第20話 修学旅行(班行動)②
文字数 1,901文字
初めて見た大阪の光景は仙台よりもずっと都会だった。
冬月さんの持つカバンには、昨日縁結び神社で渡したお守りがついていた。
(あ!付けてくれてるんだ)
そう思うと、ちょっと嬉しかった。
移動中、ふと酒井さんが冬月さんに話しかける。
ちょっと困っている神谷に冬月さんが話しかける。
歩いて戻ってきた神谷が冬月さんに言った。
アイドル時代に広いステージで歌ってきたから、記憶を無くしてても、職業病みたく視野が広いんだろう…
明は事情を昨日伝えたのに、よくわかっていなさそうな顔をしていた…
移動してる最中、知らないスーツを来たおっさんに冬月さんは名刺を渡されていた。
酒井さんが騒ぐ
冬月さんは名刺を持ち歩き始めると少し体調が悪そうな顔をしている気がした…
そして、ふらついて、隣を歩いていた神谷に寄りかかった…
ちょっとすると、冬月さんは体調が戻ったみたいで、みんなで再び歩き出し、電車に乗ると午前中の班行動終了時の集合場所に向かった。
少し貧血の時のように視界が眩んだ…
みんなの心配する声が少し聞こえるけど、頭痛がひどい…
さっきまでなんともなかったのに…
そして、ぼやけていて分からないけど、私の記憶なのだろうか?
私に名刺を渡す女性の姿が一瞬浮かんだ。
その人はやはり、ぼやけていて、誰なのかわからない…
でも、頭の中に知らない人の名前が浮かんだ…
紬さん…
自然と口に出していた…誰かわからない人の名前…
今はなんともなくて、みんなと電車で移動して、集合場所に向かっている。
さっきのは何だったんだろうか…
思い出せない昔の記憶の断片の一部なのだろうか…
私は以前そのぼやけていてよくわからない人にスカウトされたのだろうか…
紬さんって私は無意識に言った、その人は私が知っている人なのかもしれない。
全部思い出した方が幸せなのか、そうじゃないのかは、私にはわからない。
でも、今、ここにいる人達と出会えて良かったと私は思っている。
白石 千春に戻りたいとは、今、特に思っていない。
もし、記憶が戻ってしまったら、東京に帰りたいと思ってしまうのだろうか?
あんまり深く考えると、わけがわからなくなりそうだ…
今は周りにいて私を大切にしてくれるこの人達と過ごしていたい。
そう思った…