第44話 ダグラス殿下への信頼
文字数 1,496文字
「それで? 何か思惑があるのか?」
ダグラスが、率直に訊いてくる。
「思惑って?」
何の事だか分からない。思った事を言っただけなのに。
「思惑があるのなら言ってくれ、乗ってやるから」
いや、だって、思惑なんて……ただ、今まで通りにしたいだけなのに。
「思惑なんて、無いです」
私は、きちんとダグラスの目を見て行った。
「クラレンスの事を選んどいて、俺とも仲良くしたいって?}
ダグラスは、半笑いでそう返してきた。何だか少し怖い。
「キャロル嬢。自分が何言ってるのか、分かってる?」
なんだか、だんだん壁の方に追い詰められてるような気がする。
……というか、これが噂の壁ドン?
「あ……あの。ダグラス殿下?」
何か、私怒らせてしまった?
「あくまでも、しらばっくれるんだ……」
しらばっくれるって、意味が分かんない。
「人の婚約者を、こんなところに連れ込んで、どういうつもりだ?」
いつの間にか、ダグラスの後ろにクラレンスが立っていた。二人共にらみ合っていて怖い。
「別に、この前の返事をもらっただけさ」
そうダグラスは、返していたけど。私の方を見て、言ってくる。
「キャロル嬢。俺の事を信じてくれるって言ったよな。俺はウィンゲート家の思惑とは無関係だって、信じるか?」
ダグラス越しに、クラレンスも見える。
クラレンスに、私への不信感を植え付けるつもり?
「もちろんですわ。ダグラス殿下がクラレンス殿下の味方をして下さる限り……ですが」
「そんなのしたっけ?」
しらばっくれているけど、ダグラスの本質は優しくて誠実なんだと思う。
「クラレンス殿下が引きこもっている時も、リリー様を探しに行こうとしている時も、アドバイスをしていたり、引き留めたりしていて下さったじゃないですか」
そして、私にも損得関係なく優しくしてくれた。
「ああ、あれね。確かにな。放っておいても良かったよな」
「わたくしは、そう言うダグラス殿下だから信じていたいんです」
そう、にっこり笑って言った。
「なるほどね。その辺は変わって無いんだ」
ダグラスが、納得したように言ってきた。だけど、変わって無いって。
「キャロル嬢は、昔からクラレンスの味方をして来たもんな」
やっぱりキャロル自身もクリスが言っていた通り、クラレンスの助けになる様に動いてたんだ。
ダグラス越しに見えるクラレンスも微妙な顔をしている。
「ほら、ダグラス。いつまで、私のキャロルにくっついてるんだ。離れろ」
「はいはい。じゃあな。キャロル嬢」
ダグラスが会場に戻ってしまってから、クラレンスが訊いてくる。
「それでキャロルは何の返事をしたのかな?」
「この前、ダグラス殿下が言われていた、『考えてみて』の返事ですが。わたくしは、クラレンス殿下を選んだと言いました」
私は、聞かれたことに素直に答えた。クラレンスの顔が少し赤くなった。
「それが何で信じるとか信じないとかの話になるんだ?」
「わたくしが、信じたいって言ったので。後は、クラレンス殿下が訊いた通りですが、マズかったですか?」
「いや。まずくは無いが……。はっきり断りを入れた事で、ウィンゲート家がどう出るか」
「ダグラス殿下は、関係無いって。思惑があるなら私の思惑に乗ってくれるとまで、言ってくれたんです」
私が必死になって言っているのに、クラレンスは曖昧に笑うだけで……。
「ダグラスは……ね。とにかく、夜会の時は会場内にいてくれ。そうすれば、私かリオンの目が届く」
「分かりました」
何だか、良く分からない。ダグラスを信用しているのだか、していないのだか。
「じゃあ。私達も戻ろうか」
そう言って差し伸べられた手を取って、私は会場に戻った。
ダグラスが、率直に訊いてくる。
「思惑って?」
何の事だか分からない。思った事を言っただけなのに。
「思惑があるのなら言ってくれ、乗ってやるから」
いや、だって、思惑なんて……ただ、今まで通りにしたいだけなのに。
「思惑なんて、無いです」
私は、きちんとダグラスの目を見て行った。
「クラレンスの事を選んどいて、俺とも仲良くしたいって?}
ダグラスは、半笑いでそう返してきた。何だか少し怖い。
「キャロル嬢。自分が何言ってるのか、分かってる?」
なんだか、だんだん壁の方に追い詰められてるような気がする。
……というか、これが噂の壁ドン?
「あ……あの。ダグラス殿下?」
何か、私怒らせてしまった?
「あくまでも、しらばっくれるんだ……」
しらばっくれるって、意味が分かんない。
「人の婚約者を、こんなところに連れ込んで、どういうつもりだ?」
いつの間にか、ダグラスの後ろにクラレンスが立っていた。二人共にらみ合っていて怖い。
「別に、この前の返事をもらっただけさ」
そうダグラスは、返していたけど。私の方を見て、言ってくる。
「キャロル嬢。俺の事を信じてくれるって言ったよな。俺はウィンゲート家の思惑とは無関係だって、信じるか?」
ダグラス越しに、クラレンスも見える。
クラレンスに、私への不信感を植え付けるつもり?
「もちろんですわ。ダグラス殿下がクラレンス殿下の味方をして下さる限り……ですが」
「そんなのしたっけ?」
しらばっくれているけど、ダグラスの本質は優しくて誠実なんだと思う。
「クラレンス殿下が引きこもっている時も、リリー様を探しに行こうとしている時も、アドバイスをしていたり、引き留めたりしていて下さったじゃないですか」
そして、私にも損得関係なく優しくしてくれた。
「ああ、あれね。確かにな。放っておいても良かったよな」
「わたくしは、そう言うダグラス殿下だから信じていたいんです」
そう、にっこり笑って言った。
「なるほどね。その辺は変わって無いんだ」
ダグラスが、納得したように言ってきた。だけど、変わって無いって。
「キャロル嬢は、昔からクラレンスの味方をして来たもんな」
やっぱりキャロル自身もクリスが言っていた通り、クラレンスの助けになる様に動いてたんだ。
ダグラス越しに見えるクラレンスも微妙な顔をしている。
「ほら、ダグラス。いつまで、私のキャロルにくっついてるんだ。離れろ」
「はいはい。じゃあな。キャロル嬢」
ダグラスが会場に戻ってしまってから、クラレンスが訊いてくる。
「それでキャロルは何の返事をしたのかな?」
「この前、ダグラス殿下が言われていた、『考えてみて』の返事ですが。わたくしは、クラレンス殿下を選んだと言いました」
私は、聞かれたことに素直に答えた。クラレンスの顔が少し赤くなった。
「それが何で信じるとか信じないとかの話になるんだ?」
「わたくしが、信じたいって言ったので。後は、クラレンス殿下が訊いた通りですが、マズかったですか?」
「いや。まずくは無いが……。はっきり断りを入れた事で、ウィンゲート家がどう出るか」
「ダグラス殿下は、関係無いって。思惑があるなら私の思惑に乗ってくれるとまで、言ってくれたんです」
私が必死になって言っているのに、クラレンスは曖昧に笑うだけで……。
「ダグラスは……ね。とにかく、夜会の時は会場内にいてくれ。そうすれば、私かリオンの目が届く」
「分かりました」
何だか、良く分からない。ダグラスを信用しているのだか、していないのだか。
「じゃあ。私達も戻ろうか」
そう言って差し伸べられた手を取って、私は会場に戻った。