第52話 選挙に勝つために
文字数 538文字
水島先生を訪ねてから、一ヶ月後の出会いである。
いろんな縁があると思いながら、目の前に座る佐々木さんに、自分も選挙に出たことを打ち明け、いろいろと相談した。政党の推薦や公認を取らずに、市民運動の中から勝ち上がってきたという逸話を、水島先生から聞いていた。
地盤を持たない自分と、どこか似ている気がしていた。三十五歳で立候補し、落選。二度目の選挙で当選を果たした彼は、現在、四十二歳である。まだ青年代議士と呼ばれる年齢であり、一度は落選の苦杯を嘗めている点にも、共通なものを感じている。
ボランティア活動と選挙運動の境界を定められず、今後どうやって人のつながりを広げていったらよいのか迷っていることを、率直に打ち明けてみた。佐々木さんはボランティア活動について、「選挙運動だと割り切ってやればいい」という。
しかし、自分にはその割り切りは持てなかった。
ボランティア活動を選挙に利用したくないと思う。純粋にボランティア活動をして、その中から選挙の際に応援してくれる人が出てくればいいと考えていた。選挙に立候補する人間としては甘いスタンスだ。
佐々木さんの考え方は、正しいと思う。
ボランティアでまちづくりがしたいわけではない。選挙に勝って、政治家になりたいのだ。
いろんな縁があると思いながら、目の前に座る佐々木さんに、自分も選挙に出たことを打ち明け、いろいろと相談した。政党の推薦や公認を取らずに、市民運動の中から勝ち上がってきたという逸話を、水島先生から聞いていた。
地盤を持たない自分と、どこか似ている気がしていた。三十五歳で立候補し、落選。二度目の選挙で当選を果たした彼は、現在、四十二歳である。まだ青年代議士と呼ばれる年齢であり、一度は落選の苦杯を嘗めている点にも、共通なものを感じている。
ボランティア活動と選挙運動の境界を定められず、今後どうやって人のつながりを広げていったらよいのか迷っていることを、率直に打ち明けてみた。佐々木さんはボランティア活動について、「選挙運動だと割り切ってやればいい」という。
しかし、自分にはその割り切りは持てなかった。
ボランティア活動を選挙に利用したくないと思う。純粋にボランティア活動をして、その中から選挙の際に応援してくれる人が出てくればいいと考えていた。選挙に立候補する人間としては甘いスタンスだ。
佐々木さんの考え方は、正しいと思う。
ボランティアでまちづくりがしたいわけではない。選挙に勝って、政治家になりたいのだ。