第17話
文字数 650文字
事件のあったブティックの駐車場に到着したのは、研究所を出てから二時間ほど経過した、午後一時半過ぎだった。
本来であれば車で一時間もかからない場所なので、国武は少しでも早く向かいたかったのだが、寄り道があったのだ。
奈々子のわがままで『白龍ラーメン』というラーメン店に立ち寄った。そこの全力ラーメンが食べたいと言われ、余計な時間が掛かったのである。
国武も一緒に食べてみると、虜になりそうな素晴らしい味だった。穂香と再会したら一緒に行きたいと胸が躍った。
店に入ると、国武を見るなり、店長が話しかけてきた。今日はオレンジのスカーフを巻いている。
「国武さんでしたね。あれから穂香さんは見つかりましたか?」
黙って首を振った国武は、だから来たんじゃないか、という顔を向けた。
店長の許可を得たうえで、国武は例の試着室を確かめた。すでに警察が調べていたが、もう一度自分の眼で確かめねば気が済まない。
だが、それは徒労に過ぎなかった。専門である警察が調べても、何も発見できなかったのだから、素人の国武に不審な箇所を見つけることなどできる訳がない。
一方、奈々子といえば試着室など見向きもせず、監視カメラの位置を確認しただけ。後はまるで一般客のように並んだ洋服に気を取られていた。
「監視カメラの映像、見せてくれない?」
奈々子の言葉に、国武は店長に視線を合わせる。お願いしますと頭を下げ、国武は五千円札を店長に渡した。
にやけ顔の店長は裏の事務室へ案内し、モニターの前に座ると、あの日の映像を再生し始めた……。
本来であれば車で一時間もかからない場所なので、国武は少しでも早く向かいたかったのだが、寄り道があったのだ。
奈々子のわがままで『白龍ラーメン』というラーメン店に立ち寄った。そこの全力ラーメンが食べたいと言われ、余計な時間が掛かったのである。
国武も一緒に食べてみると、虜になりそうな素晴らしい味だった。穂香と再会したら一緒に行きたいと胸が躍った。
店に入ると、国武を見るなり、店長が話しかけてきた。今日はオレンジのスカーフを巻いている。
「国武さんでしたね。あれから穂香さんは見つかりましたか?」
黙って首を振った国武は、だから来たんじゃないか、という顔を向けた。
店長の許可を得たうえで、国武は例の試着室を確かめた。すでに警察が調べていたが、もう一度自分の眼で確かめねば気が済まない。
だが、それは徒労に過ぎなかった。専門である警察が調べても、何も発見できなかったのだから、素人の国武に不審な箇所を見つけることなどできる訳がない。
一方、奈々子といえば試着室など見向きもせず、監視カメラの位置を確認しただけ。後はまるで一般客のように並んだ洋服に気を取られていた。
「監視カメラの映像、見せてくれない?」
奈々子の言葉に、国武は店長に視線を合わせる。お願いしますと頭を下げ、国武は五千円札を店長に渡した。
にやけ顔の店長は裏の事務室へ案内し、モニターの前に座ると、あの日の映像を再生し始めた……。