第19話「筆舌に尽くしがたいバカ」
文字数 1,654文字
マジ寒いわー
本当意味わかんねえわこの寒さなんだよ冬氏ねよ
そろそろストーブ出さないとキツいかなー
用意しておかないとなー
だあああっっ!! もうっ!! うるせぇよっ!!
お前は鱗あるから寒くないんだろ!!!
はいキレたー! 今俺キレたー!
おまえちょっと表出……
に、2017年がもうすぐ終わろうとしているのか。時の流れは恐ろしいぜ
時間といえば、お前と桃鬼のアルバムはどうなったんだよ?
作るって言い出してからだいぶ時間が経つぞ
おっ、よく聞いてくれたな。実はもうすぐ発売するんだよ
色々あったんだよ。勇者戦に向けて修行したり。
桃ちゃんの提案でMV撮影のために海に行ったり、雪山に行ったり、
桃ちゃんの歌詞直しが連続したり、桃ちゃんが方向性を見失ったり、
桃ちゃんが声質を変えると言い出したり、桃ちゃんがボイトレを始め
桃ちゃんがすごい真剣でな……断りきれないというか……
どうせ桃鬼の頼みだから鼻の下伸ばして頷いてたんだろ
普段大雑把なのに、そういう時だけ気を遣って
小さい声で「ご、ごめんな」って言うから
「なんも心配はいらんぜよ! ガハハ!」って言うしかなかったんだよ
でも、そのぶん内容はいい感じになってんだぜ?
特に桃ちゃんのラップスキルには業界が騒然とするだろうな
しょうがねぇだろ。素人なりに精一杯やったんだぜ。
桃ちゃんが「トラップ系のトラックにしよう」とか言い出した時は
本気で何言ってるか分かんなかったし着いていけるか悩んだけどな
うるせー! 曲自体はすげー良い出来だから聞いて驚けよ!
そこは連絡待ちだ。もうじきレコード会社から連絡が来ると思う
ふーん。レコード会社の契約とやらはどうなったんだよ
ああ、勇者の親父が経営してるレコード会社と契約した
大丈夫だ。利害は一致してるから裏切りはない。
俺らは念願のアルバムを出し、向こうは俺というビッグネームの
デビューで注目を集め、売上がすげ~伸びる
デビューアルバムが成功したら独自にレコード会社を立ち上げるから、
利用される心配もねえよ。協力関係が出来れば一石二鳥だな。
どーだこのカンペキな計画は!
お前にしちゃ手の込んだ作戦だな。さては獣王の入れ知恵か
俺の作戦だよ! なんでもかんでも獣王がやってるわけじゃねえ!
お前どんだけ俺をバカだと思ってんだよ!?
なんとか言えーー!!!バカの表現すらされないって悲しいだろ!!
魔王が仕事を終わらせてるだと? 今日は青龍偃月刀が降るな
仕事が出来てるのは大変よろしいんですが、別の用件です。
レコード会社から魔王様にお手紙が
まあそう慌てんなって。どれどれ……(ビリビリ)
アルバム……歌詞が
過激すぎて修正完了まで
発売延期になった。
クソッ、あの曲がまずかったかな……?
思い当たる歌詞を話すと、
「ああそれは余裕でアウトですね」と言われたという。
結局歌詞は書き直し、アルバム発売はまだ遠そうだ。
魔王がアルバムを出すファンタジーの世界とは何なのか! 次回、何も起こらない!
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