第27話 梨華の抗議
文字数 541文字
「どうして !? どうして街に行ってはいけないの?」
船上から海の都と呼ばれるフローレスの街並みが見えてくる頃、梨華は猛然と母に抗議していた。
「此度 はアディーナ姫が街に降りられる。わたしはその警護をしなければならないし、他の者は物資の補給の手配をしなくてはならない。子供に付き添う人手はないのだよ」
「もう子供じゃないわ!」
「まだ子供だ」
さらりといなす母に、梨華は納得いかないという風に顔を真っ赤にして頬をふくらませる。
母と妹に挟まれ、おろおろする勇利のそばで、険悪な親子の間に割って入ったのは勇仁だ。
「まあ二人とも落ち着かんか。梨華と勇利にはわしが付き添うというのはどうじゃ?」
「義父 上には残って船を守っていただかなくては困ります」
ぴしゃりと答える阿梨に、勇仁はうーむと唸る。
「困ったのう」
「今回は我慢しなさい。次に来た時には必ず街に行かせてあげるから」
「……」
梨華は無言だった。母にそう言われても気持ちは収まらない。
「仕方ないよ、梨華」
なぐさめようとする兄に、八つ当たり気味に思いっきり舌を出すと、梨華は船室に駆け込んでいった。
船上から海の都と呼ばれるフローレスの街並みが見えてくる頃、梨華は猛然と母に抗議していた。
「
「もう子供じゃないわ!」
「まだ子供だ」
さらりといなす母に、梨華は納得いかないという風に顔を真っ赤にして頬をふくらませる。
母と妹に挟まれ、おろおろする勇利のそばで、険悪な親子の間に割って入ったのは勇仁だ。
「まあ二人とも落ち着かんか。梨華と勇利にはわしが付き添うというのはどうじゃ?」
「
ぴしゃりと答える阿梨に、勇仁はうーむと唸る。
「困ったのう」
「今回は我慢しなさい。次に来た時には必ず街に行かせてあげるから」
「……」
梨華は無言だった。母にそう言われても気持ちは収まらない。
「仕方ないよ、梨華」
なぐさめようとする兄に、八つ当たり気味に思いっきり舌を出すと、梨華は船室に駆け込んでいった。