第112話  親父の帰還  2

文字数 3,266文字

ただいま! お~い。買ってきたぜ。

 商店街にあるスーパーに行って、ビールをたらふく買ってきてやったぞ。

 2ダースくらいありゃ十分だろ。


 

おおっ。待ってたぞ。

さぁ。景気よくやりましょうかね

おや。凛ぼっちゃまは如何致しました?

スーパーで坂田さん家のママや綾ちゃんに会いましてね。

凛はそのまま遊びに出かけちゃいました。ももまろも一緒に元飼い主の家に行ってます。

おお、そうでしたか。

さてと、今日は飲みまくろうかの。

楓蓮。すまんな。ご苦労さん。

いえいえ。ゆっくりしていってください。

 こりゃ親父達同士で話す方がいいかもしれんな。


 それなら俺はとりあえずパソコンでもやっておこうか。そう思ったタイミングでインターホンが鳴った。


 

 と、思いきや、ズカズカとリビングに入って来たのは白竹ママである。



 あ、言うの忘れてたってか……早すぎだろ!

ちょっと! あんたたち! 何で私を……呼ばないのよっ!

私だけのけ者にするとか、いい度胸してるじゃないの!

 やっべー。めっちゃ怒ってるぞ。

 確か、親父がいうには「マジキレするとやばい」って言ってなかったか?



 だが、親父達はママのエキサイトする姿を見て固まってたと思ったら……

いあ、お前も今から呼ぼうと思ってたんだよ。な?
そうだぞ。麻莉奈。お前を呼ばないなんてありえないだろう?
え?

先に準備だけしておこうと。楓蓮お嬢様に買出しをしてもらってましてな。

麻莉奈さんは、待つのがお嫌いなのはみんな承知してますゆえ

今から呼ぼうとしてたのによ。先に来やがって。

まぁいい。今日はトコトンやっちまおうか。

な、なーんだ。そういうことね。気が利くわねあんたたち!

もうっ! 大好きすぎるわっ! 愛してるわよぉ!

…………
 とは言うものの、親父の目はジトっとしたままだったのは……これ如何に。
じゃあ俺ちょっと向こうに行ってます。好きなだけやっちゃってください

 ははっ。誰も聞いてねーだろ。こっちに向きもしないんだけど。


 まぁいいか。親父には親父同士の楽しみもあるだろうし。

 子供はさっさと自分の部屋に篭っておこう。 


楓蓮~~~! すまん。またビール買ってきてくれねーか?
え?
 うそだろ? さっき買ってきて、10分くらいしか経ってねーぞ!

今度は平八めが買ってまいりましょう。

楓蓮お嬢様が可哀想ですぞ。

こらこら。お前はもう飲んでるだろが。
それなら私の子供達に頼むわよっ! 頼まれてやるわよっ!

 あらら。結局ミユマユもパシられるのか。

 こりゃどうしようもないぜ。


 という訳で、俺は向こうの部屋でいるから。勝手に暴れてろよもう。

 ※


 部屋に戻り、パソコンと睨めっこしよう。

 そんな時、スマホには聖奈のラインが届いていた。

平八はもう着いた? 

今日はあんたのお父さんが帰ってくるから、行かせてくれっていうからさ。


ああ、もうみんなで宴会みたいになってるぞ。朝からビール飲んでる。

久しぶりなのか知らんが、白竹ママも来てるし、もう一人女の人のような男の人が来てる。

ああっ。凄い楽しそうじゃないの。

私も後で行くから!

 来た来たいっぱい「ラブクマ」スタンプの雨あられ。

 ってかお前、どうやって来るんだ? 平八さんはもうアルコール入ってるし、運転出来ないぞ。



 などと思っていると、再びインターホンが鳴る。

 こりゃミユマユだと思った俺は再び玄関へ向かった。

楓蓮さん。お邪魔するわね。
おはよ。ちょっとママに頼まれてビール持って来たのでし。

ご苦労様ですね。そっちのリビングでやってますんで。

あ、俺が持ちますよ。

 ミキマユが部屋に入ると、みんなこちらに注目する。

 親父がクルっとこちらに向き直ると、軽く会釈をしだした。

ミユマキちゃん達だね。どうも、楓蓮と凛がお世話になってます。

ちょっと! 麗華。違うわよ。

今はミキマユよ。

 そういえばママって、ミユマユを見ただけで判別できるらしいが、どうやって判別するのだろうか。

 外見からじゃ全くヒントが無いと思うんだけど。


あ、あのっ……こちらこそお世話になってます。魔優です。

おおっ。昔の麻莉奈そっくりじゃの。

そんでこちらの男の子も、これまた敦史の高校時代を思わせるではないか。

 敦史?
うるさいわねあんた。その名前で呼んだらぶっ殺すわよ。
 つまり。敦史っていうのが白竹ママの男の名前なのか?

あ、あふ。あの……あにょ……美樹です。

は、はじめまして、そにょ。

美樹ぼっちゃま。そんなに緊張しなくても大丈夫ですぞ。

お使いを頼んでしまってかたじけない。本来なら平八が行くべき仕事なのに申し訳ございませぬ。

しっかし……麻莉奈よりもずっと綺麗でイケメンになっちゃったな。

何よその言い方。まるで私がブサイクみたいじゃないの!

身も心もずっと綺麗でございますれば。

比べるまでもありませんな。

え? 平八さんが……笑った? だと?
上手いこと言うのお。身も心も。か……確かにその通りじゃな。

あんたたち。久しぶりにこうやって集まるのに。ケンカ売ってるわけ?


あふ、ママがプッチンきてまし!
やばいんじゃない? お母さんメチャ怒ってるよ。

 何となくヤバい。そんな雰囲気が漂ってくると俺は即座に行動に出ていた。


 まずミキマユから受け取ったコンビニ袋からビールを取り出して机に並べていく。

まぁまぁ。久しぶりなんでしょ。仲良くやっちゃってください。

そうだな。楓蓮の言う通りだ。仲良くしようぜ。


麻莉奈。アレだ。こいつらはな……いつまでも変わらないお前の可愛さに嫉妬してんだよ。

勘弁してやれ。


え?
ああんっ。パパさま……しゅごく素敵!

ミキマユちゃん。昔の麻莉奈はな、ほんと良くモテたんだよ。

平八もティナも、正体知るまでゾッコンだったからな。

ふふっ。麻莉奈どのは高校時代ずっと男だったのですぞ。


え? そうだったの?

うそ八百。とはこの事なり。

なーんだ。嫉妬ね。シット! 

だけどあんまり子供の前で言わないでよ。ママが照れるじゃない! 照れまくっちゃうわよ!

まぁ昔話も交えて、今日はゆっくり話そうぜ。

な。麻莉奈ちゃん。


ああん。麗華。分かったわ。分かりまくったわよ。

べらっぼうに飲んであげるわよ!

 さっきまでキレそうだったママがめちゃご機嫌になってしまった。


 そしていつものクルクルをお披露目しだしたかと思えば……

 俺やミキマユは、とんでもないものを見てしまった。

おいっ……


み、みんな回れるのかよ。

 バレリーナのようにクルクル回り始めた親父達。

 まさか、こんな光景を見るなんて思いもしなかったさ。


 白竹家だけのオリジナルだと思った技が、しっかりオヤジーズ達が使っている事に驚きを隠せない。

くくっ、ふははっ!
みんな回ってるのでし。
これは幸せになれる踊りなのよ! さぁ今日はトコトン飲みましょう! 飲まれましょう!

 白竹ママも上機嫌を更にレベルアップさせた顔になってやがる。

 皆が楽しければそれでいいだろ。


 さぁ。今度こそ俺達は退場だな。

 あとは好きなだけ暴れてください。



 とりあえず。ミキマユは俺の部屋に案内する。

 

後は親父達で盛り上がればいいだろ。ほっとこ。
だけど楽しそうね。お母さんがあんなに言われてたのが新鮮だったわっ。

それに怒らなかったのです。もうダメだと思ったのに、

また機嫌が良くなってビックリしました。

だよね。暴れまわると思ったのに。

やっぱりヤバかったよな一瞬。

まぁその辺は……昔からの友達だったら分かるんだろな。

でも、どうしよう……部屋にいてもいいの?

ああ、全然いいよ。

それに後で聖奈も来るらしいぞ。楽しそうだって言ってたし。

わぁお。それなら待ってていいですか?
もちろんですよ。休日だし、ゆっくりしましょ。
だけど、もうそろそろ俺……蓮にならなきゃ。
あふ。

美樹もそろそろでしょ?

私はまだもう少しいけるわっ

 そんな入れ替わり事情を話しながら、とりあえず今日はゆっくりしようじゃないか。


 またビールが足りないとか、パシられる可能性もあるしな。

 子供はこっちで待機してりゃいいだろ。



 だけど、今日だけだぞ。俺が良い子ちゃんでいるのは。

 親父が帰ってきて初日だし、好きにするがいいさ。

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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