菊の恩返し(10)

文字数 212文字

 三郎がすがたを変えた菊の苗は、庭にうつし植えられ、秋になると花をひらきました。
 その花はうす紅色で、かすかにぽっと頬をそめたようで、かいでみると、お酒のにおいがしました。



 ひとりぼっちになった黄英を、才之助は、いよいよ深く愛しました。ふたりは、三郎ののこしてくれた菊を少しずつ売って、しずかにくらしました。

 黄英のからだは、いつまでも、ふつうの人間のままだったということです。





(画:|園英俊 sono hidetoshi)
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