第36話  白竹魔優視点 本当の私 3

文字数 3,063文字


 ※


 昼休憩前になると私と美樹が入れ替わります。

 そうしないと美樹では放課後まで持たない。最大で六時間。リミットを含めて八時間しか男の状態でいられないので、必ずどこかで入れ替わる必要があるのです。

変身完了でし。行って来るねっ
うん。気をつけてね。

 美優はすぐに階段を登っていきました。 

 私達が入れ替わる時間で十分ほど使っちゃうから、早くクラスに戻ってお昼しないとね。



 私も少し遅れて階段を登っていきます。

 少し時間をずらして美優達のクラスへお邪魔すると、遠方組のみんなの周りに人が集まっていました。



魔樹~~~ごはんしようっ!
あんた。ここ座りなさいよ。
ありがとうございます。美神さん。
あんたたちはここ。これでいいでしょ?
さんくす美神さん。じゃーまゆちんはこっち~

ありがとぉ。あ、あの今日は……私も作ってきました。

おかずの一品だけど。みんなで食べてください!

おっと。から揚げじゃないっすか。くっそ美味そうだし。

遠慮なく頂きます!

米山さんのも皆で分けましょう。おおっ、匂いからして美味しいでしょ。

こりゃサンドイッチにも合いますしね

うにっ! 私も頂きまする! みんなで仲良く食べましょ!
美優ちゃん。いつもありがとうございます。
いつも助かります。おかげで昼飯代も使わなくて済むし、学食よりも美味いしありがたい。

 いつものように集まってくるクラスの人達。

 その中で美優はいつも褒め称えられ、みなに感謝される。今日はたまたまじいじが作成したサンドイッチだけども、いつもは朝早くから美優が作ってる。


 

美優もこの時間は楽しみって言ってた。

何よりもみんなの為になるのと……自分が役に立ててると実感できるからだそう。

 この時間は私の出る幕じゃないし、魔樹としてはただ傍観するだけ。

 みなが楽しそうにお昼してるのを眺めているだけでいい。

 そんな時、ちらっと蓮くんと目が合う。

 私は間髪いれずにウィンクで返すと、一瞬だけジトっとした目を返してきた。

こいつ。ピンポイントで俺を狙ってやがる。

とはいえ……魔樹はそういうのが好きなんだろうな。


ふふっ。私も楽しみが増えたわっ。

 普段の魔樹は今までどおり。無口なキャラでいいと思う。

 無駄に喋るのも面倒だし、沢山人間が集まる場所での発言は特に気をつけないとね。


 魔樹は私一人ではない。

 私の行動や言動は、美樹とも共有しなければならないのだから。

だけど私は魔優で……もう少し一緒にいたかった。

 今のサイクルだと、蓮くんと魔優との巡り会わせは……


 私や美優のサイクルにイレギュラーが生じた時だけ。

 基本は同じ性別で過ごしてるから……



 魔樹になってから自分のクラスへ戻ります。

 こちら側のクラスなんて賑やかな雰囲気なんて全然感じられない。


 だけどそれは私のせいでもある。

 元々魔樹では友達付き合いなんて考えてなかったし、人の事なんてどうでも良かったから。

いつもならニコラの相手をするんだけど、この前運営さんに色々頂いてからやる気が出ないし……

 今日の午後の授業は特につまらなかった。

 

 気がつけば「魔優で蓮くんと遊べる方法」そんな事ばかり考えていた。

 別に好きになった訳じゃない。

 だけど、本当の自分を見てもらえて、接してくれるから……


 それが、こんなに嬉しいなんて思いもしなかった。

 念を押して言いますが、決して彼を好きになった訳じゃない。

 私まで好きになっちゃったら、美優だって聖奈ちゃんだって困るに決まってるし……


 何よりも私には、人を好きになるという感情なんて今まで抱いたことが無いから。

 


 私は純粋に……彼と一緒にいたくて、もっと喋ったり、友達として遊びたい。そう思ってる。


 ※


 午後の授業はあっという間に過ぎ、放課後。

 大抵私のクラスの方が先に終わるので、廊下で待っていると、教室から一番早く出て行くのは美神さんです。いつもダッシュで帰る彼女。それを見送ってからクラスの人が出てくる。

美優。帰ろう。
あひ! 帰りましょう。みなさんまたね!

 いつもなら二人で帰るんだけど、今日は珍しく蓮くんも付いてきます。

 あれ? って思ったけど……よく見ると染谷くんがいない。



あれ? 染谷は?

何か急に調子が悪くなったらしくて……五時限始まる前に早退したんだ。

でも、何だか元気そうだったんだけどね。

あいつもよく早退するよな。このペースで行くと単位取れねーんじゃねぇか?

勉強はできるのに、まずいんじゃねぇの?

ですよね? ちょと心配です。
まぁいいんじゃね。俺らも帰ろうぜ。

うん。帰ろっか。

黒澤。僕達も白竹さんの護衛するよ

ああそうかい。じゃあ一緒に頼む。

染谷くんがいないと寄ってくるんだよな。

まぁみんな悪いやつじゃないし、いいんだけどさ、頼むからおっぱいネタは俺だけの時にしてくれ。

 男子生徒からもやたら好かれてる蓮くん。

 周りの友達が小声でおっぱいとか言ってるし。その度にゲンナリする蓮くんはちょと面白い。



 みんなで階段を降りて、上履きを仕舞おうと自分の下駄箱に行くと……

 

うそっ……また手紙が入ってる。

 今度は五枚も入ってる。

 私は床に落ちてしまった手紙をすぐに仕舞い込むと、それを見た蓮くんは苦笑い。他の男の子も「すげーなおい」とは言うものの、その視線は冷ややかでした。


 私は女だから断るしかない。だけど……

 こうやって手紙をくれた女子生徒に、後ろめたい感情を持ってしまう。


 偽りの性別に……嘘を付いている罪悪感が、私を悩ませるのでした。

あふっ!
すげぇな。白竹さんも恋文だらけだぜ。
ったくよぉ。こんなもん送っても無駄だってことが分かんないのかね。

こりゃまずいな。ミユマキが明らかにショックを受けてる。

どーにかしないと。

…………
誰か知ってるヤツいるかな? ちょっと俺に「

西部。待てったら。プライベートすぎんだろ。

美優ちゃん。魔樹。こりゃちょっと対策しないとダメだな。

このままじゃ止まらん。

だね。毎日送ってこられても白竹さんや弟さんも困るでしょ。
あの。悪いんだけどさ、ちょっと黒澤と話させてくれないかな?

え? なんで? 俺達も協力するぞ。

お前はともかく、白竹さんがヘコんでるのは見てられねーな。

西部くん……ありがとぉです。

だけど魔樹も困ってるのでし。

 みんなで話している最中でした。私の横までダッシュしてきた女の子がいました。

 坂田さんです。


 だけど美優じゃなくって私の前まで来ると、深くお辞儀をするのです。

あ、あの魔樹くん。

きょ、今日からその……喫茶店のアルバイトにぃ、お世話になります。で……ござる。じゃなくって!


よろしくです!

ふふっ! このタイミングでござるって言う?


ふ、ふぉ~! ワザとに決まってるじゃな~い。

ささ、初バイトなので準備しないと。


じゃあまた喫茶店で。白竹さんもよろしくねっ!

はい! こちらこそ。よろしくおねがいします。

ひっひっひっ! ござるって何だよ! 


あらかさまに狙いすぎ「

ござるパーンチっ!
がはっ! いでぇ!
ござるござるござっる~~!
ちょ! 三輪までっ! やめろ!
西部はみんなに愛されてるよな。
ござるキック!

何でだよ! これのどこが愛情……


うぉい! お前らも蹴るなよ!

 みんなが西部って男の子に夢中になってる間、私は別のことを考えてた。


 さっきの坂田さんの表情は……なんとなく感じ取れたから。

坂田さん……


彼女は蓮くんや楓蓮さんとも仲が良いし、コテツを譲ってくれたのも彼女。

まさか、魔樹に……

 いつの間にか笑顔は消えてしまいました。


 どうしよう。そんな事になれば……

 

 ――――――――


 次回 本当の私 4




ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色