第1話
文字数 2,320文字
人物A:今日も時間通りだねー、よしよし。
人物B:はい! 師匠! よろしくお願いします!!
人物C:肩、凝 らないといいなー
B:…………(わざとCを見ない)
C:…………
A:……今日は、君の基本 ライセンスになる〈盗賊 〉について、簡単に触れていくけれども。〈盗賊〉は特殊技能職。習得する技能――スキル、を生かして戦い、成長していくライセンス。盗み、周辺警戒、罠 解除、鍵 探知、消音歩行……とかが主力かな?
C:戦闘だと、奇襲 と逃走にボーナスが入る。「混乱」の付着確率・付着した時の持続強化、奇襲成立時のクリティカル発生上昇、逃走速度加速と成功率上昇、逃走妨害効果の緩 和か……
B:なんで居るんですか?
C:……ぐっ(そりゃ、出会い頭にきつく当たったけども!)
A:(にっこり笑って)今日の特別講師だからね! 仲良くするように
B:(……ええー、という顔)特別、講師……?
A:そう。僕は『F2』始めてからこの方 、魔法技能職一本でやって来てるからね。戦闘関係は本職から習った方がいい、と思う。必殺技――アタックスキルの使い勝手とか、立ち回りのコツ、みたいな豆知識とか。
B:忍者が上級職……みたいな位置づけになるからですか?
C:全然ちげーわ。最序盤の、戦闘における立ち回りは良く似るけど。
A:(すかさず)はい! どの辺が違うのかなー?
C:まず、忍者は武装戦闘職。山間 とか夜間とか、特殊な地形、状況における戦闘を得意とする職業、って解釈にRPGで育成された”俗に言う”忍者のイメージが乗ってる。戦闘ではどっちも軽装での遊撃に本領があるけども、スキルから離れられない盗賊とは違って、戦闘一本で押し切れる。クリティカルに即死が乗るし。ただ、即死が入らない状況で、ダメージを稼 ぐのが面倒なんだよな。状態異常を引き起こす薬物の調合はあるけど、付着強化とか無いし。職歴で属性周りとかフォローしねえと、盗賊以下の荷物になる事もあるっけ……。極端なことを言えば、盗みが出来ればOKなのが盗賊。戦闘ビルドの構築で化 けるのが忍者、な
B:?
A:パーティでの役割に幅 が出るんだよ、盗賊は。職歴次第では優秀な斥候役になるし、単純に、罠解除と盗みだけでOK! っていうのも珍しくないしね。……あと、嫌われやすいライセンスでもあるっけ。
B:それは、どういう……?
C:一つはプレイヤーのマナーの問題だな。〈盗み 〉はモンスターだけじゃなく、味方やNPCにも使えるんだよ。プレイヤー同士、ってのは解り易いだろ? 他人様のアイテムとか金に手を出して、いざこざになるやつな。後、NPCには固有のペナルティが設定されてる。盗みの状況で変動するんだが、キツい場合だと、パーティ……場合によっては所属ギルドのメンバー全員に適用されることが在る。だもんで、ピック一つで数十人~数百人のメンバーが面倒な被害を被 る可能性が在るってわけだ。情報収集の為のアイテムピックでギルドが爆散したとか、昨日までの仲間から全力のマンハントを仕掛けられるとか、本当、洒落 にならねえから!
B:…………(驚き、呆れている顔)
C:もう一つは、戦闘能力が中途半端 になりやすいことだ。戦士とかなら、レベル5で1000ダメージ出せるのに、盗賊だとレベル15まで我慢しないと駄目――ってやつ。最大HPの伸びも半端な量に落ち着くから、レイドとかだと、雑魚 の通常攻撃で即死するとか珍しくない。そういうのが嫌で爪弾 きにされる、が割とある。……でもな、〈盗み〉って重宝するんだよ。ドロップレアの平均が2程度の雑魚からでも、運次第でレア5の素材とか手に入るし。
A:抜け道になってる部分が確かに在るよね。ドロップの種類って、『F2』は序盤から多いんだけど、レアリティの管理は厳密なくらいしっかりしてるし。低レベル攻略で最有力のアイテム供給役が〈盗賊〉なのは、実装当初から変わってない。
B:…………(感心している顔)
C:まあ、嫌われやすいとは言っても、ライセンスを持ってる奴次第――ではある。
B:じゃあ、似てるのはどの辺なんですか?
C:最序盤の戦闘で、短剣を愛用することになる部分。職歴で筋力チョッパって来ないと、与ダメが伸び悩みやすいのも同じだな。……一応、育てりゃ、ビルド次第で苦労を減らせるのが忍者。ビルドを工夫しても、(戦闘では)今一つにしか育たないのが盗賊。まあ、忍者には〈忍び刀 〉や戦闘〈装束 〉みたいな、ライセンス補正が厚い装備もあるし。育て方を間違えなきゃ、転職する手間が減るんだよな。
人物D:(ひそひそ声で)――あ、此処 だ! 此処!! ほら、前情報通り――♪
人物E:(ひそひそ声で)……うわあ、マジだ……マジもマジも大マジで育児だあ!! ……あいつが、ねえ……。…………裏切者めえ! ……許さない……一人だけ、一人だけ真人間に更生しよう、だなんて……!
D:はい、ストーップ! 暗黒面への堕落 はそこまでだよ! 賢者の癖に、気配に敏 い奴だからね! 美味しくからかえるネタを逃すなんて、絶対厳禁!!
A:(……ん? 視線を感じた気が……??)
C:どした?
A:ん? 気のせいだった
C:あ、そ(ははあ、到着したな? あいつら)。で、こいつが実物――スティールショートソード(ポイっと投げ渡す)
B:わ! ……あれ? これ、本当にショートソードですか!?
C:ああん?!
D&E:(発作的な笑いをかみ殺すのに失敗して)ぐふっ!!
A:(――やっぱり居た!!)曲者発見!! イフリート・ナパーム!
豪快に炸裂する炎のエフェクトと効果音
D&E:お救けー!!
随所が黒焦げになりながら、Cの方を見る。
C:もっと上手 くやれよな……(だから、教えたくなかったんけど……。ま、想定内だ)
人物B:はい! 師匠! よろしくお願いします!!
人物C:肩、
B:…………(わざとCを見ない)
C:…………
A:……今日は、君の
C:戦闘だと、奇
B:なんで居るんですか?
C:……ぐっ(そりゃ、出会い頭にきつく当たったけども!)
A:(にっこり笑って)今日の特別講師だからね! 仲良くするように
B:(……ええー、という顔)特別、講師……?
A:そう。僕は『F2』始めてからこの
B:忍者が上級職……みたいな位置づけになるからですか?
C:全然ちげーわ。最序盤の、戦闘における立ち回りは良く似るけど。
A:(すかさず)はい! どの辺が違うのかなー?
C:まず、忍者は武装戦闘職。
B:?
A:パーティでの役割に
B:それは、どういう……?
C:一つはプレイヤーのマナーの問題だな。〈
B:…………(驚き、呆れている顔)
C:もう一つは、戦闘能力が中途半
A:抜け道になってる部分が確かに在るよね。ドロップの種類って、『F2』は序盤から多いんだけど、レアリティの管理は厳密なくらいしっかりしてるし。低レベル攻略で最有力のアイテム供給役が〈盗賊〉なのは、実装当初から変わってない。
B:…………(感心している顔)
C:まあ、嫌われやすいとは言っても、ライセンスを持ってる奴次第――ではある。
B:じゃあ、似てるのはどの辺なんですか?
C:最序盤の戦闘で、短剣を愛用することになる部分。職歴で筋力チョッパって来ないと、与ダメが伸び悩みやすいのも同じだな。……一応、育てりゃ、ビルド次第で苦労を減らせるのが忍者。ビルドを工夫しても、(戦闘では)今一つにしか育たないのが盗賊。まあ、忍者には〈忍び
人物D:(ひそひそ声で)――あ、
人物E:(ひそひそ声で)……うわあ、マジだ……マジもマジも大マジで育児だあ!! ……あいつが、ねえ……。…………裏切者めえ! ……許さない……一人だけ、一人だけ真人間に更生しよう、だなんて……!
D:はい、ストーップ! 暗黒面への
A:(……ん? 視線を感じた気が……??)
C:どした?
A:ん? 気のせいだった
C:あ、そ(ははあ、到着したな? あいつら)。で、こいつが実物――スティールショートソード(ポイっと投げ渡す)
B:わ! ……あれ? これ、本当にショートソードですか!?
C:ああん?!
D&E:(発作的な笑いをかみ殺すのに失敗して)ぐふっ!!
A:(――やっぱり居た!!)曲者発見!! イフリート・ナパーム!
豪快に炸裂する炎のエフェクトと効果音
D&E:お救けー!!
随所が黒焦げになりながら、Cの方を見る。
C:もっと