第10話 榛名春奈、倉庫内作業中③
文字数 1,230文字
自らを縛る鎖を断ち切り、ついに当真は動き出す。
離れかけていた両腕に力を込める…興奮状態にある当真には、もう相手の声など耳に入らない。そして彼はそのまま高らかに、自らが頼みとするスキルの名を叫ぶ。
ずっと、抱き付かれたままの春奈が呆れる中、異変は起こった。
…ぞわり、とした感覚が彼女の背中を走り、場に起こった異状を知らせてくる。そのただならぬ気配に、警戒心を呼び起こされた春奈は、一気に全身を緊張させた。
『ピピッ、榛名春奈からの抵抗運動を確認。対象の抵抗値を算出、問題無し、続行可能と判断…スキルの連続使用が選択されました』
だが、そこまでだった…続け様に放たれる波動が彼女の心身を強く干渉し、認識をズラし始める。そして、春奈の意識に空白が作られた。
数瞬遅れての反応、このスキルの対象者は心の働きが鈍り、何をするにも後手後手に回ってしまう…。
後ろから聞こえてくる当真の叫び声。彼女には、それがやけに遠くに聞こえていた。
なんの抵抗も出来ず、スキルの効果に捕らわれてしまった春奈。彼女は小さく声を上げる。
そうしている間に、認識阻害は更なる段階へと進んだ。
倍以上のレベルの開きが、スキルの効力を決定付ける。
そして、榛名春奈は精神汚染ともいえる、チート級のスキル効果に晒されてしまう。
春奈が掠れそうな声で、小さく悲鳴を上げていた。その声を聞きながら、シテやったり! とばかりに、当真は口元に薄ら笑いを浮かべる。
システムの助けを借りて、戸惑いを掻き消した当真。凄まじい速さで、場面が転換していく中、彼は♂のままに次なる一手を放っていた。
『ピピピッ、サポートスキルの要請を確認。剥ぎ取りの壱・弐・参を連続使用、対象への領域展開を完了…AIハルナ1型、模擬戦を開始します…戦力不足です、魔法の手×4が追加されました…』
EX職業 AV男優と連動したシステムが局面を読み切り、当真の童貞解除へ向けて高速で答えを弾き出してゆく。
『全箇所異常なし、安全確認完了。これより、榛名春奈・強襲丸裸・一気呵成モードへ突入します』
熱き血潮をぶつける前に、まずは衣服を脱がして丸裸にする。水森当真は榛名春奈に対して、本気でセクロスを挑む覚悟だった。
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