1-2.暗殺者
文字数 894文字
沖津の視線に気付いたサングラス大男は懐から何か光るものを出した。幅広のナイフだ。
サングラス大男が慣れた手つきでナイフを構えると、突然沖津を襲った。
沖津はそれを分かっていたかのようにナイフを躱し、カウンターパンチの右拳をサングラス男のみぞおちに入れた。
サングラス大男は仰け反りつつ、ナイフを沖津に突き立てようとする、が、沖津は座席シートの枕にナイフを突き立てさせ、サングラス大男の股間を蹴った。ウッとサングラス大男が呻いた。
沖津はそのナイフを引くと、怯んだサングラス大男の脳天に突き刺した。
するとサングラス大男の後ろに座っていた50代くらいの男がロープを取り出し沖津の首に巻きつけた。沖津はサングラス男の脳天に突き刺したナイフで首のロープを切断し、50代男の喉を切り裂いた。男の喉から鮮血が飛ぶ。
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(さっきの、すごい反射神経・・・)
美羽はトイレの鏡で少し髪を整えるとトイレを出て、再び何食わぬ顔で窓の外を見る沖津の隣に座った。
バスは進み続ける。
美羽は英単語帳を読んでいたが、徐々に睡魔が襲ってきた。
そういえば、昨日は深夜2時まで勉強して、それから、ほとんど寝ていない。
睡魔は段々と強くなり、次第に、うとうとしてそのうち眠りについた。
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すると美羽の二つ前の席に座っていた女が突然立ち上がり拳銃を取り出すと沖津の胸を狙った。
沖津がサングラス大男から奪ったナイフを女に投げると、女の眉間に深々と突き刺さり、女はその場にどさりと倒れた。
夜行バスの運転手が立ち上がり沖津に向けて銃を構えた。 沖津は飛び上がって倒れた女の銃を手に取った。運転手のサイレント弾が沖津の頬を
ハンドルの主を失った夜行バスはゆらゆら揺れた。運転手の隣に座っていた30代くらいの男が慌ててハンドルを掴む。
沖津はその30代男のこめかみに銃を押し当てた。
「・・・分かっているな」
沖津に銃を突き付けられた30代男は、悔しそうな顔で運転席に座ると、バスを走らせた。