オナラ・ナオラン

文字数 1,544文字

 ここはどうぶつたちのくに。ブタのプータはあるなやみをかかえていました。

 オナラがとまらないのです。いまもおしりから『プーー、プーー』とオナラがなっています。
 がっこうのみんなはオナラのとまらないプータをからかい、だれもプータにちかづこうとしません。ただ、それだけならプータはこまらなかったでしょう。いしゃにたのんでなおしてもらえばいいのですから。

 プータがこまっていたのはプータがこいをしているタヌキのラコンナのそんざいです。
がっこうではいつもわらわないラコンナがプータのオナラをきいたときだけわらうのです。きっとプータのだすオナラをきにいっているにちがいありません。プータはそのことをとてもうれしくおもいました。

 だからこそ、プータはとてもこまっておりました。オナラをとめなければみんなにからかわれつづけ、かといってオナラをとめてしまえばラコンナのえがおをもうみることができなくなってしまいます。

 まさにきゅうきょくのにたくです。

 プータはあるひ、がっこうのせんせいであるサルのモンケツせんせいにそうだんしました。モンケツせんせいはプータのはなしをしんけんにきいてくれました。

「プータくん、どっちもえらんでしまうというのはどうだろう?」

 モンケツせんせいはプータにそういいました。プータはモンケツせんせいのことばにおどろきました。みんなにからかわれず、ラコンナのえがおをみるほうほうがあるというのです。

「いいかい、プータくん。オナラがとまらないというのはいまのきみのこせいなんだ。それをつぶしてしまうのはもったいない。だから、オナラをとめずにみんなにからかわれないようにすればいいんだ」
「でもセンセイ、どうやればからかわれずにすむんですか?」
「わたしにいいかんがえがある」

 そういってモンケツせんせいはプータにとっておきのひさくをおしえました。
 プータはモンケツせんせいのはなしをきくと、じゅんびをするためにがっこうをとびだしました。

 プータははじめに、キツネのルーナーがいる『おんがくや』にいきました。

「プータくんじゃないか。どうしたんだい?」

 ルーナーがそういうと、プータはルーナーにじぶんのなやみとこどもたちににんきのあるおんがくについてききました。ルーナーはプータのはなしをしんけんにきくと、こどもたちのすきなうたがはいったディスクをプータにあげました。

 つぎに、ネコのフェロマがいる『かおりや』にいきました。

「プータくんじゃないか。どうしたんだい?」

 フェロマがそういうと、プータはフェロマにじぶんのなやみとこどもたちににんきのあるかおりについてききました。フェロマはプータのはなしをしんけんにきくと、こどもたちのすきなかおりがするこうすいをプータにあげました。

 これでじゅんびはかんりょうです。
 つぎのひ、みんなはプータにきょうみしんしんでした。

 なぜなら、きのうまで『プーー、プーー』となっていたオナラは『プップ、ププププップ、プーププッププププ』とリズムをきざんでいたのです。そのリズムはみんなのだいすきなうたのリズムでした。

 そして、まえまでくさかったプータのオナラはとてもいいかおりがしたのです。
 きのうまでとはうってかわって、みんなはプータのまわりにあつまってきました。

 モンケツせんせいのいうとおりでした。みんながオナラをきらうのは『おと』と『におい』のせいだったのです。ならば、それをいいものにかえてしまえばよかったのです。

 プータのオナラをきにいってくれていたラコンナはあいかわらずわらってくれていました。それどころか、ラコンナはプータによくはなしかけてくれるようになりました。

 プータはいちやくゆうめいじんとなり、それからはみんなとなかよくくらしました。
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