創作秘話:天上天下 大剣斬

文字数 6,789文字


 この作品は、かつてPCソフト『シミュレーションRPGツクール』にて製作するも労力的に頓挫した未完成作品です。
 しかしながら、現在の発表作品群と遠因的な創作関係性にある事と、それなりにキャラクター数が存在する事から『仮想作品』として同格に扱われ、次第に投稿ネタとしてラインナップされる運びとなった特異な経緯に在ります。
 この作品のシリーズ第二弾として構想していた作品企画が大幅な練り直しに小説作品『孤独の吸血姫』と新生して、御存知のように私の創作主柱であるダークファンタジー大系〈闇暦戦史〉としてシリーズ発展。
 また同様に第三弾の基礎コンセプトは偶発的にも小説『vs,SJK』へと受け継がれて、こちらも美少女SFコメディシリーズ〈FSF /Fuzzy Science Fiction〉として確立しました。
 一方で本作と水面下繋がりの裏設定として構築したスーパーヒーロー作品『妖滅戦隊カルマージャ』はプロットのみの〝遊び〟だったにも拘わらず好評を得て『幻装戦隊エルファンサー』『超機戦隊ギアテクザー』といった後続スーパーヒーロー作品群へと発展──現在では〈凰太郎ヒーローズ〉として一部にファン支持層を獲得するに至り、こちらもまた創作主柱となりました(有難い事です)。
 このように本作『大剣斬』自体というよりも、現創作作品のほとんどに起点原点としての影響を及ぼしているのです。

 今回は、そんな『天上天下 大剣斬』について語ります。


 本作誕生経緯を綴る上では、少々〝私自身〟の背景を語らねばなりません。
 本当は、そうした個人背景や情報を秘匿にして創作活動をやっていきたいのですが……止むおえないw
 長いよ?www

 私は幼少期から〈漫画家〉を強く志していて「いつか永井豪先生や石ノ森章太郎先生みたいになる! 先生達から授けてもらった素晴らしい〈熱〉を次世代に伝えていく!」と固く誓っていたんですね。
 ええ、もう、脇目も振らず、その方向性にだけ邁進。
 ずっと……
 ずっと……
 ずっと…………
 もちろん後年になれば作品持ち込みもしました。
 が、どうしても〝画力の低さ(殊にデッサン力皆無)〟と〝完成スピードの遅さ〟は克服出来なかったのです。
 そうした悪戦苦闘ジレンマの中で持ち込みの一幕として、帰り際に担当者から「絵、上手くなろうね」と言われたのが相当ショックでブロークンハート……描けなくなりました。
 いえ、これは担当者が悪いワケじゃなく、単に私のメンタリティーがガラスチキンだっただけ。あちらは鼓舞として言ってくれたワケで……ま、少しでも〝引っ掛かるもの〟を見出してくれたからこそ言ってくれたのでしょう。
 うん、あちらは何も悪くない。
 でもね?
 現実として……描けなくはなったw
 こういうガラスメンタリティーもいるにはいるのよw
 加えて家庭内情もゴタつき始めて、まぁ〈漫画創作〉からは意図せずしてどんどん疎遠化していきましたね。
 でも「じゃあ、何にテメェ自身を賭けたいか」と鑑みれば、もう〈作品創作〉しかないワケですよ。それだけに「創作バカ一代!」とばかり打ち込んで来ましたからwww
 でも〈漫画〉は、もう無理だ……と悲しく自覚。
 子供の頃の〈夢〉が頓挫……でも、捨てたくはない……この矛盾葛藤は数年抱えましたね。

 そんな中で「じゃあ、自分は〝何故〈漫画家〉になりたいと固執していた〟のか? その目的意識内の根底の根底の根底の……動機と魅惑は〝何〟だったのか?」と構築要素の分解分析をしてみた。
 そうすると見えてきた〈原石〉は「自分のキャラクターと物語で大衆をエモらせて成功する事」だと特定出来たんですね。
 つまり〈漫画〉というのは、それを為すベターな〈表現方法〉に過ぎない……と。
 いまでこそWEB環境なんて便利ツールが定着して、誰でも気軽に〈発表者〉へと回れますが、私の時代には無くて〈自分の世界〉を世に公表するには〝自分で完成品と紡いで、出版社や企業に認められて、召し抱えられて、プロデビューする〟というアナログな図式しか無かった。それを為す手段も〝持ち込み〟とか〝賞〟とかだけでね?
 同人界からの引き抜き図式ですら、もう少し後年に定番定着化してきたぐらいだもの。
 いまは誰でも気軽にWEB発表できますし、活動場所も乱立していますし、ネットから〝コンテスト〟にも応募出来る……完成作品や漫画じゃなくてラフ画やプロットでも『作品』として公表出来ますし、そうした投稿でも共感に支持を集められる……ともすれば突出した支持率が企業の御眼鏡に叶えば〈商業コンテンツ〉の原案として出世魚ドリームすらある。
 みなさんは自覚無いかもですが、とてもフリーダムでスゴく幸せな創作環境なんですよ?
 うん、私の時代ではラフ画やプロットなんか「結局は脳内妄想に過ぎないでしょ? 完成してないなら『作品』と呼べないじゃんw」的に軽視切り捨てでしたから。
 二次創作なんか一次創作よりも下に見られて「そんなん描いてて何の足しになるの? ただの自己満趣味じゃんw」でしたから。

 と、少し脱線しましたw

 で〝そこ〟に気付いた時に「この〈原点〉を実らせるのが大局的な目的なんだから、表現媒体は〈漫画(殊に商業的な)〉じゃなくても善いのでは?」と視野が広まった。
 そして〝より自分に適した表現媒体〟を暗中模索する時期へと突入します。
 同人活動復活とばかりに二次創作漫画&イラストをリハビリ……別角度からのキャラクターアプローチとしてフィギュア製作……いままでアナログ描きだったからPCでイラストを描くのもありか……と。
 そうした中での一環が〈フリーゲーム〉でした。
 当時は〈フリーゲーム製作〉もブーム過度期だったので「アニメ感覚でアピール出来るし挑戦してみる価値はあるか」と。

 同時に、この時期はゲーム『スーパーロボット大戦』の絶頂期でもあって、無論、私も熱狂ファンでした。
 なので「オリジナルロボットでコレを作ろう!」と意気込んだのが、本作『大剣斬』が誕生した原点。
 ちなみに第二弾&第三弾というシリーズ大系的な構想をしていたのも、最終的には共演シミュレーションゲームにして『スーパーロボット大戦』の〝独立した各作品が作品枠を越えて共演するカタルシス〟を再現するつもりだったからです(無様に頓挫したけどwww)。



 さて、長々と愚痴(?)を綴りましたが、いよいよ『大剣斬』自体について触れていけます。

 私にとっては、久々に〝公表を前提にした作品〟として本格的に構想構築する作業となりました。
 記念すべき(?)創作復帰第一弾です。
 なのでシンボリックな意向も含めて〝THE王道スーパーロボット〟を念頭としましたが、同時に既存の『王道スーパーロボット作品』の遺伝子を継承する事も意識しています。つまり『マジンガー』とか『超電磁』とか……ですね。
 で、伏線的な事象ですが、コレと平行して『日本全国の妖怪が入り乱れるシミュレーションゲーム』も構想着手していました。こちらは『妖怪大戦争』みたいな感じ。
 そして、両作品像を練る中で、はたと気付いた──「あれ? 『スーパーロボットもの』にしても『妖怪退治もの』にしても基礎フォーマットは使い回しで依然進化してないな……これではジャンルそのものが懐古主義のルーティーンだけに陥って発展しないんじゃないのか? ともすれば、衰退してしまわないか?」と。
 うん『スーパーロボットもの』は『勇者』や『エルドラン』が新機軸となって久しいけど、結局そこからは進化していない。せいぜいロボット玩具や作品用語といった表層だけの変化。更に『王道』ともなれば『マジンガー』『超電磁』への懐古になってしまい、ともすれば〈パロディ〉と紙一重。
『妖怪退治もの』なんかは『ゲゲゲの鬼太郎』と『悪魔くん』のフォーマットをキャラクター据え替えてやっているだけ(逆を言えば、偉大なり水木しげる御大!)。
 他ジャンルに比べると、懐古にグルグル繰り返しているだけの印象が拭えない。
 もちろん「懐かしい作風が観たいんだ! 小難しく凝った近年作品風潮なんか要らんねん!」って声に応えているから当然なんですが……あまりにも〝それだけ〟ってのは不毛な危惧を抱いたんですね。
 私は根っ子から〈スーパーヒーロー/スーパーロボット〉と〈妖怪/怪物〉が大好きで、だから衰退はして欲しくなかった。
 かと言って根本から覆すようなフォーマットでは、そのジャンルの醍醐味が失われてしまうのも事実。
 で、閃いたのが「いっそ混合させれば、両路線の王道フォーマットを踏襲しつつも新機軸にならね?」だったのです。
 まぁ〝明後日の方向から持って来て混合新生する手法〟ってのは、私の御家芸ですけどwww
 こうして本作は『80年代風王道スーパーロボットもの』+『妖怪退治もの』という世界観スタイルへと形成されたのでした。
 この化学反応で新機軸を打ち出そうとしたワケで、懐古的な表層印象に反して、実は野心作意向でもあるのです。



 主役ロボット(?)の〈大剣斬〉は、御覧の通り〈鎧武者〉モチーフとなっています。
 このチョイスは私自身の趣味嗜好でもあるのですが、本作は『妖怪退治もの』でもあるので〈和〉の要素で〝逞しいヒーロー性〟を求めた結果ですね。
 ただ出来上がってから「そこはかとなく〈武者頑駄無〉に印象が似ているなぁ……」と、猛省。
 私がコイツをあまりフューチャーしないのは、そこに起因しますwww
 ですがイメージ源泉は、スーパー戦隊『バトルフィーバーJ』の〈バトルフィーバーロボ〉と『世界忍者戦ジライヤ』の〈磁雷神〉なんですよ。〝バトルフィーバーロボのカラーリングを施した磁雷神〟というのが〈大剣斬〉のコンセプトで〈武者頑駄無〉に似てしまったのは偶発的。カラーリングも拍車を掛けているのでしょうねぇ……これには〈マジンガーZ〉を踏襲した面もあるのですが(胸板の赤部分なんかは〈ブレストファイヤー〉のアレンジですし)。



 後半にはパワーアップイベントも構想していました。
 ダブルヒロインの〝不知火涼子〟〝柊美琴〟のどちらかを専属パートナーとして指名する疑似恋愛要素にて〈大剣斬〉も〝どちらかの形態〟へと進化する予定だったのです。
 涼子を選択した場合は〝紅蓮の炎〟をモチーフとした深紅の形態〈豪焔大剣斬〉──爆発的な攻撃力に特化した形態です。
 美琴を選択した場合は〝神々しい翼〟をモチーフとして白基調に金装飾を施した〈天翔大剣斬〉──翼による飛行能力を得ます。
 まあ、そこまでいかずに頓挫したのでイラストすらありませんがwww



 また物語の中盤〈邪妖會篇〉と終盤〈八俣衆篇〉では仲間も増える予定でした(『スーパーロボット大戦型シミュレーションゲーム』でしたから、戦力バランス的にもそういう演出処置にはなりますよね)。

 中盤では関西で〈邪妖會〉と交戦していた〈狩魔関西方面支部〉の面々と合流。
 そこのエースである新ヒロイン〝恵宝真希〟は主人公〝御剣刀志郎〟と同じく〈御魂人〉であり、格闘戦(骨法)に特化した妖神〈大闘将〉へと変身します。
 刀志郎とは〝喧嘩するほど仲がいい〟というような間柄で、実は波長が合っている凸凹コンビとなっていきますw
 ちなみに、この〈大闘将〉は没りましたが、同コンセプトをリファイン新生させたのが『妖滅戦隊カルマージャ』の〈狩魔童子〉になります(倭民族意匠のデザインコンセプトも同じくです)。

 終盤では序盤から暗躍していた〈八俣大蛇〉が〈八俣衆〉を率いて表舞台に躍り出ます。〈狩魔〉〈覇獄同盟群〉〈邪妖會〉〈八俣衆〉全勢力入り乱れての混戦となりますが、此処で追加される新メンバーが日本全国を渡り歩いていた〈最強の狩魔戦士〉〝皇凱〟です。同時に〈第三の御魂人〉で、最強妖神〈大光臨〉へと変身します。
 孤高のクールガイで沈着冷静な大人っぽさに在りますが、反面ワンマンなオレ様気質──モデルは『仮面ライダーカブト』の主人公〝天道総司:仮面ライダーカブト〟でした。
 この辺りはまったく未着手だったので構想のみであり、イラストは疎かラフ画すらもありません。

 ちなみに各妖神は〈大剣斬:剣〉〈大闘将:勾玉〉〈大光臨:御鏡〉と〈三種の神器〉に対応しています。



 このように、実はかなりの全体的構想を密に敷いていた『大剣斬』ですが、御存知のように未完成頓挫となります。
 うん、第四話時点で頓挫。
 そりゃそうです。
 全キャラクターに顔グラ(主要キャラは喜怒哀楽)&戦闘アニメ(基本/射程四パターンの攻撃/数パターンの必殺技)を描かなければいけないし、背景画やイベント画も必要に応じて新規作成しなければならない──途方もない数のグラフィックパターンを描かなければいけなかった。
 おまけに会話シーンやらイベントやらフラグ処理やら数値バランスやらデバッグやら……。
 それを容量限界の全40話越えでやろうとしていたんですからw
 到底、独りで作るべき物ではありません。
 無謀過ぎるwww
 むしろ、よく四話まで作ったもんだよ……オイラwww


 こうして未完頓挫作品となり、長い封印とされました……が、WEB投稿環境を得た事で、まさかの復活処置となります。
 Facebookやブログ等の投稿ネタです。
 当初は軽い気持ちの穴埋め投稿でした。
 まだWEB活動を始めたばかりでしたから、イラスト系投稿ネタが不足していたんですよね。
 創作主体となる『孤独~』にしても『SJK』にしても数パターンのイラストしかないのでヘビロテ使い回し。作品も完結していませんでしたから記事的にも踏み込んだ内容が書けない。
 そうした中で「そういえば『大剣斬』ならゲーム用に描いた結構な数のグラフィックがあるから、それを簡易的にイラスト処理して投稿すれば穴埋め企画にはなるかな?」とPC奥底から引っ張り出し、軽い気持ちで投稿しただけなんです。
 うん、別にコレで支持されようとかは全然思っていなかった。単にフォロワーを退屈させないために投稿した一過的なネタで「へぇ、こういうのもあったのか」と気軽に楽しんでもらえれば善し。
 というか、私自身も『作品』とは見なしていなかった。具体的な完成作品媒体も存在しない頓挫未完プロットにしか過ぎませんから。
 ところが、思ったよりも好感触だったんですよね。何故か。
 例えば『凰太郎WORLD~CHARACTER FILE~』でも、いまだに他作品と同様の閲覧を頂いている。有難い事です。

 そうした結果で気付かされたのは、WEB投稿という環境に於いては〈構想プロット〉という形態でも『作品』という価値観に楽しんで頂けるという独特の風潮でした。
 別に具体的な物語媒体(小説など)が存在しなくても、ある程度ハッキリとした具象化(主にイラスト化)が為されていれば、フォロワーは世界観を共有に楽しんでくれるし、また『れっきとした作品』として支持してくれる……と。
 アナログ創作時代では考えられない新しい自己表現スタイルでしたね。
 そして、それは〈凰太郎ヒーローズ〉へと継承され、私の創作発表に於いて〝もうひとつの主柱〟と呼べるまでに確立しました。


 創作表現媒体模索の中で〈フリーゲーム〉として誕生した『大剣斬』──結果として頓挫になりましたが、その数年後に〝より適した表現媒体〟と出会う事となります。
 ケータイ小説です。
 当時は二次創作で趣味にしか過ぎませんでしたが、それでも確実に〝手応え〟を感じ、また根底的には〈漫画〉と同じ工程感覚や創作持論で臨める点でも「コレだ!」と直感しましたね(私的には〝絵が無い〟だけの感覚です)。
 そして、時代は〈ケータイ小説〉から〈WEB小説〉へと発展し、私も本格的にオリジナル小説へと開眼──。
 こうして実質的創作復帰原点としての名実は『孤独の吸血姫』及び〝カリナ・ノヴェール〟へと譲り渡す形となりました。
 おそらく本作『大剣斬』を拡張したり改訂にイジる事は、もう無いとは思います。
 ですが、小説作品や構想プロット作品の礎として諸々の影響が継承された点は非常に軽視できない大きなものでした。
 これからも『特異な凰太郎作品』という位置付けで認知され続けるのでしょう。
 そして、皆様の空想の中で〈邪悪妖怪と戦う鋼の巨神〉が八面六臂に活躍してくれたら、生みの親としてこんなに嬉しい事はないですね。
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【凰太郎WORLD~CHARACTER FILE~】
https://novel.daysneo.com/sp/works/
f63fd7e7445ce60a2e5ddcbedaa22d1d.html
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