第3話 父

文字数 277文字

父の仕事が終わったであろう時間帯に、私は電話をかけました。プルル、プルル。呼び出し音が鳴り響き、たった三十秒足らずの時間がとても長い時間のように感じられました。
「もしもし。」
「あ、もしもし、お父さん?」
久しぶりの親子の会話は、どこかぎこちなか進んでいきます。
「帰ってこれるの?クリスマス。」
ドキ、ドキ。心臓の音が私を責め立てます。そんな当たり前のことを聞くなと。帰ってきたのは、予想通りの言葉でした。
「いやあ、ちょっと厳しいかな。」



「そっ、か。」
私は悲しみがバレないように笑顔で答えました。電話越しで、表情など分かるはずもないのに。
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