詩小説『買い物の帰り道』3分の日常。全ての夫婦へ。

エピソード文字数 800文字

買い物の帰り道

ありふれたこの町の路地裏。両脇には古民家が並ぶ。買い物帰りのふたりは少し、遠回りをして。肩を当て合い歩く。

庭先の金木犀は塀を越し枝が伸びる。花弁は濡れたアスファルトへ、へばりつくように敷かれてた。甘くて懐かしい匂い、黄色の道。

片方の手で買い物袋を持つ僕なら。もう片方の手は隣を歩く、君の手を引いていたい。握ったなら、黙って歩くから。

生まれ変わっても、もう一度夫婦に。なんて言わない。生まれ変わりなんてない。だって君は奇跡で出来てるから。

永遠に続く訳じゃない。ましてや続いていく保証もない。たったもう四十年くらい一緒に居たいと思う。

そんな夫婦ってなんだろう?

坂道の途中に、舗装されたコンクリートに猫の足跡。固まるその前に、ぽつぽつと足形をつけて行ったのだろう。

柳の木は川に向けて枝が垂れていた。形を変えながら影を作り、君を包んでいた。流されるように揺れながら。生温い柳の風を浴びる。

隣じゃなくていい、同じ布団じゃなくてもいい。ただ、同じ家で。繰り返されていく、変わり映えのない毎日を。今日も送るために目を覚まして。

夫婦は今日も奇跡で出来ている。世界一ありふれた奇跡で出来ている。もう二度と起きそうもない奇跡で出来ている。

独りでいた方が楽なこともある。抱えるものはやたら重くなる。なんとも言えない夜もたまにある。それでも続けていく理由とは。

そんな夫婦ってなんだろう?

片方の手で買い物袋を持つ僕なら。もう片方の手は隣を歩く、君の手を引いていたい。握ったなら、黙って歩くから。

生まれ変わっても、もう一度夫婦に。なんて言わない。生まれ変わりなんてない。だって君は奇跡で出来てるから。

永遠に続く訳じゃない。ましてや続いていく保証もない。たったもう四十年くらい一緒に居たいと思う。

そんな夫婦ってなんだろう?

そんな夫婦ってなんだろう?
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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