第22話 ママチャリ300kmの旅 その16

文字数 611文字

 ネットカフェを出発してから一時間もたっていないだろう。

 さっそく山が私を出迎えた。
 この旅は、なんとまあ山の多いことか。そもそも日本に山が多いのか。
 どちらにせよ、気合を入れなければなるまい。

 ちょうど山の手前には道の駅があったので、私は一度そこへ寄った。
 朝飯は軽いもので済ませていたが、山道を前にして、ここは気合をいれるためにもしっかりと食べていこうと考えを改め、朝からやっていたそこの食堂で丼ものをがっつりと食べる。

 よっしゃぁ!

 飯を食べれば元気が出る単純な自分。最高だ。
 
 私は山道をゆく。
 しかしながら今回は天気も良ければ歩道もあり、あまつさえ朝である。
 おまけに、途中にあったトンネル内にも歩道があったことに感動を覚え、それを写真に収める余裕さえあった。

 これまでの苦難をのりこえた私にとって整った山道など、もはや障害ではなかった。

 そしてその山道を難なく走破した。

 いける。いけるぞ、ははははははっ!





 ……人間とは、じつに不完全で愚かな生き物である。
 一つできなかっただけで底なしに悲しみ、一つできただけで天井知らずに調子に乗る。
 人生とは、その起伏ある感情を無数に紡いだものである。
 
 ちょっと哲学者かぶれなことを言ってみたかっただけだ。
 で、何が言いたいかというと。

 このあとに起伏、まだまだあった。

 しばらく平地を走り、大きな川を越えたあと、目の前に現れるは、山。

 また山か。……山か。

 
 つづく。
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