生と死の境目

文字数 884文字

蓮、人間誰でも死ぬわけで、実は需要がものすごいあるんじゃ?
ないわね。
そういえば、っていう言葉で始めるけど、鎌倉時代には死体を描いて人々に見せることがプチブームだったらしいね。
そうなのよねえ。どのくらいはやってたかは知らないけど。
なんで昔の人たちは死体なんて描いてたのかな? リョナ目的かな?
違うのよ。人が死体を描くのはね、それだけ世界が死というものを根源に回っているからだ、と考えていたからよ。
まあ、現代人は生きているのが当たり前でね、死体なんて見たことがないでしょうけど、人間はいずれ死ぬ、と考えれば、そうね、100年後には日本国内でも1億体の遺体が出るわけでしょう? それをどうやって処分するのか考えたことはある?
確か……作者が住んでる街で死体のホテルってあったね。火葬できない遺体が保管される場所があって。
人間が社会を作ると、必ず死というものが無視されて都市が構築されるわ。でも、自分がいずれ死ぬなんてわかりきった話よね? その話題をひたすら避けて、死体のホテルでしょう? 笑っちゃうわね。
締め切りを守らない作家みたいだね!
自分は守っています。
ともあれ、需要のない話よ、これは。

人は生きている、でも死について考えたくない。

とはいっても、いずれその時はやってくるわ。記憶の片隅にとどめておく、くらいのことはしておかないとね。

で、昔の人が死体を描いていたっていうのは?
そうね、人はいずれ死ぬ、と世界のありのままを表現したかったのではないかしら?
とはいっても死ぬことは私の一生の外側だし、え、それって私関係してるの? 私死んだら私いないじゃん。
じゃあフロムがあなたの死を意識するのも時間の無駄ね。
そっかー、自分が死んだら自分は終わるのかー。死んだら自分自身にさようならなんだね!
変な話、死んだら終わってしまう自分だけの人生って、むなしいわよね。転生できればいいけど、ぶっちゃけ生まれ変わりなんて信じてる人少数派だし。あんまり自分のためだけに生きてもいいことないかもね。
だって、自分のためだけに生きれば、死ぬのが終わりになっちゃうじゃない。
うわー、需要ないなーこの話……
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

フロム

レアケースで困った人

東雲連

レアケースを対処する人

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色