3-5.温泉宿
文字数 1,006文字
人の良さそうな温泉宿の主人は、沖津と美羽を笑顔で迎えると、美羽を部屋に案内した。
その後、美羽を温泉宿に残し、沖津は一人江島神社を参拝した。
沖津は江島神社で、故人である恩師と会話していた。
(・・・淳一会長・・・)
命の恩人であり、自分に生きる全ての術を教えてくれた恩師。ここは沖津が子供の頃よく恩師に連れてきてもらった場所だった。
美羽が叔母の神野清美に深く感謝するように、沖津もまた、その恩師に深く恩義を感じていた。
(・・・篠谷美羽は、僕が必ず守ります・・・)
ふと、沖津は殺気を感じた。かなりの殺気、だが、どこか見覚えのある殺気だ。
「・・・出て来い、お前だということは分かっている」
沖津は殺気の方向に向かって話す。
「フフ、気づかれてしまいましたか、さすがは沖津先輩。恩師とのお話はもう済みましたか?」
タクシーで美羽を襲った黒髪女性が、部下と思われる二人のスキンヘッドを連れてやってきた。
「・・・桂木凛子、何故ここにいるのが分かった?」
「あの子、あなたの言いつけ守らなかったみたいですね」
桂木凛子と呼ばれた黒髪女性は逆探知機を沖津に見せる。美羽のスマホを宿に荷物を置いてきたのは失敗だったようだ。
「そんなにあの下半身丸出し娘が大事ですか?妬けますね」
「あの子には指一本触れさせない。淳一会長の忘れ形見だからな。もしこれ以上あの子に手を出すなら、かつての愛弟子とはいえ、お前も容赦はしない」
桂木凛子は鞭を取り出し、パンッと地面に叩きつけた。
「フフ、こないだは不覚を取りましたが、今の特殊機動部隊のエースは私です。貴方ではありません。今の貴方は、組織から追放されただけの、ただの野良犬」
スキンヘッドがナイフを取り出し、両側に囲むようにジリジリと近づいてくる。
「今この場で消えて頂きましょう」
ナイフを構えたスキンヘッド二人が沖津に向かって両側から一斉に飛びかかってきた。真正面からは桂木凛子の放つ鞭が凄まじい勢いで沖津を襲ってきた。
✳︎
その頃、美羽は温泉に入っていた。
(ふう、気持ちいい・・・)
スマホで神野清美に電話したが、やはり繋がらなかった。ラインで帰れなくなった事情を送っておいたから、多分問題無いだろう。ラインを送った後に電源は切ったし、沖津には使ったことはバレまい。
その温泉宿を、複数の特殊機動部隊の戦闘員が包囲し始めていた。
その後、美羽を温泉宿に残し、沖津は一人江島神社を参拝した。
沖津は江島神社で、故人である恩師と会話していた。
(・・・淳一会長・・・)
命の恩人であり、自分に生きる全ての術を教えてくれた恩師。ここは沖津が子供の頃よく恩師に連れてきてもらった場所だった。
美羽が叔母の神野清美に深く感謝するように、沖津もまた、その恩師に深く恩義を感じていた。
(・・・篠谷美羽は、僕が必ず守ります・・・)
ふと、沖津は殺気を感じた。かなりの殺気、だが、どこか見覚えのある殺気だ。
「・・・出て来い、お前だということは分かっている」
沖津は殺気の方向に向かって話す。
「フフ、気づかれてしまいましたか、さすがは沖津先輩。恩師とのお話はもう済みましたか?」
タクシーで美羽を襲った黒髪女性が、部下と思われる二人のスキンヘッドを連れてやってきた。
「・・・桂木凛子、何故ここにいるのが分かった?」
「あの子、あなたの言いつけ守らなかったみたいですね」
桂木凛子と呼ばれた黒髪女性は逆探知機を沖津に見せる。美羽のスマホを宿に荷物を置いてきたのは失敗だったようだ。
「そんなにあの下半身丸出し娘が大事ですか?妬けますね」
「あの子には指一本触れさせない。淳一会長の忘れ形見だからな。もしこれ以上あの子に手を出すなら、かつての愛弟子とはいえ、お前も容赦はしない」
桂木凛子は鞭を取り出し、パンッと地面に叩きつけた。
「フフ、こないだは不覚を取りましたが、今の特殊機動部隊のエースは私です。貴方ではありません。今の貴方は、組織から追放されただけの、ただの野良犬」
スキンヘッドがナイフを取り出し、両側に囲むようにジリジリと近づいてくる。
「今この場で消えて頂きましょう」
ナイフを構えたスキンヘッド二人が沖津に向かって両側から一斉に飛びかかってきた。真正面からは桂木凛子の放つ鞭が凄まじい勢いで沖津を襲ってきた。
✳︎
その頃、美羽は温泉に入っていた。
(ふう、気持ちいい・・・)
スマホで神野清美に電話したが、やはり繋がらなかった。ラインで帰れなくなった事情を送っておいたから、多分問題無いだろう。ラインを送った後に電源は切ったし、沖津には使ったことはバレまい。
その温泉宿を、複数の特殊機動部隊の戦闘員が包囲し始めていた。