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文字数 681文字




うちを出て幾分坂を下ったあたりで
突然のにわか雨 しかも小降りとは程遠く
こんな日に限って傘がない
あなたが持ってるその飲みかけのペットボトルよりも断然軽いですよの謳い文句で立ち止まり
思ったよりもしっかりしてて色も可愛いと
即購入を決めたあの細い折りたたみ
多分昨日までは入っていたはず
買ってすぐカバンにいれて その後雨は降ってない
気分転換でカバンを変えたそんな朝
空はそこまで暗くないから
そんなに長い時間振らないかもしれない
でも最寄りの駅までは雨の中を歩くのは憂鬱
考えながら濡れながら
そんなこんなと考えつつも通勤の足は勝手に前へと突き進み止まるとか戻るとかの選択肢はないようだ
気がつけばもうすぐバス停 向こうからは良いタイミングでバスが来る
乗り込むしかないと意気込んでバスにかけ乗る
たった一区間一キロもない短い距離
同じことを考えてる人が多いのか
割と混んでる普段乗らない路線バス
揺られて降りた時にはもう
雨はやみ行き交う人々は
何事もなかったように
傘も持たずに闊歩してる
そんな朝の風景 テレビの占い1位だからと
喜んでた自分は今日だったのか
それとも昨日の同じ時間のことだったのかと
いつもより一本早い電車に乗り片隅で
濡れた服を拭く私を遠巻きに見守る乗客たち
傘を持たない人が当たり前に多いから
駅に降り立った後の憂鬱に想いを馳せてる人もいるだろうと思う表情を横目に
落ち着いてみた電光掲示板に青ざめる
特急それも降りる駅より5駅も向こうにしか止まらない
これ以外なら全部止まるはずの割と大きな駅なのによりによって唯一止まらない電車に乗り込んだ
やらかしたお先真っ暗とかよく聞くフレーズ
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