1_プロット

文字数 1,681文字

「探偵と怪盗とジブンの味方」プロット
起)小学五年生の主人公浅田かなめは、少し臆病で逃げ足が速い女の子だ。彼女は登校中、友人から通学路にある、テラス席のあるきれいな喫茶店とかなめの通う塾が入居しているテナントビルに、探偵事務所ができたと聞く。噂通り、かなめは登校中にテナントビルの二階から、目つきは少し怖いものの笑顔が優し気で美形の二十代の男の探偵「倉敷さん」に挨拶され、知り合いとなった。放課後、かなめは三階の塾に行くふりをして、四階の事務所のドアをノックもせずに開ける。「明石さん大丈夫?」「もうあかん。なんで怪盗の秘密基地の下に探偵引っ越してくんねん」そのビルは一階は喫茶店、二階は新しくできた探偵事務所、三階は塾、そして最上階の四階には世界的な大怪盗オレンジと呼ばれる「明石さん」の秘密基地兼事務所があった。明石さんは細い目におしゃれな服を着た大学生くらいの歳のイケメンで、かなめの友人だった。かなめは明石さんの年の離れた友人として、彼が倉敷に逮捕されないか心配する。

承)かなめは怪盗の準備として、プラン作りを手伝ったことがあるほど、明石と仲が良かった。臆病なかなめは自分が怪盗とつながっていることを知られないよう、どうにか倉敷と出くわさないようにしようとする。しかし仲の良い同級生の女友だち林道サクが、塾で起きた事件を倉敷の探偵事務所に持ち込んでしまう。事件解決を通して、倉敷とサク、そしてかなめは仲良くなる。傍若無人で強引な倉敷と、好奇心旺盛で無鉄砲なサクに引っ張られて、かなめは数々の難事件を解決すべく奔走する。事件解決時に必ず、かなめは明石さんに事の顛末を話し、明石は大笑いしながらかなめを労わることが定番となる。

転)凶悪な連続事件、そして殺人未遂事件の容疑者として、明石が倉敷に疑われる。臆病なかなめを知る明石は、自分が犯人だからかなめとサクを家に帰してほしいと倉敷に頼む。こっそりと明石はかなめだけ内心を話す。「偽犯人に黙っていられる犯人ちゃう。こうして待っとったら真犯人が向こうからやってくる。ちと荒事になるかもやし、もしかしたら犯罪歴は残るかもやけど、まあ怪盗や。むしろ得意分野やから心配せんといて」かなめはそれを聞いて思う。けれどもしそうなったら、明石は街を追われるだろうし、友人ではいられなくなる。私は私の力で友だちのピンチを救わなくちゃ。明石が犯罪者だと確信している探偵倉敷の力を借りずに、かなめは一人で凶悪犯の謎解きに挑む。

結)犯人の心理を、怪盗明石の友人であることで知り、謎解きの作法を、探偵倉敷に付き合う過程で学んだかなめは、真犯人を突き止める。真犯人に誘拐され口封じに襲われようとするとき、倉敷と明石が助けに現れる。彼らはもともと手を組んで捜査を行っていた。明石を伝説の怪盗の正体だと確信し、凶悪犯の事件とは別に、あわよくば証拠を得ようとしていた倉敷と、推理に協力してでも探偵をおちょくりたい明石の足並みは揃わず、かなめが突き止めなければ、事件は解決しなかった。倉敷はかなめに事情を話し謝罪する。明石は友人として心からかなめの無事を喜んだ。事件後、倉敷と明石はかなめにそれぞれ別の場所で、自分と距離を置くことを提案する。倉敷は言う。「事件を解決するのは僕一人でもできる。話すのは最後にするよ。いくら心理を読むことに長けていて謎解きが得意とはいえ、臆病な君を今まで振り回してすまなかったね」明石は言う。「怪盗は日陰もんや。俺と一緒にいればいつこんな目に遭うかもわからん。いくら探偵やら謎解きやら話すのが楽しいからって、一緒にいたらあかんかったんや。こうして話すのは最後にしよか」臆病なかなめは勇気を出して、それぞれに同じ言葉を返した。「私も楽しかった。だから話さないのは嫌だ」かなめにはいつ来るかわからない危険よりも、目の前の友人二人を失う孤独のほうが怖かった。かなめの通学路にはテラス席のあるきれいな喫茶店がある。通学中かなめは、テラス席で共に腹を探り合いながら、コーヒーと紅茶を一緒に飲む探偵明石と怪盗明石と挨拶を交わした。
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