【episode6-捕縛前夜】

文字数 316文字


魁人(かいと)のことは、もう忘れよう。



自分を大切にしてくれる(いつき)と愛を育んでいくんだ。


沙楽(さら)が、そう決心した矢先のことだった。





『俺、また捕まるかもしれない。』


魁人(かいと)からのメッセージに、沙楽(さら)は、全身の力が抜けていくような感覚を覚えた。




パートナーと別れ、沙楽(さら)も距離を置こうとしたことで、魁人(かいと)の生活は荒れていた。


会社を無断欠勤し実家の両親からの連絡を無視し続けていたのだ。




連絡の取れない魁人(かいと)に業を煮やした会社の代表取締役が、実家を訪ねて来た。


そこで、両親に「捜索願を出す。」と言い出したのである。




『俺、怖いんだよ。捕まるのが怖くて仕方ないんだ。』




また、魁人と会えなくなってしまうーーー。


沙楽は、携帯電話の画面に映る文字を眺めて死んでしまいたくなっていた。








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