裏話・その1

文字数 4,407文字

 作中のエピソードの元ネタや本編中では明かさなくてもいいかなと思った設定。

【姪っ子を預かる】
 僕のリアル妹は子供を二人生んでいます。どちらの時も里帰り出産をしまして、二人目の時には出産→退院までの一週間、親と僕とで長女の面倒を見ていました。妹が家にいた期間も含めて二ヶ月半ほど我が家に滞在。シーズン1のエピソードはだいたいこの期間の出来事が元ネタです。そのまま書いているわけでもありませんが。

【オムライス】
 前述の長女の大好物です。最悪の魔女スズランも大好き。犯人は僕。
 ある日、長女におねだりされた妹はオムライスを作りました。完成品は玉子がとろとろのタイプで、なおかつ一部が破けていました。長女は「おじちゃんのと違う」と文句を言い、妹の怒りの矛先は僕に向きました。なんとも理不尽な体験です。
 その後、妹に昔風のオムライスの作り方を教えて解決しました。

【お昼寝】
 姪っ子達はうちにいる時、大抵座敷でお昼寝します。三歳くらいの頃は実際に座布団を敷き布団代わりにしていました。
 なお、二人とも極度のママっ子で「一緒にお昼寝しようか」と言うと「ママがいい!」と逃げ出します。そのくせ人が昼寝していると「おじちゃんあそぼー」と乗っかってきて起こしたりします。

【駄菓子屋】
 駄菓子屋というか色々置いてる個人商店が自宅から歩いて一分のところにあり、長女は何度か連れて行ったことがあります。ただ、店のおばちゃんが一度病気で倒れてしまい、最近ではほとんど営業していません。僕らが子供の頃はよくそこで駄菓子を買っていました。
 一昨年のことですが、妹達が帰る直前、ドン・〇ホーテに立ち寄りました。あそこにも駄菓子コーナーがあり、妹は長女に「飛行機の中で食べるお菓子を選んできなさい」と言って三百円渡し、自分は他の売り場を見に行きました。
 僕は長女に付き添っていたのですが、長女はあれも欲しい、これも欲しい、どれにしようかとたっぷり時間をかけて熟考。
 最終的に食べたい複数のお菓子vsガチャガチャ風のおもちゃがメインでお菓子はオマケの商品一つで悩み、前者を選んでいました。
 選択の決め手は「こういうのかうとママにおこられる……」でした。

【むだづかい、めっ】
 上で書いたお菓子の時もそうなんですが、絵本やぬいぐるみをじっと見ていることがあって「おじちゃんが買ってあげようか?」と言うと長女は「いいっ」と断ります。小さいのに余計な出費を嫌うようです。
 でも誕生日やクリスマスのプレゼントは喜んで受け取ってくれます。場合によるようです。

【絵本】
 長女はゾ〇リシリーズが好きです。前に本屋に行ったら物凄い数が並んでいました。アニメが放送されていたことは知ってるんですが、原作はこんなに数があるのかと驚きました。
 作中の「悪の魔女シリーズ」は、ゲルニカではなく彼から最悪の魔女世界での話を聞いた、とある作家が書いているという設定にしています。どうでもいいですね。
 家に帰った後、おうちでも悪の魔女シリーズが読みたいと友美ちゃんに言われた美樹は、普段利用している電子書籍ストアで四割引クーポンが配布されていることに気が付き、全一〇八巻を四割引で買うという暴挙に出た。そのせいで同ストアのクーポンには以降“一〇冊まで”の上限がつくようになった……というエピソードを、これを書きながら思いつきました。

【保育園】
 二人目の里帰り出産の時、二ヶ月半のうち一ヶ月だけ長女を近所の保育園に預けていました。我々兄妹の通ってた園です。送り迎えの半分くらいは僕がやりました。
 この時、長女はピンク色の靴が大のお気に入り。保育園は本当にすぐ近くなので徒歩で送り迎えしていたのですが、ある日、雨の中を傘をさして迎えに行ったら、長女は地面が濡れているのを見て外に出るのを躊躇。
「くつがぬれる……」
 と言うので、じゃあだっこしてあげると片手でだっこして帰ったのですが、そこを曲がれば家が見えるという曲がり角の手前でいきなりストップがかかります。
「だっこでかえってきたのがばれたら、ママにおこられる」
 そう言った長女は下に降り、結局靴を濡らしながらおじちゃんを置いて走り出しました。
「えぇ~……」

【ニワトリと娘】
 笹子母子に関しては、最初は全く考えていなかったキャラです。ただ、長女が一歳の時、妹達が帰る直前にベビーカーに乗せて散歩していたら見知らぬ母子が正面から歩いて来て「可愛い赤ちゃんですね」と声をかけられ、伯父馬鹿を発揮してしばらくその場で話し込んだという思い出があり、同じようなエピソードを盛り込もうかなと考えていたところ、どういうわけかああなった。
 上記の母子に関してはその一度話しただけで、どんな姿だったか記憶も曖昧です。しかし笹子 麻由美というキャラを考える過程では妹の友達二人のイメージが多少反映されているかもしれません。娘の歩美の方は前述の母子の娘さんの方が活発そうだったという朧気な記憶と従姉の家の子供達のイメージのかけ合わせ。シーズン2での年下の子達への可愛がりようは、単純に義父となった豪鉄さんの影響で本人の素養が開花した結果です。

【お手伝い】
 長女の行動そのまま。食器洗い、掃除、洗濯など自主的に手伝います。えらいのでたかいたかいを体力が尽き、関節が悲鳴を上げるまでやってあげたりします。

【おままごと】
 長女も次女も好きなのですが、豪鉄おじさん同様、僕は苦手な分野です。弟が意外と上手い。

【知育菓子】
 一昨年遊びに行った時に一緒に作りました。最近のは凄いなと思う反面、子供には難しすぎだろうと首を傾げたものです。長女がどハマリしていて複数個買い置きしてありました。あの子は“作る”が好きなようで、誕生日に買ってもらったアクアビーズというおもちゃでも熱心にアクセサリーを作っていました。
 まあ、だいたいの作業は僕か妹がやるんですが。誕生日に贈った毛糸で色々編めるおもちゃは使えるようになったかな?

【おじちゃんのぼり】
 本来はとうちゃんのぼり。妹の旦那が開発した次世代スポーツ。競技人口二人。姪っ子達は登る山によって名前を変える。おじちゃんのぼり、じーたんのぼりなど。けっこう腰と膝に来る。
 僕と父の場合、姪っ子達が登り切ったら肩に担いで「よーし、このまま秋田に連れて帰ろう」と脅すのが定番。
 ここでも「やだ! ママがいい!」が炸裂する。最悪の魔女で複数のママっ子が登場したのは本物のマンモーニを日常的に見ているからです。

【散髪】
 経営してるのはおばちゃんですが、我が家の裏には本当に床屋があります。姪っ子達も何度か切ってもらっている。
 ここのおばちゃんはうちの母と友達で、よくキノコやら山菜やらをくれます。

【写真】
 妹はたまに娘達をプロに撮ってもらいます。誕生日とか七五三とかの節目に。それらの写真を自宅のあちこちに飾ってあります。うちにも送ってきます。あやつも大概な親馬鹿よな。
 僕のスマホのアルバムもほとんど姪っ子達の写真。今年は全然撮れませんでしたが……。
 運動会を見に行った時、スマホの望遠では全然足りず悔しい想いをしたので、スマホに取り付ける望遠レンズを買ったり、コンパクトながら最大30倍までズーム出来るデジカメを買ったりしました。
 何十万円もする凄いやつだと地上からズームするだけで月のクレーターが撮れたりするみたいですね。とても手が出せませんが、ああいうのなら秋田から姪っ子達を撮影出来るかな……。

【電車】
 僕は同行しなかったのですが、長女の電車初体験は“おばこ号”という地元のローカル線を走る電車。一両編成や二両編成でめっちゃ短い。
 乗る前、怖がって泣きまくり、乗ったら今度は大いにはしゃいでいたそうです。
 その後、妹の住んでいる場所の電車に乗った時にはおとなしくしていました。ふとしたことで成長を感じられます。

【青い月光】
 これはリアルとは全く関係無い設定ですね。最悪の魔女シリーズ、特に「憂鬱異世界旅行」を読んでくださった方にはわかるネタとして盛り込みました。おじさん世界は実は雨楽達と同じ界球器内にある並行世界なのです。
 とある青年が病で命を落とし、その直後から月光には人の心に小さな変化をもたらす効果が宿りました。カガミヤグループの遺跡調査はこれに関係したものです。
 本当に小さな変化で洗脳と呼べるほど強力なものではありませんが、その小さな変化が積み重なった結果、この世界は急速に平和になっていっているようです。
 青年の最後の願いは「彼女とみんなが、ずっと幸せに生きられますように」でした。
 最悪の魔女のその後の物語で、この件に触れるお話を書いてみたいです。

【遠足】
 里帰り出産の期間に実際に長女と一緒にやったこと。本編では書けませんでしたが、市役所に隣接した大きな公園の高台のてっぺんに歴史資料館や休憩所があり、休憩所の中は畳敷き。冷房などかかっていないのに夏場でもやけに涼しく、姪っ子と二人そこで昼寝して休憩。
 鳥小屋もあり、インコが中にたくさんいて、しばらくそれを眺めていたりもしました。鳥やら魚やらの生き物を観察するのが好きな子です。でも、おじちゃん虫嫌いだからアリはやめて。
 帰りはやっぱり遊び疲れて眠ってしまいました。おじさんほど腕力と体力に優れていないのでだっこしつつ三輪車を押して帰るのはなかなかしんどかったです。

【妹】
 考古学者ではありませんがリアル妹は教師をしています。今年はコ○ナ禍のせいで先生達も大変な様子。教師なのにオンライン授業のためユーチューバーをしなきゃいけないと、ため息をついていました。

【線路】
 うちの前の道路をまっすぐ歩いて行くと線路に突き当たります。うちに姪っ子達がいる時はよくそこに電車を見せに行きます。
 なお、この線路を渡るための踏切がえらく遠い位置にあるため、直線距離だとすぐに到達できるのに、ダイ○ーや薬王○まで買い物に行こうとするとひどい遠回りを強いられる。
 そういえば友美ちゃんが食事中に使っている椅子は百均の製品。リアルではリサイクルショップで買った品。もっといいのを買おうかと言ったら妹に「すぐ使わなくなるから別にいいよ」と釘を刺されました。妹の家では弟が贈ったスポッとお尻と足のハマるクッション性の高い数千円する椅子を使っていたようです。
 ただ、長女は年齢の割に大きいので、その椅子も結局すぐに使えなくなりました。

【未来】
 姪っ子が生まれて以来、そのへんを歩いている中学生や高校生を見ると「姪っ子達も、いずれあんなに大きくなるんだろうな」と想像してしまいます。
 大きくなったら、小さい時みたいにくっついて来たりしなくなるのは下の姉弟や従姉の家の子供達で経験済み。それでも遊びには来て欲しいものです。
 まあまだ小さいから、だいぶ先の話ですけどね。

 シーズン2編へ続く。
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登場人物紹介

 大塚 豪鉄。主人公で開始時点では33才。2m近い高身長で体型もがっしりしている。加えて強面なため洋服を着ているとプロレスラーかラガーマンだと思われがち。和装中心になってからはヤクザと誤解される。中身は善良な一般人。

 両親の死後、父の知り合いに紹介され有名な家電メーカー「ブラックホール」に高卒で入社。名前に相応しいブラック企業だったが、妹のためと歯を食いしばって十年以上勤務。その妹が立派に独り立ちした後も辞め時を見つけられず残留。しかし、たまたま買った宝くじで三億円当ててしまい、これぞ天の啓示と考え、ついに退職。以後は東京から実家に戻り、悠々自適の一人暮らしを続けている。しばらく働くつもりは無い。

 趣味は川柳。サラリーマン川柳に毎年応募していた。他にも漫画、ゲームなど意外と俗っぽいものが好き。和装も文豪気分になれるから始めただけ。何か新しいことを始めるたびに珍奇なハウツー本を買う悪癖もある。

 特技は家事全般。サラリーマン時代にストレス解消の一環として家事にのめり込んだ結果。

 顔は怖いが、気の優しさが滲み出ているらしく子供には好かれる。特に姪の友美を可愛がっており、友美も懐いている。そのため妹夫婦の海外出張中、一ヶ月間預かることになった。

 夏ノ日 友美。豪鉄の妹の娘。つまり姪っ子。親の教育の成果でまだ3歳とは思えないしっかり者。でも子供らしい失敗も多い。顔は母親似。まっすぐな髪質だけ父から遺伝した。両親にも伯父にも溺愛されている。父方の血の繋がらない祖父も可愛がっている。

 生まれた時から身近な存在だったため豪鉄の顔は怖くない。むしろ面白おじさんという認識。

 本を読んでくれる人とお菓子をくれる人はだいたい好き。ただしママは別格のママ大好きっ子なので母親がいない場所ではぐずることも多い。

 オムライスと絵本「悪の魔女シリーズ」も大好き。

 笹子 麻由美。中学・高校時代の豪鉄の後輩。中学生の時にいじめの現場に出くわした豪鉄に助けられて以来、彼に好意を抱いてこっそりつけ回していた。

 ギャルはいつでも強気→ギャルは勇気の塊→告白するにはギャルになるしかないという思い込みに到り、豪鉄を追って同じ高校へ入学した時、突然の高校デビューを果たす。結局告白はできなかったが妹分として可愛がられてはいた。ずっと豪鉄の後ろをついて回っていたことから当時のあだ名はヒヨコ。

 片思いのままの卒業後、大学で第二の運命の出会いを果たし、同い年の浮草 雨道と結ばれる。順調に交際を続け婚約するも、直後に雨道は未知の病にかかって急逝した。

 雨道の死後に妊娠が発覚。彼の子・歩美を産んで両親と共に実家で子育て中。一時期は清掃や内装を行う会社の事務員をしていたが、現在は市役所の臨時職員。休みを取りやすく娘のために時間を使えるので性に合っている。

 歩美の九歳の誕生日が近いある日、豪鉄と十数年ぶりの再会を果たす。普段は普通なのだが、彼が相手だと学生時代の口調に戻り、語尾に「ッス」をつけてしまいがち。

 笹子 歩美。麻由美の娘で小学三年生。年齢の割に言動がしっかりしておりクール。なおかつ父親譲りの美形なので同性にモテる。もちろん異性にも密かにモテている。とはいえ子供なので子供らしい姿を見せることも多い。

 体を動かすのが好きで、動きやすさを優先し、もっぱらジーンズを着用。なので男子に間違われることも少なくない。

 成績は中の上。地頭が良いので努力するとすぐに上がる。これも天才だった父からの遺伝。父方はそういう一族。

 誕生前に父が病死しているので母と祖父母に育てられた。しっかり者に見えて身内には甘える。

 数多く友人がいて、特に小一からの付き合いの沙織、木村は親友。でも木村少年は最近少しよそよそしい。

 見かけの圧が強烈な豪鉄に対しても臆面無く接する大きな度量の持ち主。しかし友美の可愛らしさにはすっかり骨抜きにされた。それがキッカケで教育者になりたいという夢も抱くようになる。

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