第2話

文字数 1,501文字

 二人はLINEでお互いを友達追加した

 永嗣は笑顔で車に向かっていった

 ドレスアップした黒塗りのGMC、フロントにはチーム名の入ったプレートが飾られていた

 エンジンを掛けた瞬間、エンジンやマフラーから爆音が響いた

 「んじゃ楓花ちゃん、またね!」

 と、外に顔を出し手を振っていた。楓花も車が見えなくなるまで手を振り続けた

 黙ってやり取りを見ていた秋穂は

 「本当に大丈夫なの?何かあってからじゃ遅いんだよ?」

 と心配したが、笑顔で

 「大丈夫、あの人悪い人のようには思えないし」

 「そういうことを言ってるんじゃなくて…」

 楓花は何事もなく歩き始めた

 「ちょっと待ってよ~!」

 秋穂は気づいてないが、楓花の足取りは軽やかだった


 寂れた廃墟ビルが立ち並ぶ敷地内で男たちが争っている

 そこに黒い大きな車が現れた。降りたのは永嗣だった

 「永嗣さん、こいつらがアキラを…」

 「おれらじゃねーよ!サトシらがやったんだ!あいつら手段を選ばないんだ…おれらにかぶせたんだよ!」

 それを聞き

 「…分かった、お前らもうやめとけ」

 と、仲間の動きを制止した

 永嗣はサトシの事を知っていた

 やつは何でもする…危険な男だ…

 そう考え

 「おまえらもうサトシに関わるな」

 永嗣は皆に伝えた。そして眼光が鋭く光った


 楓花は秋穂とデートで着ていく服を選んでいた

 最初に手にしていたのは花柄のワンピースだった

 「どうかなー…」

 秋穂はちらっと見て

 「ちょっと子供じみてるんじゃない?」

 と、あまり乗り気ではない返事をした

 それに気づかず楓花はいろいろ服に手を付けている

 「じゃあこれは?大人っぽいよ?」

 手にしたのはタイトなスカートだった

 「没!」

 「えー、なんで~?」

 楓花は口を尖らせ文句を言う

 すると秋穂はずいっと顔を近づけ

 「男が勘違いをするの!コイツやれるな、とか思っていきなり襲い掛かるかもしれないじゃない!だからスカートはだめ!もっと信用できるようになってから!」

 「んー、相変わらず秋穂は堅いなぁ…じゃあパンツにする…これは?」

 今度手にしたのはホットパンツだった

 「…この子全然わかってない…」

 秋穂はため息を漏らした


 デートの日になり、待ち合わせの場所に行くと永嗣が既に待っていた

 「ごめんなさい、待ちました?」

 「いやっおれがバカみたいに早く着いただけ!ささ、車に乗って」

 と助手席のドアを開け、足場が高いため乗るのに手を貸した

 「優しいですね」

 楓花の素直な気持ちに

 「いや…こんなの当たり前だよ、閉めるよ」

 と照れくさそうにドアを閉め、運転席に乗った

 「さて、どこへ行く?どこでもいいよー!」

 浮かれ気味の永嗣とは逆にちょっとうつむき加減の楓花

 「…どうしたの?」

 永嗣は心配で声を掛けた

 「私ね、あまり外を出歩いたことないの。どこに何があるか分からなくて…」

 物憂げな顔をした楓花を見て少し考えた後

 「よし、それじゃまずは街をぶらぶらしよう。んで気になった場所に行ってみよう!」

 と提案した

 楓花は期待で心を躍らせ、目がイキイキと輝いていた

 それを見た永嗣もまた嬉しくなり、車を発進させた




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