた。

“地雷”のビルトラン


(ネタバレ注意)


現フォルッツェリオ国家兵団長。レイグラントの側近の一人。貴族私兵・国王近衛部隊含む、フォルッツェリオ国軍務トップ。大半を戦場で過ごしてきた百戦錬磨の元傭兵。傭兵の鑑とうたわれる傭兵組合重鎮。各国が最も欲した戦士の一人。

刈り込まれた黒髪、沈みゆく陽に灼かれた大地の色の瞳。四十代、独身。頰に古傷あり。若い頃には相棒がいたが、戦場で失う。以降真に息の合う者とは出会えず、一人で多数の傷を負いながら戦い抜いてきた。

実直、堅実、誠意の人。部下や仲間に大変慕われている。女性には強くは出られないが、仲間は別で戦士の一人として厳しくできる。

ナカタカ“穴熊”主人とは昔馴染み。師と慕っている。

シリューズを失ったミーサッハを自ら探し迎えにくる。エルの存在は知らなかった。



(アイコンは、イメージに近いものがなく、強いて使うならってとこ。もっとガチムチな速さも持つ大柄な戦士。色味は脳内補完を。弱点はニースの顔。好みドンピシャ。お堅い戦士も、イグニシアスの悪戯の前では哀れただの男。)

レイグラント


(ネタバレ注意)


エルが兄の敵だと思っている人物。新興国フォルッツェリオ国の英雄王。数年前までは“傭兵”にしてカドル “迅風”のレイグラントとして名を馳せていた。歴代“傭兵”の中でも最高クラスの戦士の一人。

肩に届くほどの自然な量感の濃金髪。澄み切った空のような青の瞳。長身で鍛え上げられた体躯の屈強な戦士で、誰が見ても整った容貌の精悍な男前。まだ二十代。

己の信念に反する者には冷酷だが、根本は天然なところもある。公言はしていないが、現代の“風精王” (風の神)の守護を受けているといわれている。


(アイコンは全く合うものがないのでシルエットのみ。シルエットさえも合うものがない… 世界中のイケメン俳優さんのいいとこ取りな超絶イケメンと思ってくだされば!)

フレンジア


(ネタバレ注意。第10話から)


フォルッツェリオ国王レイグラントが拠点にしている政務府最上階に住う少女。彼女がそこに住んでいると知っているのは政務府に出入りする者の中でも国家の重要人物のみ。普段その姿を表に現すことは少ないが、職務とあらばところ構わず外へと飛び出していく。

こののちの次章の主役の一人。旧アスリロザ最後の王女。

(彼女の設定はてんこ盛りに長い。これでも割愛したほう。)

侍女として王城内に勤めていた母が国王に手をつけられて生まれた庶子。母は彼女を出産前に国王の愛妾の一人として末席に迎えられたが、彼女を産んでしばらくして死去した。当時のアスリロザ王城内は絶対王政による王家史上主義の妄執に蝕まれ陰謀渦巻く巣窟となっており、王妃もしくは筆頭愛妾の思惑で隠されたと噂されている。彼女自身も生まれてからずっとそういった害意の中で過ごしており、身分は王女の一人とされているが、母の身分の低さが理由で王族のみならず貴族たちからも王女とは認められておらず、アスリロザ国内には彼女の居場所はなかった。幼少のころに異母兄の一人に片足の踵を剣で斬られており、いまもその影響で正常に走ることはできない。当時に丁寧な治療を施されていれば完治もしたはずだが、魔法士を呼ばれることなく外科的処置もないままほとんど放置状態で外傷の治療だけ侍女の手でされたのみだった。のちにシリューズとレイグラント二人にその境遇から救い出される。

赤みがかった金色の髪に碧色の瞳。容姿はとくに優れて美少女というほどではなく一見普通の女の子だが、不幸な生い立ちにもかかわらず前向きな性格で、シリューズレイグラントに救われてから感情豊かになったことで、人間味あふれる魅力が表情に現れて可愛らしい印象になる。エルと対面しときは十代半ば。


(アイコンは雰囲気が一番近いものから。政務府から外に出るときはすっぴんポニーテールの少年の格好になる。表向きアスリロザ国王直系子は血統を断つため処刑されているので、いまのフレンジアは亡国王女ではなく、レイグラントの一客人として政務府内で暮らしているが、待遇は完全にお姫様。)

ユッカンティシアナン


(ネタバレ注意。第11話から)


フォルッツェリオ国家兵団参謀長という地位にいる、レイグラントの側近の一人。冷静沈着・慇懃無礼とは彼の代名詞。

世界で五本の指に入るだろう実力の術者としての顔のほうが名高い。知識が豊富で、その頭脳によりフォルッツェリオ国では軍務において参謀役や、外務においての諜報役を担っている。時代背景や人格が違っていれば一国の宰相もできただろう本人は、淡々と、飄々と、胡散臭く世を渡っていたいので、めんどくさい役職には就きたくなかったが、他に適度な人材もいないの仕方なくいまの役職を拝命した。

柔らかい髪質の茶髪、同じような色合いの茶眼。中肉中背で一見優男風だが、本人は気質を抑えてはいないので、普通の容姿なのに個性の強い内面が表に出ているので、異様さがかえって目立つ。長ったらしい名前ですぐに覚えてもらえないため、いろんな名で呼ばれているので、多様な顔を持っているような印象がある。それを生かして対話し人間観察することで情報収集を行なう。

遅まきながら本編終盤に登場。本人は地味に行動しているようでも、どんな場面でもいいところを掻っ攫っていくタイプ。次章フォルッツェリオ建国編では活躍というか暗躍する人。

この章では登場させる気はなかったが、話の展開上と、引き締めの部分で、出したほうがいいと判断、書き直し時に登場させました。


(アイコンはモブタイプでも合いそうなものがないので無理矢理。まあいいか。)

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み