第3話

文字数 829文字

PM5:04
国立美術館 特別展示室
大尉はズボンのポケットから懐中時計を取り出し時間を確認した。
 予告された時間は

、残り二時間を切った。
 大尉は無線機を手に取った。
「各班、状況を報告せよ」

「こちら正門異常なし」

「ロビー異常なし」

「屋上異常なし」

「東棟異常なし」

「南棟通路異常なし」

各班の報告があった後も余念がなかった。
「抜かりがない様ですね」
館長が額から溢れる大量の汗をハンカチで拭き取りながら話しかけた。

「いえ、本来ならもっと人員を増やせたのですが」大尉は悔しがっていた。

「仕方ありませんよ、今日は王位継承記念日ですし、急きょ来て頂いただけで十分ですよ」

「奴はこの日をあえて選んだのでしょう。警備が手薄になるのを見計らって」

PM5:31
「先生まだですか?私お腹が減ってきました」
助手は駄々をこね始めた
「もうちょっと待ってろ、あともう少しだから」
探偵は少し焦っていた。
「何故だ?何故上手くいかない」

「先生~」

「あぁーうるさい!これでも食って黙ってろ!」
探偵は助手の口にクッキーをありったけ詰め込んだ。
「あと少しだ、あと少しで上手くいく」
初歩的な事なのに何故上手くいかない


PM6:28
「再度確認しろ!」
美術館内は更に物々しくなった。
「些細な事でも報告しろ、決して異変を見逃すな」大尉の激が飛んだ。



PM6:43
「よし!やった!やったぞチャシャ!」
探偵ははしゃいだが、既に助手は待ちくたびれたせいか椅子にもたれて寝てしまった。
「仕方ない、一人で始めるか」



PM6:59
各隊員たちにも緊張が走りあわただしくなった。
大尉は絵の前で仁王立ちをして待っていた。
一分を切った、まもなくだ

「よっしゃー、見てろよ」
探偵は気合いを込めた

5秒前

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PM7:00
さあ始めよう



                  
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登場人物紹介

探偵 ユベール・ロッシュ・Jr.

ろくに仕事もせず酒に博打(主に競馬)、闇市巡りで暇をもて余す元軍人の主人公

普段はダメ人間だが驚異的な推理力と洞察力を持っており、その力は未来予知、千里眼に抜擢する

だが本人は無気力な為、普段は発揮せず、極所的な場面や気まぐれで発動される

よく競馬場で膝を突き崩れ落ちる姿を確認される

助手 チャシャ・ブラウス

探偵事務所で探偵がやらないこと(全部)をこなす健気な少女

孤児院で育ち、都会の生活に憧れて卒業後、就職先が見つからずさ迷っていた所を探偵に拾われ事務所の一部屋に住まわせてもらっている

天性の才能なのか初対面の相手でも友達になることができる

食い意地で腹が減ると人格が変わる

マレー

軍人 探偵とは士官学校からの同期で腐れ縁

太鼓持ちで世渡り上手で事件事故の対処など上官や部下からの評判がよく、順調に昇進している

その実態は探偵に頼み込み事件や事故を解決している

最近の悩みは彼女ができない事

「顔は悪くないと思うんだか、地位も金もそれなりに…」

助手曰く「なんと言うか…残念な雰囲気がするからじゃないですか?」

黒雨(こくう) 怪盗

二十年前に国内を騒がせた怪盗

魔術を駆使してこれまでに盗み取れなかったものはないが、盗まれたものは出所不明の作品ばかりで評論家の間でも謎を呼んでいる。

最近になりまた活動し始めたが当時の黒雨なのか、又は模倣犯なのか軍警察で調査中である

商人 ???

探偵の義理の甥 

常に黒いスーツを着こなし、右手首に手錠で繋がれた金属製の鞄を持っている

ただならぬ威圧感を放し、死線を潜り抜けてきた探偵でさえ油断すれば恐怖に飲み込まれるほど

目的の為ならどんな手段も問わない

国の要注意人物に指定されている

彼の過去については探偵ですら知らない

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