第3話 幼馴染みと憩いの場と…
文字数 8,181文字
ゴールデンウィーク明けの朝、近所でばったり出くわしたのは近所の幼馴染み
相変わらず無気力で気怠そうな男だな。同い年の男子高校生とは思えないくたびれっぷりだ。
「ま、その様子だと白紙になったんだろ?だよな~!でも俺見たかったわ~!!お前のお見合い!!」
あ、急に元気になりやがった。
忍は見た目は眼鏡の似合うちょっと陰のある知的な長身イケメン風だが、中身はドSのジャ●アンで、気まぐれ猫みたいな奴である。とにかく面白いことにしか興味がないというか…ぶっちゃけ性格最悪などうしようもない男だ。
が、しかし…神様は余計な才能を彼に与えてしまったようだ。常にやる気ゼロ男で寝ていることの方が多そうな奴だが(実際そうだ)、芸術的才能…特に絵を描くことは天才的だった。しかも頭もそこそこ良ければ運動神経も良いし。
だからいつも思う…『神様!どうしてこのようなどうしようもない男に美貌と才能の二つも与えてしまったの!?』と…
神様は不公平すぎる!!
「で?どんな奴だった?やっぱ変な奴??」
「忍…それ以上言ったらぶっ飛ばす…」
「いいよ、別に。避けるから。で?どんな奴だったんだよ?」
「…あんた並みに最悪最低の男だった。以上。」
「マジで?つか俺は別に本能的に生きてるだけだし…お前も同じようなもんだろ?」
「一緒にすんな!無気力伊達眼鏡!!」
「伊達眼鏡今関係なくね?ま、いいけど。そういやお前また背伸びた?俺追い越すんじゃねーぞ?縮め縮め縮め……」
と、あたしの頭をぐいぐい押すと呪いの呪文のようにそう唱え始めた…
こいつ…本当自由だな…あたしの心中くらい察しているだろうに…
「ねぇねぇ!!あのCM見た??」
「見た見た!!超カッコいいよね~!!」
自由気ままで珍しく朝からご機嫌の幼馴染みにされるがままになっていると、古びた駅に貼ってあるポスターを前にはしゃぐ女子高生(もしくは中学生か)が二人…
あたしの住む町はちょっとおかしい。駅付近は何もない田んぼ道で、自販機すらない。コンビニも公衆電話すらも。そして駅は超レトロで田舎の木造駅舎風でかなり年季が入っている。
そんな古めかしい駅の待合室(ここも当然木造で古めかしい造り)に貼られている真新しいポスターがなんだか場違いで酷く浮いて見える。
「AZUREの新曲聴いた?」
「うちまだなんだ~!!」
「じゃあ今日買いに行こうよ!初回特典付いてくるんだって!!」
「マジで!?絶対行こう!!」
と、今時の女子学生らしい会話とはしゃぎよう…それは良い。可愛らしいから。問題は…
「…何故このど田舎駅にあんなポスターが貼られてるわけ?」
「あ?俺が知るわけねーじゃん。」
怒りに震えるあたしの隣でかったるそうに欠伸をする忍…
そんなことはどうでもいい。
あたしは…連休中ずっと怒りを治めようと極力テレビを見ずやり過ごしていたというのに!!あいつの顔を、あの最悪な出来事を思い出さないように!!
「…忍、あれ剥がして破って捨ててもいいと思う?」
「やってみれば?駅長のおっさんにどつかれるけど…」
「そ、それはちょっと嫌だ…」
ここの駅『
まぁ…人情深い良いおっさんなんだけど…何せ見た目が怖いからな…
「お前のイケメン嫌いなんとかなんねーの?ポスター見ただけでその反応って…引くわ。後輩なんてそれ見ただけでキャーキャー三十分くらいは騒いでんぞ?」
「何それ引くわ!理解出来ない…」
「まぁ、否定はしねーけど。……あ、わかった。」
「な、何が?」
「お前の見合い相手。あのどっちかだろ?そんでアイドルの裏側を見たお前がキレてプロレス技かけて台無し。そんなとこだろ?」
「な、何故そこまで!?」
貼ってあるポスター…AZUREが映るポスターを指さし淡々と言い当てる忍にあたしは動揺しまくった。手に…いや、全身に嫌な冷たい汗が滲み出るのを感じたくらい。
「マジかよ…で?どっち?」
「あれ…名前も言うのも嫌…」
「有沢伴だっけ?で?どうなった?もうここまでバレてんだから全部話せ。」
「…わかったわよ…言えばいいんでしょ…」
こうしてあたしはやむ終えずお見合いの出来事を忍に説明することになったのだった。
ああ、こいつにだけは言いたくはなかったのに!絶対大笑いして面白がるに決まってるんだから!!そしてこれをネタにいじってくるんだ!!
「あははは!!お前マジ最高だわ!さすが俺の幼馴染み!!相棒!!」
電車の中、忍は人目を気にせず大笑いしあたしの背中をバンバン叩いた…
やっぱり…こうなると思ったよ……
つか相棒って……いつからそうなった??普通に嫌だぞあたし。
「あ、あれにドロップキックって…しかも池に落としたってマジうけるんだけど!!あ~…朝から笑い過ぎて腹痛い…」
「わ、笑い過ぎだ!!そ、それに池に落ちたの!!落としたんじゃなくて勝手に落ちたの!!」
「にしても…あ~…ダメだ…面白すぎて何も言えねぇ…今までの武勇伝の中で一番面白い!」
あたしの肩をがっしり掴み苦しそうに腹なんか抱えながら忍は笑いを堪えるのに必死だった。
てか武勇伝って…それ違うだろ!?
「あ~…本当お前最高だわ!面白すぎる…」
「それ以上笑ったら今度はあんたにドロップキックするから…」
「え、嫌だ。俺最近ろくに寝てないから絶対気絶するし。」
「あ、あんたまた無茶な生活を…」
忍は芸術的才能がずば抜けている。それ故この若さにして数々の賞を取り、期待もされている。本人はその評価に関して全く興味ないけど。が、作品創作に入ると人が変わったようにアトリエに籠り集中し、その他基本的な生活活動までもが物凄く疎かになるのだ。
そのせいで周りの人間がどれだけ心配したことか。音信不通になってアトリエを覗くと死んだように眠っていたりふらふらで最悪倒れたりと…いつもにも増してダメ人間っぷりが凄い。
「…まだ大丈夫。」
「いや、そろそろ自分の限界悟って!お願い!!」
「何言ってんのお前?自分の限界を超えてこそその向こうに素晴らしい世界が待ってるんだって…」
「その扉開けちゃダメ!!」
「…まぁ、俺の事はいいじゃん。また何か進展したら教えろよ?」
「絶対言わない!!」
「お前が言わなくても美空さんが教えてくれるし。」
不敵な笑みを浮かべると、忍は一足先に電車を降りて行った…。彼はあたしの通う学校の一駅前の高校(共学)に通っているのだ。ちなみあたしは女子校。名門のお嬢様学校として名高い。
せっかくのセーラー服…けど長身のあたしにはちょっと不似合いな気がする。
あ、なんか悲しくなって来た…
*****
夕暮れ時。いつも以上に退屈な授業を終えいつもの様に職員室へ呼び出され宮城先生に説得されたあたしは疲れ切っていた。
お腹空いたなぁ。こんな時はあのお店に行こう。
星花町駅を降り静かな田んぼ道を抜けると、賑やかな商店街へと出る。星花町一賑やかな場所、町民のライフゾーンでもあるスマイル商店街へと。
あたしの両親が経営する花屋『FOREST FLOWER《フォレストフラワー》』もこの商店街の中にあり、地元の人々に愛されているお店の一つだ。
その隣に佇む喫茶店『
カランコロン♪
レトロなベルを鳴らし店内へと入るとコーヒーの良い香り…そしてひょっこり現れる愛らしい生き物…
「あ!つ~ちゃんいらっしゃ~い!!」
ガバッ!!
その愛らしい生き物…正確には華奢で少し小柄な美少女…のような生き物は…いつもの様に満面の笑みを浮かべあたしへ猛突進。力強く抱きついて来た。
く、苦しい…この人はこんな華奢な体のどこにそんな力が…!?
「も~!!隣なのに最近来ないから心配してたんだよ~!まさか風邪で寝込んでたとか!?つ~ちゃんが!?」
「いえ…あたし一応受験生なので…」
「あ~!!そっか!でもつ~ちゃん大丈夫なの??」
うっ!?い、痛い!!相変わらず無邪気にざっくり刺してくるわこの人…可愛い顔して…
柔らかそうな薄い茶色の髪につぶらな大きな瞳…どう見ても美少女にしか見えないこの人は
そう…彼女ではなく彼…それも美少女ではなく美少年…いや、正確には美青年と言った方が正しい。服装もメイドさんではなくちゃんした男装のウェイターさんだ。
凛さんはこの店のアルバイト店員で、人懐こい子犬のような無邪気さと暴漢を殴り飛ばす逞しさを兼ね備えた美少女風な男前さん。金木犀のマスコット的存在でお客様からの人気は絶大だ。
「あ、蕾ちゃん!やっと来てくれたぁ~!!」
と、店の奥からひょっこり顔を出したのは小柄な元気そうな少女と長身イケメン。この店を経営する仲睦まじい
この妹の
皐月兄妹の両親は一年前に事故で亡くなり、それ以来兄の
「先輩だよ先輩。」
「いいじゃん学校ではちゃんと呼んでるんだし。それより休みの日もこっち来ないどころか花屋にも出てないって珍しいね?何かあったの?」
「珠惠、あたし受験生だよ?お店手伝ってる暇ないんだって!」
「え!?蕾ちゃん進学する気なの!?正気!?ちょっと本当大丈夫!?変なもの食べた!?」
た、珠惠…あんたまであたしのことを……
言い返せない自分が悲し過ぎる!!あんただって同じような頭の癖に!!
「珠惠、お前も人の事言えないだろ。あんま受験生追い込むような事言うのはやめなさい。」
「お兄ちゃんだって心配してたくせに…」
「それは心配だよ。蕾ちゃんお前と同じで目を離すと何をするか分からないし……」
そ、聡一郎さんまで…!?
珠惠の頭を軽く小突きながら、聡一郎さんは遠慮がちにあたしを見ていつもの席に座るよう促してくれた。
いつもの席…カウンターの中央の席があたしの特等席。昔らかこの店に来るとその席に座って珠惠と遊んだりして過ごしていた。
「いつものでいい?」
「あ、はい。お願いします。」
元気な妹珠惠とは正反対、落ち着いた大人な雰囲気の聡一郎さんはウェイター姿が今日も様になっている。黒髪に涼し気な瞳、バリトン調の美声。クールに見えて愛想の良い世話焼きな部分がまたギャップ萌えする。
実はこの人…あたしの初恋の人なのだ。今はもう違うけど。やっぱり名残なのか今見ても惚れ惚れしてしまう。彼目当ての女性客も増えているらしいし。
が!この人、頭が超堅いシスコンだ。珠惠のことになると本当こっちがドン引くくらい過保護になる。父親代わりと言うこともあるだろうけど。
「蕾ちゃんなんかあった?元気ないみたいだけど…」
「え?そうですか?」
コーヒーを差し出しながら、聡一郎さんはどこか心配そうにあたしを見ていた。
聡一郎さんは小学校のころからのあたしを知っているせいか、あの両親を見てきたせいか珠惠と同じようにあたしの事も気にかけてくれる。たまにうっとうしくもなるけど。
そう言えば気にしてくれる近所のお兄さんと言ったらもう一人存在するはずなんだけど…
「
「ああ…あの人最近家に籠って出てこないんだよ。妹を迎え入れる準備が忙しいとかで浮かれまくっててさ…本当訳わからない人だ…」
「あ、ああ…なるほど…
緋乃もあたしの幼馴染みでもう一人の親友でもある。彼女は結構複雑な環境で育ったいわくつきの子。兄の紫乃さんに溺愛されて育った。
でもってその兄の紫乃さんと五年前までこの町で暮らしていたが、知らないうちに町を出て最近またふらりと紫乃さんだけ戻って来た。この兄妹は謎が多く、この町に来た時も急にふらりとやって来た感じで一時星花町民の間では話題になった。
その紫乃さん、実は母と同じ作家先生。見た目も変わっているが中身も妹同様癖のある方だが、あたしはよく忍と一緒に彼の家に入り浸っていた。何だかんだで如月兄妹が好きだったから。
忍は家の縁側の昼寝が目当てで、あたしはそんな忍を放置し緋乃と遊んだり、たまに紫乃さんにも遊んでもらったりして過ごしていた。
謎は多かったけどあたしにとってあの家は居心地が良くて、お気に入りだった。彼らのお祖母ちゃんも優しくて良くお菓子をくれたし。絵に描いたような『おばあちゃん』って感じの可愛らしい人だった。
そんな彼らと入れ替わるようにして皐月家が越して来た。彼らの店があたしのもう一つの居心地の良い場所になるなんて…なんだか不思議だ。
そういや忍はまだこの店に来た事は無いみたいだけど。来たらきっと気に入っちゃうんだろうな。珠惠なんて忍の好みにばっちり当てはまってそうだし。色々な意味で。
「そっか、蕾ちゃんはあの人のことも妹さんのことも昔から知っているのか。変な事とかされなかった?」
「紫乃さんは元々が変なので分かりません。ついでに妹も変わってて…あ、でも紫乃さんに似て美人ですよ?ちょっと地味目で大人しそうに見えるんですけど中身は全然違くって!」
少しだけ鋭い目になった聡一郎さんを見ると刑事時代を思い出す。スーツをビシッと着こなして格好良かったんだよね…今もだけど。
「…あのユニーク過ぎる幼馴染み達にどんなに振り回されたことか…その度に紫乃さんがさりげなく助けてくれたりして…たまに散々な目にもあったけど…」
「え?そうなのか?あの人なら面白がって笑顔で見守ってそうだけど…」
「まぁ…暫くは…けどちゃんと助けてくれるんです。基本女の子には優しいので、あの人。」
「それは分かる…あの人珠惠に構って困ってるんだが…」
「ああ、しょうがないですよ。珠惠って何か緋乃に似てるんです…あそこまで変じゃないけどちょっと重なるところがあるのかと…」
「珠惠は俺の妹だぞ…勝手に重ねられても困る。」
「ま、まぁまぁ…紫乃さんああ見えて結構苦労人なんですよ?あたしが勝手に話せることじゃないので言えませんけど。それに根は優しい好青年なので。腹黒いけど……」
一通り話すと程よく冷めたコーヒーを一口。聡一郎さんの淹れたコーヒーはやっぱり美味しい。元刑事とは言え、バリスタの資格と調理師免許も持ってるし。あたしもたまに料理を教わっている。
はぁ…やっぱりここでのひと時は癒される。こんなことなら連休中にもお邪魔すればよかった。そしたら怒りも早く治まっただろうに。
ああ、なんかまた思い出したら腹が立ってきた。いかんいかん。忘れろあたし!!あれは幻!白昼夢!!あってなかったような出来事なんだ!!そう思おう!
そ、そうだよ…どうせもう会うこともないんだろうし。見合い事態がそうじゃなかったんだから。
カランコロン♪
「あ!紫乃ちゃん~!!」
ガシッ!!
お馴染みのベルの音とともに凛さんが来客に飛びついた…
そしてそれは、勢い余り過ぎて来客ごとひっくり返った。
「り、凛君…相変わらず元気だなぁ…」
「えへへ、ごめんごめん。ちょっとテンション上がっちゃった!」
起き上がるその人物…それは平成現代には相応しくない時代錯誤も良い服装をしていた。
茶色い髪に整った顔立ちは良い…が、そのイケメンは書生のような恰好をしていた。下は詰襟の代わりに黒のハイネック、そして小さな勾玉とお守りが付いている奇妙な首飾りまでしている。
一瞬某名探偵のじっちゃんが現れたのかと思うコスプレ感…しかし若竹色の着物が彼の爽やか好青年ぶりを引き立たせていて、妙に違和感なく似合っているのが恐ろしい。
彼がさっき話題になっていた紫乃さん。
「あ、蕾ちゃん久しぶり。どうしたの?最近見かけなかったから心配してたんだよ?出版社で偶然美空先生見かけた時に思わず聞いちゃったよ。」
とても心配している様には思えないくらいの爽やかスマイルを浮かべつつ、あたしの隣に腰を降ろした。
この人…出版社でもこんな恰好してるのか?紫乃さんだからそうに違いない。
「お見合い散々だったんだって?ドロップキックして池に突き落としたって聞いたけど?しかも…あの有沢伴を。」
「突き落としたんじゃなくて落ちたんです!!あいつが勝手に…それに悪いのはあっちの方なんです!」
「あはは、身長の事言われちゃった?」
「わ、分かってるなら聞かないでください…性格悪いですね、相変わらず…」
「あはは、ごめんごめん。蕾ちゃんからかうと面白いからつい…ごめんね?」
紫乃さんは笑顔で謝るとあたしの前に紙袋を差し出した。
こ、これは…!?あの幻のふんわりうさぎ大福が売っている…!?
「今日来てるんじゃないかって思ってさ。珠ちゃんと仲良く分けて食べてね。」
「紫乃さん大好き…!」
「うん、知ってる。俺も大好きだよ。」
こんなこともさらりと笑顔で言ってしまう紫乃さん。変人だけど普段は穏やかで優しい紳士的な爽やか好青年なので昔からモテる。その上イケメンと来れば飛びつかない女子はいないだろう。
と言っても…紫乃さんて特定の女性の影が見えないんだよね。適当に付き合ったりもしないし。かといってあっち方面の人には到底思えない。
「わ~!!お兄ちゃん美味しいコーヒー淹れて!!」
「可愛い~!!うさぎ型だぁ~!!写メ写メ!!」
「あ!あたしも~!!」
はしゃぐ女子高生二人と凛さんを紫乃さんは満足そうに微笑みながら見守り、聡一郎さんはちょっと呆れた様子でため息を吐いて見ていた。
そして…暫しの間…
………
………
………
『有沢伴!?ってあの!?』
紫乃さん以外の三人が一斉にそう聞いて来たのは二杯目のコーヒーを飲んだ時であった。
ああ、やっぱり皆さんそこに食いつきます?このまま聞き流していればよかったものを…
「つ~ちゃんお見合いしたの!?」
「有沢伴てAZUREの!?なんで蕾ちゃん黙ってたの!?」
「ドロップキックって何されたんだ!?」
そう一斉にあたしに迫り疑問をぶつけられてもなぁ…紫乃さんも笑ってないで助けて下さいよ!!
「…紫乃さん聞いているんですよね?お母さんに全部。なら紫乃さんが皆に説明してください…あたしは思い出すのも嫌なので!」
「え?いいけど…まぁ、彼も悪いと思うけどなぁ。蕾ちゃんは大人しくしていれば清純派の可愛い女の子だし…」
「一言余計です。」
「ああ、ごめんごめん。」
こうしてあたしはまたあの日の怒りの記憶を思い起こす羽目になった。
本日二度目…勘弁してよ…