モフモフども

文字数 1,287文字

 さて、変人の話ばかり続いてしまったので、ここらで変人の話でもしよう。って、違うわ、私もそこまで変人ネタを豊富に取り揃えてお待ちしているわけではない。
 ネコである。吾輩は別にネコではないが、ネコの話である。なぜ、おキャット様はああなのか。うらやまけしからん。
 だいたいもって、自分の感情のままに動いて、快不快をそのまま表情に出したところで、あーネコだもんな、で許されるのがいかん。イヌだったらこっぴどく叱られるところだ。ハムスターなら……まあおハムもおキャット側か。が、好き勝手やったところであのプチサイズではたかが知れているせいか、そこまで「うらやましい」とはならない。せいぜい電気コードを食いちぎって壁をぶち破って家具家電を昇天させる程度だ。加えて、被捕食者のネズミであるせいか、気ままなようでいて案外我慢強い。
 気分屋なのを隠す必要すらなくて、あーネコだもんな、と、さも当然のように笑って許される、まことにけしからん。好きなときに甘えて好きなときに食べて、嫌だったらあからさまに避けて。ネコというのは現代社会を生きる人間から羨望の眼差しを全身に浴びてなお余りある存在だからこそ、疲弊しきったヒューマンマインドを癒すモフモフとして今人気が沸騰して水蒸気に変わっているのかもしれない。と、どっかのテレビか雑誌が言っていた。なんかその通りな気がする。ただ、それは高貴なこの身を人ごときに飼わせてやるという代償を支払った選ばれしものだけの話で、このとき人選びに失敗するとそれはそれで大変らしい。
 さて、猫をかぶる、という慣用句があるが、あれを実践したネコについ先出会った。地域ネコなのだが、大好き大好きー!と初対面から猫なで声で近付いてき、やりたい放題自由にモフらせ、あなたが特別です、僕もあなたの特別だよね? という雰囲気を醸し出してきた。あまりに度を越した媚びように、そこはかとない腹黒さを感じて他の子らと同じ扱いをしておいたら、今や撫でるのすら嫌そうにして手を避ける。ふっふっふ、過去の己の所業を恨むのだな、と悪役の笑みを浮かべて、ヤツが近付いてきたら必ず一度はモフっているが。他の子らは逆に今はデレデレになって、人の足を足蹴にしたり尻に敷いたり枕にしたり好き放題しながら満足そうにゴロゴロ言っていたりする。おネコのゴロゴロ音は人間のメンタルにも良いのだそうだし、こちらもやりたいようにやらせているが。まったく、あいつはネコが猫をかぶっておったわいニャ。
 意外なことに、平安時代のおネコ様事情は今と様子が違ったらしい。愛されていたのは変わりないようだが、イヌのように繋いで飼われ、逆にイヌが放し飼いにされていたとか。おキャット様的にはどちらが幸せなんだろうなあ。そこは分からんね、個体差もあるだろうし。
 シュレディンガーの猫だのネコ液体理論だの、どうもおネコというのは風変わりなものに巻き込まれがちだ。そして、そうならざるを得ない魔力を、おキャット様は間違いなく秘めているのだ。
 ──ん? ネコにまつわる表記揺れが酷いって? そんなの知らないにゃー、ネコだからにゃー。
 
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