そのいち
文字数 726文字
カンカンカン！静香様！朝です！起きてください！
うーん……うるさいよミカゲ姉さん。起こすならもっと静かに起こしてよ、なにそのフライパンとおたまは。……そしてその恰好はなに？
うふふ、これはみなさまご存知裸エ・プ・ロ・ン……です。
はあ、相変わらず変態だよね姉さん。男の裸エプロンで目覚めなくちゃいけない僕の気持ちにもなってほしいものなんだけど。
最高の目覚めでしょ？とにかく、朝ご飯できたので早く目覚めてご用意してくださいね。
……うん。わかった。
パジャマから制服に着替え、下に降りるとパンを食べている玲がいた。
静香ちゃん！おはよ！って、寝ぐせで髪ぼさぼさだよ～？せっかく綺麗な髪なんだからちゃんとお手入れしないと。
うるさいなあ。あんたには関係ないでしょ。
もう！お姉ちゃんにあんたとか言わない！ちゃんと玲って言うの。
ふん、僕はあんたのことなんて姉なんて認めないし。というか姉じゃなくて兄だし。
静香と玲は兄弟というわけではなく、再婚した親の連れ子同士で、仲が良くない。根本的に性格が合わないので静香が一方的に嫌っている。ことあるごとに玲が姉面するのでそれも気に入らない静香なのだった。
とにかく！僕に近づかないでよね！登校するのも10分ほど僕より後に行って！
そんなことしてたらお互い学校に間に合わなくなるよ？ほら、もう8時だし。
～～～ッ！えええっ、やばい！あんたと話してたせいで余計な時間を過ごしてしまったじゃないか！責任をとれ！
時計の針は8を指していた。そういえば玲以外の兄弟を今日は見かけないと思っていたが、もうとっくに学校に間に合う時間を過ぎていた。どれだけぐっすり寝ていたのか僕は。
とにかく、急いで焼いてあったトーストを咥え、家を飛び出した。
