第9話:東西雪解け?と湾岸戦争

文字数 2,143文字

 このゲーム機は、世界的に大ヒットした「ファミリーコンピュータ」ファミコンの次世代機である。11月26日、松下電器産業がアメリカのMCAを買収した。11月30日、日本衛星放送「JSB」がサービス放送を開始した。1990年、世界的には、東西に分裂しており冷戦の象徴的存在だったドイツが西ドイツ主導で東ドイツを再統一した。

 1945年以来の東西ベルリン市が首都に復帰した。一連の民主化を求める東欧革命の流れの中で急速に再統一が実現した。一方、冷戦構造で、戦後世界に東側諸国の盟主として、君臨してきたソビエト連邦共和国は、構成連邦国家の独立宣言が相次いだ年となり衰退していった。

 この年から翌年にかけ急速に有名無実化して行きビエト連邦共和国は、1991年12月25日に活動を停止する事をゴルバチョフ大統領が発表した。その結果、最大の構成主体共和国であったロシア連邦が主な後継国家となった。そして独立した事で、事実上、ソビエト連邦共和国は滅亡した。

 東欧では旧ソ連から独自性の高い地域であったウクライナとベラルーシなどが新たな独立国となった。これにより、名実共に1950年代から続いた欧米地域の東西冷戦構造は解体された。しかし、中国の首都北京での民主化要求が軍部の力で阻止された天安門事件が起こった。そのため、東アジアや東南アジアでは冷戦期の国家が存続した状態で21世紀を迎えた。

 やがて、1991年が明け徐々にバブル崩壊が表面化してきた。その後の平成不況の足音は、まだ遠く今後の景気を楽観的に捉える者が大勢であった。1991年1月17日「日本時間」クウェートで湾岸戦争が勃発した。この戦争の発端は1990年8月2日のイラクによるクウェート侵攻をきっかけだった。それに国際連合が多国籍軍の派遣を決定し1991年1月17日にイラクを空爆した。

 1990年8月2日、イラク軍は隣国クウェートへの侵攻を開始し8月8日にはクウェート併合を発表。これに対し諸外国は、第二次世界大戦後初となる一致結束した事態解決への努力が開始された。国際連合安全保障理事会はイラクへの即時撤退を求めた。

 それと共に1990年11月29日に武力行使容認決議である決議678を米ソは、一致し可決した。翌1991年1月17日にアメリカのブッシュ大統領は、アメリカ軍部隊をサウジアラビアへ展開した。そして、同地域への自国軍派遣を他国へも呼びかけた。湾岸諸国の政府は、これに応じ、いわゆる「多国籍軍」が構成された。

 これは、第二次世界大戦以来の連合だったアメリカ軍が多くを占めるこの多国籍軍には、ノーマン・シュワルツコフ米陸軍中将が司令官となった。イギリスやフランスといったヨーロッパが中心となった。しかし、ヨーロッパだけでなくイスラム世界の盟主サウジアラビアを始めとする湾岸諸国「湾岸協力会議」も参加した。

 その他、アラブ連盟の盟主エジプトといった親米アラブ諸国。さらにバングラデシュやイラクと同じバアス党政権のシリアのような東側諸国も参加した。この湾岸戦争に参加したアラブ諸国はシュワルツコフではなく、ハリド・ビン・スルタン陸軍中将の指揮下に置かれた。

 国際連合により認可された34ヵ国の諸国連合からなるアメリカ、イギリスをはじめとする多国籍軍は、バース党政権下のイラクへの攻撃態勢を整えた。イラク政府による決議履行への意思無きを確認した諸国連合は、国連憲章第42条に基づき、1991年1月17日にイラクへの攻撃を開始した。

 イラクの大統領サッダーム・フセインは開戦に際し、この戦いを「全ての戦争の母」と称した。また呼称による混乱を避けるため、軍事行動における作戦名から「砂漠の嵐作戦」とも呼ばれるこの戦争は、「第1次湾岸戦争」、また2003年のイラク戦争開始以前は、「イラク戦争」とも称された。

 このクウェートの占領と併合を続けるイラク軍を対象とする戦争は、多国籍軍による空爆から始まった。これに続き、2月23日から地上部隊による進攻が始まった。多国籍軍はこれに圧倒的勝利をおさめ、クウェートを解放した。こうして、陸上戦開始から100時間後、多国籍軍は、戦闘行動を停止し停戦を宣言した。

 空中戦及び地上戦は、イラク、クウェート、及びサウジアラビア国境地域に限定されていた。しかし、イラクは、スカッドミサイルをサウジアラビア及びイスラエルに向け発射した。戦費約6百億ドルのうち、約400億ドルはサウジアラビアから支払われたと言われている1990年7月17日、イラク革命記念日での演説においてフセイン大統領は、次のように述べた。

「一部のアラブ諸国が、世界の原油価格を下落させた」
「そして、イラクを毒の短剣で背後から突き刺そうとしている」
「彼らが言葉で警告しても分からないのならば、なんらかの効果的手段を取る」
これで、間接的にクウェートとアラブ首長国連邦を非難した。

 これを受け、アラブ首長国連邦は石油増産を一応縮小したがクウェートは、いかなる行動も起こさなかった。7月18日、イラクのアズィーズ外相は、クウェートとアラブ首長国連邦がOPECの生産協定を破り生産枠を越えた石油生産でアラブ全体で5千億ドルもの損失を被ったと主張した。
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