一緒に
文字数 2,652文字
後日――冒険者ギルド、ライゼン支店にて
お~いギルマスちゃ~ん、こっちにもオーダー♡
頼むよー
早く来てくれー俺はもうギルマスちゃんだけが癒やしなんだ~
いやまったく、家の娘が冷たくてよぉ……
わかるわかる
***
そのハーフエルフの女の子は孤児院に引き取られ育てられることになりましたが、
とがった耳と引っ込み思案な性格が災いしていつもみんなに苛められて泣いていました。
寂しくて哀しくて、いつも泣いてばかりいました。
ですが女の子が庭の木の陰で泣いていると、いつも決まって手を差し伸べてくれる子が居たのです。
太陽のような笑顔が魅力的なその子はいつでも女の子の味方になってくれました。
女の子は幸せでした。一人でも味方が居てくれることがどんなにありがたいことだったでしょう。
そんなある日、突然孤児院に白い制服を来た大人たちが現れました。
彼らは孤児たちを一人一人何かの検査にかけ、その中から二人の子を選び出すと協会で引き取ると言い出したのです。
選ばれたのはハーフエルフの女の子といつも庇ってくれた子でした。
二人は手続きを済ませると白い服の大人たちに連れられて首都のソラリス教までやってきました。
そこでようやく本当の目的を告げられました。「世界を救えるのは君たちだけだ」と一番偉い教皇様に熱弁されたのです。
そして彼らは聖騎士団の指導のもと、将来魔王を倒すための『勇者』と『聖少女』候補として育てられることになったのです。
孤児だった自分たちが誰かの救いになれるかもしれない。
目標を持った二人は一生懸命努力しました。その甲斐あってメキメキと力を付けて行ったのです。
『勇者』は並ぶものの居ない戦士(ファイター)に。『聖少女』は絶大な癒やしの力を持つ僧侶(ヒーラー)へと成長を遂げました。
さぁ準備は整った、魔王退治だと意気込んだソラリス教にある日とんでもない知らせが入りました。
魔王が人間界への侵攻をやめ、これからは必要以上の干渉をしないと宣言したのです。
とても良い知らせに人間たちは喜びました。ソラリス教も表面上は喜びました。
ですが倒す相手の居なくなった『勇者』と『聖少女』はどうすれば良いのでしょう?
実力はありますが二人には何の実績もありません。この駒を使い、さらなる人気を得ようとした教会の思惑は完全なる空振りに終わったのです。
日に日に力を付け、己の意思を持ち始めた二人を持て余したソラリス教は都合のいい名目をつけてさっさと処分することにしました。
『勇者』にだけとんでもなく難しいクエストを与えたのです。
それは火の山に住まう火竜を退治してこいとの命令でした。
一人で旅立った『勇者』のことを半日遅れで知った『聖少女』は慌てて後を追いました。
そしてたどり着いた火山で見たのは、火竜と相打ちになり息も絶え絶えの『勇者』のぼろきれのような姿でした。
当然のように彼女は癒しの魔法を掛けました。死にもの狂いのヒールを掛けられた『勇者』は死の淵から奇跡的に生還しました。
死にかけたことなど感じさせないような軽い足取りで『勇者』はソラリス教の本部へと凱旋を果たします。
ですがその門をくぐったところでばったりと倒れ、そのまま死んでしまいました。
人が持つ細胞分裂の回数は生まれた時から決まっています。
そして癒やしの術の効果はその本人が持っている治癒能力を高めるというもの。
とがった耳と引っ込み思案な性格が災いしていつもみんなに苛められて泣いていました。
寂しくて哀しくて、いつも泣いてばかりいました。
ですが女の子が庭の木の陰で泣いていると、いつも決まって手を差し伸べてくれる子が居たのです。
太陽のような笑顔が魅力的なその子はいつでも女の子の味方になってくれました。
女の子は幸せでした。一人でも味方が居てくれることがどんなにありがたいことだったでしょう。
そんなある日、突然孤児院に白い制服を来た大人たちが現れました。
彼らは孤児たちを一人一人何かの検査にかけ、その中から二人の子を選び出すと協会で引き取ると言い出したのです。
選ばれたのはハーフエルフの女の子といつも庇ってくれた子でした。
二人は手続きを済ませると白い服の大人たちに連れられて首都のソラリス教までやってきました。
そこでようやく本当の目的を告げられました。「世界を救えるのは君たちだけだ」と一番偉い教皇様に熱弁されたのです。
そして彼らは聖騎士団の指導のもと、将来魔王を倒すための『勇者』と『聖少女』候補として育てられることになったのです。
孤児だった自分たちが誰かの救いになれるかもしれない。
目標を持った二人は一生懸命努力しました。その甲斐あってメキメキと力を付けて行ったのです。
『勇者』は並ぶものの居ない戦士(ファイター)に。『聖少女』は絶大な癒やしの力を持つ僧侶(ヒーラー)へと成長を遂げました。
さぁ準備は整った、魔王退治だと意気込んだソラリス教にある日とんでもない知らせが入りました。
魔王が人間界への侵攻をやめ、これからは必要以上の干渉をしないと宣言したのです。
とても良い知らせに人間たちは喜びました。ソラリス教も表面上は喜びました。
ですが倒す相手の居なくなった『勇者』と『聖少女』はどうすれば良いのでしょう?
実力はありますが二人には何の実績もありません。この駒を使い、さらなる人気を得ようとした教会の思惑は完全なる空振りに終わったのです。
日に日に力を付け、己の意思を持ち始めた二人を持て余したソラリス教は都合のいい名目をつけてさっさと処分することにしました。
『勇者』にだけとんでもなく難しいクエストを与えたのです。
それは火の山に住まう火竜を退治してこいとの命令でした。
一人で旅立った『勇者』のことを半日遅れで知った『聖少女』は慌てて後を追いました。
そしてたどり着いた火山で見たのは、火竜と相打ちになり息も絶え絶えの『勇者』のぼろきれのような姿でした。
当然のように彼女は癒しの魔法を掛けました。死にもの狂いのヒールを掛けられた『勇者』は死の淵から奇跡的に生還しました。
死にかけたことなど感じさせないような軽い足取りで『勇者』はソラリス教の本部へと凱旋を果たします。
ですがその門をくぐったところでばったりと倒れ、そのまま死んでしまいました。
人が持つ細胞分裂の回数は生まれた時から決まっています。
そして癒やしの術の効果はその本人が持っている治癒能力を高めるというもの。
カルマが低く治癒能力の効きやすい『勇者』は『聖少女』の全力のヒールに耐えられなかったのです。
***
平たく言うと『癒やし殺し』ちゃったのよね。加減をしなかった『聖少女』はその事を知って絶望したわ。事の顛末を聞いたソラリス教は勇者殺しの罪を擦り付けて彼女を捕らえようとした。思えば最初からそれが目的だったんでしょうね
――悪くないわ
カランカラン
――失礼、冒険者登録をしたいのだが
そんなわけで、今回の騒動をまとめるとこんなとこ。
リリさんの過去にもびっくりしたけど、このメンバーを今後まとめていけるのか、それとも僕の胃に穴が空くのが先って感じかな……。
色々気になることもあるけど、でも今日も僕は元気です。
今度近くを通りかかったらみんなを連れて行くよ。
母さんの肉じゃがご馳走してあげてね。それじゃ
PS.そういえば最近父さん帰ってきた?
リリさんの過去にもびっくりしたけど、このメンバーを今後まとめていけるのか、それとも僕の胃に穴が空くのが先って感じかな……。
色々気になることもあるけど、でも今日も僕は元気です。
今度近くを通りかかったらみんなを連れて行くよ。
母さんの肉じゃがご馳走してあげてね。それじゃ
PS.そういえば最近父さん帰ってきた?