第43話:清水と薫子の釧路旅行とMタワーに引っ越し

文字数 1,770文字

 横浜の家に帰って、薫子さんが、清水に、多額の遺産が入ったら、もっと良いマンションに引っ越さないかと言い出した。具体的にはと、聞くと、散歩の時に見た、素敵なMMタワーの海側のマンションと告げた。その後、家賃25万円以下で1LDKで、海が見えるMMタワーのマンションという事で、探してもらう事にした。

 しかし、すぐに見つからず、夏になったが、条件を満たす物件は、出てこなかった。そこで、夏休み、避暑のために北海道の釧路の一流ホテルが、8月1日からツインルームの2食つきで、マンスリーパックで20万円と言う記事を見つけて出かけた。羽田空港から釧路空港へ飛んで、空港から釧路駅行きの直行バスで到着。

 その晩、ホテルの最上階の海が見える素晴らしい景色のレストランで、暮れなずむ太平洋を見ながら夕食を食べた。翌朝、朝6時に、起きて、ホテルの近くの幣舞橋の4つの女性像の彫刻をじっくり見てきた。その後、ぬさまい広場も散歩して帰ってきた。数日後に、摩周湖の3つの展望台を回って、多くの写真を撮った。

 この湖の美しさ、神々しさを感じた。また、休憩所で聞いた、アイヌの民話の話も胸を打った。その他、屈斜路湖、阿寒湖、を周遊した。翌週は、網走湖、能取湖、サロマ湖を回ってみると、北海道の雄大さに感心した。牡蠣「かき」で有名な厚岸に行き、たらふく食べてきた。

 それ例外に、ホテルを早朝に出て、レンタカーで、根室、風蓮湖、標津町、羅臼、斜里を抜け丸1日をかけて、長距離ドライブを楽しんできた。また、ある日は、早朝に出て、足寄から、大雪山を見てまわるドライブを終えて、途中の池田町で特産のワインを購入し、帯広に寄り豚丼を食べて、帰ってきた。

 そのうちに1ヶ月が、経ち横浜に帰ってきた。秋、10月17日、希望の物件が月25万円の家賃で見つかったと連絡が入り、すぐ入居した。11月、山下公園前や多くの街路樹のイチョウ
の木が、色づいて素晴らしい景色になる。長い散歩をして、ホテルニューグランドで、お茶しながら、外を見ていると、亡き妻、鞠子の笑顔が、波間に浮かだ。

 彼女が、人生をゆっくり楽しんで、過ごしてねとでも言っているような笑顔に見えて、清水は、安心した。一緒に散歩した薫子が、奥さんを思い出してるのねと言った。私、いくら頑張っても奥さん程、長く一緒にいる事は、できないし、完敗だわと答えた。本当に清水君は、優しくてたくましいからと言い、生まれ変わったら正妻になりたいわと告げた。

 この話には、何もコメントせずに、ただ海を眺めていた。港の浮かぶ船、遠くのベイブリッジ、対岸の大きな風車を見て、やっぱり横浜は、最高と言った。すると薫子も同感だわと語った。その後、タクシーに乗って根岸森林公園に向かった。公園に入ると、馬の博物館「根岸競馬記念公苑」の看板が目に入り入館した。

 実際に馬やポニーも放牧されていて観察してきた。その後、根岸競馬場と一頭、見所後も遠くから見学してきた。これだけの広い競馬場が、遠い昔、ここにあったと想像すると強い郷愁を感じざるを得ない程の景色。これを一緒見ていた、薫は、もし、私たちが100年前のこの頃、ここで競馬馬を見たかったわと言いキスしてくれた。

「不意を突かれ、よせよ、他の人に見られるだろと、言うと、構わないわ」
「今は、私、あなたを独り占めできるのだからと、あっけらかんと言い放った」
「女って、本当は、強いのよと笑いながら言った」
「もう少し、ここで、夢を見させて欲しい」
「だから30分位、眺めていようと薫子が言うので、思わず、首を縦に振った」。

「でも、やっぱり亡くなった、奥様には、かなわないわと悲しそうに話し始めた」
「だって、奥様は、あなたの子供を生んだでしょ」
「私には、それができなかったわと言い、涙を浮かべるではないか」
「これには驚いて、思わず、マジかよと叫んだ」
「清水さん、女って、きれいだけれど、本当は、怖いのよと笑いながら言った」

 それを聞いて、清水が、おー怖!と叫んだ。そんな話をして、また素敵なカフェで、お茶しましょうと言うので、タクシーで、外人墓地の前の山手十番館へ向かった。中に入ると、薫が、小さく素敵と声を上げた。ステンドグラスを見て、店員さんに写真撮っても良いかと聞くと、どうぞと言われ、数枚の写真を素早く撮った。
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