第45話 雨のひとコマ

文字数 860文字

 梅雨明け間近かな……
昨日の午後の天気は、僅かな時間で黒雲がモクモク迫ってきたと思ったら、夜のように暗くなり、部屋の電気を点けました。

 ポツ、ポツ、ポツポツポツ、ザーッ、ゴオォォォー。あっという間に暴風雨。雨だけじゃなくて風まで連れてきた雨雲は、15分くらいで雨脚が弱まった。まさにゲリラ豪雨。突然の雨は一軒家泣かせだ。窓の数が多くて閉口する。全ての窓を閉めたつもりだったが……

 ドドドドド…… 夫が一階から勢いよく上がってきた。そして、窓が開いていないかを確認し始めた。
「ちゃんと、私が見たよ。信用ないなぁ」 と心の中で言った。あそこに、ここに、そこ。「でしょ、だから閉まっているんだって〜」 と心で。ところが、ドカドカドカ…… 夫は雑巾が置いてある洗濯用の流し台へと走った。「えっ?」

 物干し場に通じるドアが半分網戸のままになっていて、床はびしょ濡れ。雑巾2枚を使って必死に床を拭く夫。その背中を遠くから見る私。こんなとき、下手に手を出してはいけない。火に油を注ぐようなものだ。夫の性格を熟知している私なりの気遣い。この光景、何度目だ?というほど私の窓チェックはあまい。そんな私を知っている夫の行動。いやいや、その場所は確認した。2メートルくらい離れた位置で。コレがいけなかった。視力落ちたなぁ。ずぶ濡れの床よりもショック。

 ひと通り拭きあげ、雑巾を洗っている夫の背中に「もう1度、乾いた雑巾で拭いておこうか?」としゃあしゃあと訊ねる私。「ごめん」は禁句。夫に説教する機会を与えてしまうから。夫の返事は「雨が降ってきたら、窓を閉めてね」と。最大限の皮肉。「わかった」と私。
尾を引かないためには、あくまでも簡潔な言葉で返すのが私なりのセオリーだ。しかも反省を込めた短い言葉。

 子供たちが幼いころには声を荒げる喧嘩もしました。その都度悔やんだのは、子供たちに怖い思いをさせてしまったということ。今のようなやりとりができるのは、過去の反省の積み重ねですが、幼い子どもたちの心を傷つけた上に、成り立っているとも言えるのです。
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